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ケヴィン・エアーズ "ALL THIS CRAZY GIFT OF TIME - The Recordings 1969-1973"、事前確認または持ち物整理

ケヴィン・エアーズ "ALL THIS CRAZY GIFT OF TIME - The Recordings 1969-1973"、事前確認または持ち物整理

 音楽通販サイト「Burning Shed」からの新譜情報メール(2024年7月5日付)で、ケヴィン・エアーズが1969年から1973年にかけて発表した作品、ラジオ放送用録音、ライヴ録音、テレビ放映用映像をまとめたCD9枚、BD1枚のセット、"ALL THIS CRAZY GIFT OF TIME - The Recordings 1969-1973"(以下、「今回のセット」と呼びます) が、Esoteric Recordings から2024年10月18日に発売されることを知りました。
 長年愛聴しているミュージシャンであり、結果として、これまで発表された作品をそこそこ手にしてきているので、映像集はともかく(映像集だけ別売してほしいというのが正直な気持ち)、音については、セット収録内容のほとんどが手元にあります。裕福とは言い難く、「同じもの」(定義に議論の余地あり)を重複して持つことへの心理的な抵抗が根底にあるので、こうした集大成ものはとても悩ましい。以下は、予告されている内容と手元にあるものと照合することで、買ったものかどうか検討するという往生際の悪い個人的なメモです。
Disc 1 "JOY OF A TOY" (November 1969)
Disc 2 "LIVE AT HYDE PARK July 1970"
Disc 3 "SHOOTING AT THE MOON" (October 1970)
Disc 4 BBC SESSIONS, May 1970 - November 1971
Disc 5 "WHATEVERSHEBRINGSWESING" (January 1972)
Disc 6 BBC SESSIONS, January - May 1972
Disc 7 BBC SESSIONS, September 1972 - April 1973
Disc 8 "BANANAMOUR" (May 1973)
Disc 9 "AFTER THE SHOW (Live at Queen Elizabeth Hall May 1973)"
Disc 10 VIDEO VAULTS 1970 - 1973 (Blu-ray)

Kevin Ayers "ALL THIS CRAZY GIFT OF TIME - The Recordings 1969-1973"

■オリジナルアルバム
 今回のセットに収録されているオリジナルアルバムは、ハーヴェストレコード Harvest Records から発表された "JOY OF A TOY" (SHVL 763)(1969年11月発売)、"SHOOTING AT THE MOON"(1970年10月発売、Kevin Ayers and The Whole World 名義)、"WHATEVERSHEBRINGSWESING" (SHVL 800)(1972年1月発売)、"BANANAMOUR"(1973年5月発売)の4枚。それぞれ、Disc 1、Disc 3、Disc 5、Disc 8に収められています。今回のセットの特徴は、リリース作品以外の発掘録音について、ほぼ年代順に収録していることです。そのため、飛び飛びになっています。オリジナルアルバムについては、廉価盤、再発盤ばかりですが、一応、アナログ盤が手元にあります。CDは、ボーナストラックを追加収録した2003年版です。それらボーナストラックに吸収されましたが、アルバム未収録のシングルや発掘録音を集めた編集盤、"ODD DITTIES" (SHSM 2005)(1976年2月発売)も手元にあります。と言いますか、最初に買ったのは、"ODD DITTIES" でした。シングル盤が見つけられなかったので、その代りに。続けて、同時期に廉価盤として発売された "JOY OF A TOY" と "SHOOTING AT THE MOON" の2枚組セットも。友人からよく指摘される「狡い買いかた」です。

"JOY OF A TOY", "SHOOTING AT THE MOON"
"WHATEVERSHEBRINGSWESING", "BANANAMOUR"

