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猫、きいちとの別れ

はじめに

きいちとは約4ヶ月一緒に過ごした。
別れてしばらくはこの決断が正しかったのか考えることもあったが、きいちと過ごしたことは今後もんたとどのように関わっていくのかを考える重要な経験だったように思う。
本記事ではきいちとの出会いから別れを記している。(尚、現在きいちは別の里親のもとで元気に暮らしている)

きいちとの出会い

きいちとはもんたと同じ譲渡会場で出会った。
きいちは譲渡会場の入り口すぐの1番目立つ場所にいた。
美しい顔立ちと毛色、生き生きとした目と機敏な動きは、初めて猫を飼う私に対し健康面での不安を感じさせなかった。
その直後に別室でもんたと出会い、この2匹との生活が始まった。

普段の生活と3つの問題

普段の生活では仲良く遊んだり、寄り添って眠ったりと特に問題はなく、私は2匹の成長を楽しみに過ごしていた。
しかし、日を追うごとに2匹の体の大きさに差が表れ、重大な問題に直面することとなった。

1.相性の問題
きいちともんたは普段からよく遊んでいた。
きいちはとても活発で動きも素早く食欲旺盛、遊ぶ時は常にきいちが優位的状況になり、私はやられっぱなしのもんたのことが少しずつ心配になっていった。

通常子猫同士は相性が合わないということは滅多になく、成長するにつれ落ち着いてくる子が多いということを保護主から事前に聞いていたことと、2匹は普段くっついて寝たり、きいちがもんたにグルーミングをしたりしていたので、仲が悪いわけではないということは分かっていた。
ネットで検索をしても、子猫同士で社会性を身に付けるためにそっと見守っておきましょうとか、関係悪化につながるから止めない方がいいという内容の記事がほとんどだったため、不安ながらも見守ることにした。
しかし、きいちの「遊び」はどんどんエスカレートする。
もんたが悲鳴を上げるほど強く噛み付くようになり、もんたが逃げても追いかけて噛み付いてくる。
私は子猫同士の遊びではなくきいちが獲物を捕えているように見え、子猫同士で遊ぶには度が過ぎているのではと感じるようになってきた。

きいちは遊びのつもりだが…

2.食事の問題
もんたは食べるのがとても遅く、子猫特有のちょこちょこ食いだ。
目を離していたらきいちにエサを全て取られてしまうため、食事の時はどちらか一方をケージに入れて隔離していた。
しかし、ケージの中ではもんたは鳴き続け、きいちは暴れるばかりで大きなストレスを与えてしまっていた。
特にもんたは普段からあまりごはんを食べないため、食事にはとても苦労した。

隔離前の食事風景

3.もんたの便秘の問題
もんたは普段から便秘気味で、普通の食事だとすぐに便秘になってしまう。
猫の便秘はひどい場合死に至ることもあるため、摘便などの処置をする必要がある。

1回目の便秘の時に動物病院で摘便をしてもらっい、獣医師の勧めで便秘になりにくい食事を試していたが、改善がなく重い便秘になってしまった。

2回目の摘便の時、獣医師からは便が硬過ぎて通常の摘便ではもんたへの負担が大きいため、全身麻酔で眠らせて処置をし、1泊の入院をさせた方がいいとのことだった。それでも体の小さなもんたには負担が大きく、死んでしまう可能性もゼロではないと伝えられた。
その日の夜は心配でなかなか寝付けなかった。

翌朝、処置は無事に終わったと動物病院から電話があった。
迎えに行くと、少し離れた病院のケージの中に伏せたままじっとしているもんたが見えた。
もんたは私に気が付くとゆっくりと起き上がり、当時あまり鳴かなかった子だったが、この時は私に向かってずっと鳴き続けていた。

私はもんたが無事だった安心感と、辛い思いをさせてしまったことへの申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

葛藤と決断

1度目の便秘でかかりつけの獣医師や保護主に相談をした時に、2匹を離して育てることを勧められたが、引き取った責任を感じていた私は気が進まなかった。
しかしもんたが便秘で2度目の入院をした時に、2匹のためにもどちらかと別れた方がいいと感じた。
成長にも関わるので子猫のうちにできるだけ早く。

保護主に相談したところ、「きいちは綺麗な顔立ちで、里親はすぐに見つかりそうだし性格的にもどこでもやっていけそう。一方もんたは健康面に不安があり、次の里親が見つかるまではもんたの保護主のもとで過ごすことになる」とのことだった。
いくら猫の飼育経験が豊富な保護主でも、たくさんの猫がいる中でもんたを育てるのは難しいと思った。さらに里親が見つかったとしても、その人が多頭飼いだと結局同じことを繰り返してしまう可能性があったため、私はきいちとの別れを決めた。

別れ

その時はあっけなく訪れた。
保護主に相談した翌日、きいちは保護主によって引き取られていった。
わずか数分の出来事だった。

数日後、新しい里親が見つかったと連絡が入った。
寂しくないといえば嘘になるが、2匹の幸せを考えるとこの決断に後悔はない。
当時はもんたをちゃんと育てられるか不安だったが、今は決して間違った選択ではなかったと思う。

さいごに

もんたの飼い主です。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
この記事を書きながら当時のことを思い出してしまい、なかなか筆を進められずにいました。楽しかったことはもちろん、辛かったこともあり、当時の状況や心情を伝えることがいかに難しいかを実感しました。

私はこの経験があったからこそもんたを誰よりも幸せにしたいと思うようになりました。
猫の寿命は人間より遥かに短いです。
そのため猫の楽しい時間、そうでない時間の密度は人間よりも濃いものとなります。
もんたにはより多く楽しい時間の中で過ごしてほしいと思っています。
私自身もきいちとの別れを無駄にしないためにも、これからももんたへ愛情を注ぎ続けていきます。

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