短編小説「点と線と」(全文無料)
「あなたの『痛み』なんて、どれほどのものだっていうの?」
彼女は煙草に火をつけ、溜息のように煙を吐いた。
「...そうだね」
僕は軽く頬を緩めると、ゆっくりとした口調でそれに応じた。
きっとみんな愛情表現が違うだけなんだ。
そう考えないと僕なんか、誰かの邪念で簡単に弾けとんでしまう。
月が満ち欠けるみたいに不安定な心たちは、何を求めているんだろう?
……。
「馬鹿ねー、考えすぎよ」
彼女は煙草を灰皿に押し付けると、神妙な顔をしている僕に言った。
「んん、何でもないよ」
僕は少し強引に彼女を抱き寄せた。
唇を重ねれば平行線な僕らでさえ、つながることができるような気がして、
そっと顔を近づけ彼女に触れる。
ほら、夜が逃げてしまう前に、このどうしようもない孤独を消してくれ。
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