■アルバム未収録シングル曲
・"Singing A Song In The Morning" (HAR 5027)(1970年2月発売)
Disc 1 (JOY OF A TOY) 収録。B面の "Eleanor's Cake (Which Ate Her)" は "JOY OF A TOY" 収録曲。"ODD DITTIES"、"JOY OF A TOY (2003 Edition)" で聞いていました。
・"Butterfly Dance" b/w "Puis-Je?" (HAR 5027)(1970年10月発売)
Disc 3 (SHOOTING AT THE MOON) 収録。"ODD DITTIES"、"SHOOTING AT THE MOON (2003 Edition)" で聞いていました。
・"Stars" (HAR 5042)(1971年8月発売)
Disc 5 (WHATEVERSHEBRINGSWESING) 収録。A面の "Stranger In Blue Suede Shoes" は、"WHATEVERSHEBRIGSWESING" 収録曲。"ODD DITTIES"、"WHATEVERSHEBRINGSWESING (2003 Edition)" で聞いていました。
・"Connie On A Rubber Band" (HAR 5064)(1972年11月発売)
Disc 8 (BANANAMOUR) 収録。"SHOOTING AT THE MOON" 収録の "Clarence In Wonderland" のレゲエバージョンです。A面の "Oh! Wot A Dream" は、"BANANAMOUR" 収録曲。"ODD DITTIES"、"BANANAMOUR (2003 Edition)" で聞いていました。
・"Caribbean Moon" b/w "Take Me To Tahiti" (Harvest HAR 5071)(1973年4月発売)
Disc 8 (BANANAMOUR) 収録。"ODD DITTIES"、"BANANAMOUR (2003 Edition)" で聞いていました。

Harvest Heritage Series "ODD DITTIES", "JOY OF A TOY/SHOOTING AT THE MOON"

■没曲・没テイク
編集盤 "ODD DITTIES" には、録音されながら、リリースされなかったものが多数、発掘収録されていました。リリースされなかった、ということを、各曲ごと、"Not released."、"Excluded"、"Omitted"、"Did not appear."、"Eliminated"、"Removed"、"Shelved" と言い換えていて、勉強になりました。各アルバムの2003年版にボーナストラックとして吸収されましたが、今回のセットでも、それぞれのアルバムの余白に追加収録されています。新たに発掘された曲もあります。
Disc 1 (JOY OF A TOY): "Religious Experience (Take 9)"、"Soon, Soon, Soon"、"Religious Experience (Take 103)"
"Soon, Soon, Soon" は "ODD DITTIES" が初出。ソフト・マシーン時代の未リリース曲 "We Know What You Mean" をリメイクし、シングルとして企画されたものの没になりました。"Religious Experience" は、シングル曲 "Singing A Song In The Morning" の原題で、2曲は、"JOY OF A TOY (2003 Edition)" が初出。Take 9は、シド・バレット Syd Barrett が参加しているテイクです。3曲とも、"JOY OF A TOY (2003 Edition)" に収録されています。
Disc 3 (SHOOTING AT THE MOON): "Hat"、"Gemini Child"、"Jolie Madame"
"SHOOTING AT THE MOON" 収録予定だったかっこいい "Gemini Child"、ブリジット・セント・ジョン Bridget St. John をゲストヴォーカルに迎えた "Jolie Madame"(1970年10月録音ですが、"WHATEVERSHEBRINGSWESING" 収録の可能性があったらしい)は、"ODD DITTIES" 初出。"Hat" は、1978年4月発売の "RAINBOW TAKEAWAY" に収録された "Hat Song" の初期バージョン(1970年5月録音)で、"SHOOTING AT THE MOON (2003 Edition)" で発掘されましたが、ライヴでも当初から演奏されていたことが、発掘ライヴ録音で明らかになります。いずれも、"SHOOTING AT THE MOON (2003 Edition)" に収録されています。
Disc 5 (WHATEVERSHEBRINGSWESING): "Watching the Sun Go Down"、"Whatevershebringswesing (first version)"、"All This Crazy Gift of Time (1972 remake)"、"The Lady Rachel (1972 remake)"、"(Don’t Sing No More) Sad Songs"、"Fake Mexican Tourist Blues"
"Watching the Sun Go Down"、"Whatevershebringswesing (first version)"、"All This Crazy Gift of Time (1972 remake)" の3曲は、おそらく今回のセットが初出です。"Watching the Sun Go Down" は、何かの原曲かもしれませんが、初めて見るタイトルです。"The Lady Rachel (1972 remake)"、"(Don’t Sing No More) Sad Songs"、"Fake Mexican Tourist Blues" は、いずれも、"ODD DITTIES" に収録されていた曲です。"The Lady Rachel (1972 remake)" は、デイヴィッド・ベッドフォード David Bedford 編曲のオーケストラをバックにした再録バージョンで、シングルとして発売するために1972年2月に録音されたとありましたが、今回発掘された "All This Crazy Gift of Time (1972 remake)" もそのときに録音されたものではないかと思われます。この曲目を見たとき、どのようなアレンジだろうと思いましたが、1972年1月にベッドフォード編曲のオーケストラと共演したコンサートがBBCで放送されており、のちに発掘されています。"All This Crazy Gift of Time" も演奏しています。きっと、そのときのアレンジでスタジオ収録したものでしょう。"(Don’t Sing No More) Sad Songs"、"Fake Mexican Tourist Blues" は、1972年9月録音で、"ODD DITTIES" によれば、"BANANAMOUR" 収録予定だった(のが没になった)のですが、2003年版でも、"WHATEVERSHEBRINGSWESING" に収録されています。ちなみに、"The Lady Rachel (1972 remake)" は、2003年版では、"JOY OF A TOY" に収録されています。
Disc 8 (BANANAMOUR): "Decadence (early mix)"
"BANANAMOUR (2003 Edition)" で初めてリリースされました。

