1552 「国際のETF VIX短期先物指数」を長期保有してはいけない理由

本ブログは投資を始めて間もない個人投資家や、証券会社(もしくは銀行)のリテールセールスなどの読者に向けて執筆している。

昨今のコロナショックの最中、話題を呼んでいるのが三菱UFJ国際投信の運用する「国際のETF VIX短期先物指数」(以下、「当ファンド」銘柄コード1552)だ。

足元のボラタイルな相場変動を受け、米国のVIX指数は急上昇しているどころか、リーマンショック級の水準に達した。(下記図参照、出所:Trading View)

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これに伴い、当ファンドの基準価額(直近6ヶ月)も鰻登り状態だ。(下記図参照、出所:三菱UFJ国際投信のHP)

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しかしながら、足元のVIX指数はリーマンショック級の水準に達している一方で、当ファンドの設定来の基準価額は見るに耐えない形で大きく下落し続けている。設定当初の基準価額250万円程度から直近2万円程度と1/100の価値に…(下記図参照、出所:三菱UFJ国際投信のHP)

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何故なのか。

以下に「当ファンドを長期保有(買い持ち)してはいけない理由」を説明するが、3つのステップで説明していく。

ステップ1:そもそもVIX指数とは何か

ステップ2:VIX指数先物について

ステップ3:1552 国際のETF VIX短期先物指数について


ステップ1 そもそもVIX指数とは何か

VIX指数の定義はCBOEのHPに掲載されている。CBOEとはシカゴの取引所であり、VIX指数はCBOEで取引されており、CBOEがVIX指数のライセンス所有者である。

VIX指数の定義を簡単に要約すると、

①S&P500指数の今後30日間の予想ボラティリティを指数化したもの

②S&P500指数の上場オプションの価値をもとに算出

だ。

「指数」と言うからには組入銘柄が存在する。

日経平均やTOPIXの指数値は組入銘柄の株価をもとに算出されるわけだが、VIX指数自体はどのように計算されているのだろうか?

上記②にあるよう、S&P500指数の上場オプションがVIX指数の組入銘柄であり、VIX指数の計算にはこれらのオプション価値が使用される。

計算ロジックの詳細は理解しなくていい。知っておいて欲しいことは「VIX指数の計算にはS&P500指数の上場オプションの価値を使用する」と言うことだ。

そしてもう一つ、上記①の通り、VIX指数はS&P500指数の「今後30日間」の予想ボラティリティを指数化したものである。

つまり、今日のVIX指数は今日から起算して30日間、明日のVIX指数は明日から起算して30日間、1週間後のVIX指数は1週間後から起算して30日間と、常に観測時点から「30日間」のS&P500指数の予想ボラティリティを指数化しているということを知っていて欲しい。


ステップ2:VIX指数先物について

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