■ライヴ録音(BBC公開録音を含む)
Disc 2 (LIVE AT HYDE PARK JULY 1970): "Clarence in Wonderland"、"The Lady Rachel"、"Rheinhardt and Geraldine/Colores Para Delores"、"May I?"、"Hat Song"、"We Did it Again"、"Why Are We Sleeping?"
1970年7月18日に、ロンドン「ハイドパーク」で開催された所属マネジメント事務所による無料コンサート「Blackhill's Garden Party」での演奏です。このときの録音は、メンバーのロル・コクスヒル Lol Coxhill のアルバム "EAR OF BEHOLDER" (Dandelion Records DSD 8008)(1971年6月発売)に断片が、"A Collective Improvisation (b)"、"The Rhythmic Hooter" として収録されていましたが、ケヴィン・エアーズ&ザ・ホール・ワールド Kevin Ayers and The Whole World の演奏全般は、2007年に "HYDE PARK FREE CONCERT 1970" (Reel Recordings RR 002) として発掘されました。今回のセットでは、2007年のCDには未収録の "The Lady Rachel" が追加収録されている他、"Red Green and You Blue" と誤記されていた曲のタイトルが "Rheinhardt and Geraldine/Colores Para Delores" に訂正されています。ちなみにロルさんの "A Collective Improvisation (b)" は、"Clarence in Wonderland" の間奏部分です。"The Rhythmic Hooter" は、"Rheinhardt and Geraldine/Colores Para Delores"の間奏部分なのですが、ソロから、またもや "Clarence in Wonderland" のリフレインを演奏するところまで収録されています。
Disc 4 (BBC PEEL SUNDAY CONCERT, 7th MAY 1970): "Love Is"、"We Did It Again"
「John Peel Concert 17.05 1970」と記されていますが、ケン・ガーナー Ken Garner 著 "IN SESSION TONIGHT: The Complete Radio 1 Recordings" (BBC Books)(1993年発売)に、1970年5月7日録音、5月17日放送と記されているライヴ録音と思われます。今回のセットが初出です。"Love Is" は初めて見るタイトルです。
Disc 6 (BBC IN CONCERT, PARIS THEATRE, 6th JANUARY 1972): "May I?"、"There is Loving/Among Us/There is Loving"、"Margaret"、"Whatevershebringswesing"、"Clarence in Wonderland"、"Rheinhardt and Geraldine/Colores Para Delores"、"Lady Rachel"、"All This Crazy Gift of Time"、"Why Are We Sleeping?"
デイヴィッド・ベッドフォード編曲によるオーケストラとの共演コンサートで、BBCの公開録音でした。20年後の1992年に "BBC RADIO 1 LIVE IN CONCERT" (Windsong WINCD 018) としてリリースされています。今回のセットと収録曲は同じですが、曲順が大幅に異なっています。なお、現在は、配信アルバム "BBC IN CONCERT (PARIS THEATRE, 6th JANUARY 1972)" として聞くことができますが、配信版は今回のセットと同じ曲順です。放送時は Windsong 版の曲順だったのが、コンサート当日の曲順に改められたのではないかと推測しています。
Disc 7 (KEVIN AYERS and ARCHIBALD in BANANA FOLLIES September 1972): "Introduction"、"(Don’t Sing No More) Sad Songs"、"Pretty Little Girl"、"Two Pigeons"、"Murder in the Air"、"‘Orrible Orange"、"Whatevershebringswesing"、 "Take Me to Tahiti"、"Oh! Wot a Dream"、"Marlene"、"Ball Bearing Blues"、"Fake Mexican Tourist Blues"、"Interview"、"You Say You Like My Hat (Hat Song)"、"Falling in Love Again"、"The End (Beware Of The Dog)"
1972年9月6日~9月24日にかけて、ロンドン、Hampstead Theatre Clubで行われた連続公演から、9月20日公演が、"BBC IN CONCERT" 用に収録されました(10月7日放送)。1998年に、"AYERS AND ARCHIBALD in BANANA FOLLIES" (Hux Records HUX 007) としてリリースされました。今回のセットでは、収録内容はほぼ同じようですが、CDでは割愛されていた "Marlene" が追加されています。
Archibaldは、バンド名だと思っていましたが、実は、ベーシスト、アーチー・リジェット Archie Leggett の変名で、ケヴィンさんとアーチーさんのふたりがホストとして、さまざまなゲストと共に、古い歌謡曲やケヴィンさんの新曲を演奏するバラエティショウという趣向だったようです。"BANANAMOUR" 見開きジャケのチェスに興じるケヴィンさんとアーチーさんの写真は、ステージでの様子を模したものとか。ゲストのロル・コクスヒルとデイヴィッド・ベッドフォードのデュオによるノスタルジックな "Pretty Little Girl"(The Coxhill-Bedford Duo としてシングルを1971年にリリース)、"Two Pigeons"(コクスヒル "EAR OF BEHOLDER" 収録)、寸劇("Murder in the Air"、未聴ですが、やはりコクスヒル氏がシングルを出しています)などに混ざり、本公演用に用意したと思われる新曲もノスタルジックで、コミカルなものになっています。新曲の一部は、"BANANAMOUR" に収録されることになります("Marlene" は "Decadence" に、"The End" は "Beware Of The Dog" に改作)。また、1930年の映画『嘆きの天使 Der blaue Engel』で、マレーネ・ディートリッヒ Marlene Dietrich が歌った "Falling In Love Again" のカバーは、1976年2月にシングル(Island Records WIP6271)としてリリースされます(1976年6月発売のアルバム "YES WE HAVE NO MANANAS (SO GET YOUR MANANAS TODAY)" (Harvest SHSP 4057) にも収録)。この録音は、配信でも、"BBC IN CONCERT (Hampstead Theatre Club, 20th September 1972)" として聞けますが、"Marlene" が含まれるものの、コクスヒルとベッドフォードのデュオや寸劇はカットされ、エアーズ作品のみになっています。
Disc 8 (Live Mile End 1972): "We Did it Again"、"Why Are We Sleeping?"
詳細不明ですが、1972年のライヴ録音が今回のセットで発掘されるようです。
Disc 9 (AFTER THE SHOW LIVE AT THE QUEEN ELIZABETH HALL MAY 1973): "Banana Introduction"、"Stranger in Blue Suede Shoes"、"Interview"、"Whatevershebringswesing"、"Oh! Wot a Dream"、"Shouting in a Bucket Blues"、"Caribbean Moon"、"Don’t Let it Get You Down"、"We Did it Again"、"Why Are We Sleeping?"、"After the Show"
発売が予定され、ジャケットまで制作されながらリリースされなかった1973年5月23日、ロンドン、Qeen Elizabeth Hallでのコンサート録音。2008年発売のアンソロジー、"SONGS FOR INSANE TIMES - AN ANTHOLOGY 1969-1980" (Harvest 521 5570) にボーナスディスクのような形で発掘リリースされました。今回のセットは、それと同内容のようです。

Kevin Ayers and The Whole World "HYDE PARK FREE CONCERT 1970"
Lol Coxhill "EAR OF BEHOLDER"
"BBC RADIO 1 LIVE IN CONCERT", "BBC IN CONCERT (PARIS THEATRE, 6th JANUARY 1972)"
"BANANA FOLLIES", "BBC IN CONCERT (Hampstead Theatre Club, 20th September 1972)"
"SONGS FOR INSANE TIMES - AN ANTHOLOGY 1969-1980"
"AFTER THE SHOW: LIVE AT THE QUEEN ELIZABETH HALL 1973"

■BBCセッション
・"Top Gear" 1970年2月10日録音、2月28日放送: Disc 1収録
・Alan Black Show 1970年5月20日録音、7月3日放送: Disc 4収録
・"Top Gear" 1970年6月9日録音、7月11日放送: Disc 4収録
・Bob Harris Show 1972年5月17日録音、6月12日放送: Disc 6収録
・Bob Harris Show 1973年4月11日録音、4月16日放送: Disc 7収録
全曲、BBC放送用録音を集めた2枚組 "THE BBC SESSIONS 1970-1976" (Hux Records HUX 073)(2005年10月発売)に収録されています。この確認をしていて、この2枚組を買いそびれていることに気付きました。というのも、BBC放送用録音集は、これ以前の1996年に、"SINGING THE BRUISE (The BBC Sessions 1970-72)" (Band Of Joy BOJCD 019) と "FIRST SHOW IN THE APPEARANCE BUSINESS (The BBC Sessions 1973-76)" (Band Of Joy BOJCD 020) がリリースされていて、持っているのですが、2枚組で増補されていることを把握しながら、いつか買い直そうと思っているうちに、どうもすっかり買った気になって、忘れてしまっていました。1970年2月10日録音の "Clarence in Wonderland"、"Stop This Train (Again Doing It)"、1970年5月20日録音の "Shooting at the Moon" は2枚組版にしか入っていないのに!
配信には、"Top Gear Session (10th February 1970)"、"Alan Black Session (20th May 1970)"、"Bob Harris Session (17th May 1972)" の3回分があります。

"SINGING THE BRUISE (The BBC Sessions 1970-72)", 
"FIRST SHOW IN THE APPEARANCE BUSINESS (The BBC Sessions 1973-76)", 
"THE BBC SESSIONS 1970-1976"
"Top Gear Session (10th February 1970)"
"Alan Black Session (20th May 1970)"
"Bob Harris Session (17th May 1972)"

■参加作品
David Bedford "THE GARDEN OF LOVE. for instrumental ensemble": Disc 2収録
1970年9月26日、ロンドン「Queen Elizabeth Hall」で収録、10月20日、「Music in Our Time」(BBC Radio 3)で放送。演奏は、デイヴィッド・アサートン David Atherton 指揮、ロンドン・シンフォニエッタ The London Sinfonietta、ケヴィン・エアーズ&ザ・ホール・ワールド Kevin Ayers and The Whole World。ウィリアム・ブレイク William Blake の詩集『無垢と経験の歌 The Songs of Innocence and of Experience』(1794年発行)収録の詩「愛の園 The Garden of Love」を基にした現代音楽作品です。1997年に "THE GARDEN OF LOVE" (Voiceprint VP180CD) としてリリースされた録音を再録しています。
David Bedford "Sad And Lonely Faces. for 6 pianos, instruments and voice": Disc 5収録
デイヴィッド・ベッドフォードのアルバム "NURSES SONG WITH ELEPHANTS" (Dandelion 2310 165)(1972年発売)から、ケヴィン・エアーズ参加曲を再録。
Bridget St. John "BBC PEEL SUNDAY CONCERT, 31st January 1971": Disc 4収録
"Jolie Madame"、"The Spider And The Fly"、"The Oyster And The Flying Fish"
親交があったシンガーソングライター、ブリジット・セント・ジョン Bridget St. John のBBC放送用録音を集めたアルバム "BBC RADIO 1968-1976" (Hux Records HUX 114)(2010年発売)に、ケヴィン・エアーズがゲスト出演したコンサートの録音(1971年1月31日放送)から、8曲が収録されています。そのうち、ケヴィンさんとデュエットしている3曲が再録されています。この時点では未発表であったケヴィン・エアーズ作品 "Jolie Madame" を演奏していることが目を引きます。"The Oyster And The Flying Fish" も、"SHOOTING AT THE MOON"(1970年10月発売)収録のケヴィン・エアーズ作品で、アルバムでも、ブリジットさんがデュエットしていました。謎なのが、"The Spider And The Fly"。この曲もエアーズ作品と記されていますが、他で聞くことができません。提供曲だったのか、自作用だったのか、果たして。
Gong feat. Kevin Ayers "Clarence In Wonderland" (BBC Session,  9th November 1971): Disc 4収録
ゴングのBBCジョン・ピール・ショウ出演(1971年11月9日録音、11月17日放送)に、ケヴィン・エアーズが参加し、何故か、ケヴィン作品 "Clarence In Wonderland" を演奏しています。セッションの全容は、1995年発売の "PRE-MODERNIST WIRELESS: THE PEEL SESSIONS" (Strange Fruit Records SFR CD 137) に収録されていますが、この曲の初出は、ゴングの雑多な録音を集めた1989年発売の編集盤 "THE MYSTERY AND THE HISTORY OF THE PLANET G**G" (Demi Monde DMLP 1018) と思われます。そこでは、Strange Fruit盤ではカットされているジョン・ピール氏によるメンバー紹介を聞くことができます。今回のセットではどうでしょうか。

David Bedford "THE GARDEN OF LOVE", "NURSES SONG WITH ELEPHANTS"
Bridget St. John "BBC RADIO 1968-1976"
Gong "THE MYSTERY AND THE HISTORY OF THE PLANET G**G", 
"PRE-MODERNIST WIRELESS: THE PEEL SESSIONS"

■初出録音
今回のセットで、初出と思われる録音は以下のとおり。
Disc 2 (LIVE AT HYDE PARK JULY 1970)
"The Lady Rachel"
Disc 4 (BBC PEEL SUNDAY CONCERT, 7th MAY 1970):
"Love Is"
"We Did It Again"
Disc 5 (WHATEVERSHEBRINGSWESING):
"Watching the Sun Go Down" (recorded May 1971)
"Whatevershebringswesing (first version)" (recorded May 1971)
"All This Crazy Gift of Time (1972 remake)"
Disc 7 (BANANA FOLLIES September 1972)
"Marlene"
Disc 8 (Live Mile End 1972):
"We Did it Again"
"Why Are We Sleeping?"

整理のため、既発作品をずっと聞いていたので、現時点では「もう新しく買い直さなくてもええかな」という気分ですが、初出と思われるもので特に気になるものはあります。見たことがないタイトルの2曲、"Love Is" と "Watching the Sun Go Down"。"The Lady Rachel" の初期ライヴでの演奏。アレンジの予想はしましたが、"All The Crazy Gift of Time" のリメイク版。といったところです。
既発作品に収録されていて、今回のセットに何故か収録されていない録音もありますが、ひとまず置いておきます。

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