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「リ・ブラスバンド通信」第3号(2000年1月)、第4号(2000年4月)
「リ・ブラスバンド通信」第3号(2000年1月)、第4号(2000年4月)
ミュージシャンやバンドが活動の広報のために発行する新聞やミニコミが好きです。略歴、その時点の最新情報やレポート、その後の予定が主な記事ですが、それらは、時間が経てば、記録になります。略歴を知ることで、そのミュージシャンのこれまでの活動、他の活動へと興味が広がります。
「リ・ブラスバンド通信」は、トロンボーン奏者の大原裕(おおはら ゆたか)さんが、1996年に結成したブラスバンド、リブ!ラフ!(LIVE! LAUGH!、略記は L!L!)の活動を伝える情報誌です。季刊、B5版、二つ折4ページ。編集発行人は大原裕さん、実質的な編集は石原基久(ガンジー石原)さん。手元には、第3号と第4号しかありません。定期購読はしておらず、見かけたら、もらってきていただけなので、いずれにしても、全号は揃っていません。でも、もうちょっとあった気がします。どこに紛れているのやら。
「リ・ブラスバンド通信」の誌面は、次のように構成されています。
P.1 ライヴレポート
P.2 「Live! Lough! Who's Who」、「Live! Lough!ナンバー紹介」(大原裕)、「おすすめ!のいっぴん!」
P.3 「Brassy Voice」(ゲスト寄稿者)、四コママンガ(吉野竜城)
P.4 「LAUGH! NEWS」、「LIVE! INFO」、「FROM EDITOR」、奥付
ライヴレポートは、第3号は、「水谷康久 (as)、安東まき子 (tb) が体験した『Festival BEYOND INNOCENCE '99』レポート」。1999年11月20日、21日に、神戸「ジーベックホール」で開催された第4回「Festival BEYOND INNOCENCE」(略称FBI)に出演したメンバーの報告です。第4号は、初めて大原裕氏抜きで行われた2000年1月26日、神戸「BIG APPLE」でのライヴについて、井上智士さん、山本信記さん、水谷康久さんが語られています。
「Live! Lough! Who's Who」はメンバー紹介。①生年月日、②出身地、③血液型、④影響を受けたアーティスト、⑤これまでの音楽歴、⑥音楽の魅力って?、⑦どんな音楽をやっていきたい?、⑧ Live! Laugh! について、⑨そのほかなんでも、という9つの設問に、第3号では光田臣さん (ds)、山本信記さん (tp)、第4号では、井上智士さん (ts)、中島早苗さん (as) が回答されています。
「Live! Lough!ナンバー紹介」は、大原裕さんによる楽曲紹介です。第3号は "Highlife Song"、"Highlife Hymn"、第4号は「旅行」について書かれています。"Highlife Song"、"Highlife Hymn" は、大原さんの曲ではなく、オムニバスアルバム "FROZEN BRASS Africa & Latin America (Anthology Of Brass Band Music #2)"(PAN Records PAN 2026 CD、1993年発売)収録の Peace Brass Band の曲。この2曲に衝撃を受けて、大原さんは、Live! Laugh! の青写真を描いた、とあります。リハーサルを開始したところで、「とある労働組合のデモの先導をブラスバンドがする」という依頼が来る。それがリブ!ラフ!のデビューだったことは、1999年9月発売のリブ!ラフ!のアルバム『風ヲ切ッテ進メ!』(off note on-34)に添付されている小説家、田中啓文さん(『聴いたら危険!ジャズ入門』の著書もあり)の解説にも書かれています。「旅行」は、さまざまなバンドでカバーされている大原さんの曲ですが、元は90年代前半に大原さんが率いていたトリオ、サイツ Sights のレパートリーとして作られたもので、「台風と旅行」というタイトルだったとか。
「おすすめ!のいっぴん!」は、リブ!ラフ!のファンに薦められるレコードの紹介で、第3号では、レコード店「Plantation」開店前の丸橋基さんが、The Bollywood Brass Band "The Bollywood Brass Band"(Emergency Exit Arts BOLLCD2001、1999年発売)を、第4号では編集を担当されている石原基久さんが、ビジリバ『ビジリバ宇宙』(F.M.N. sound factory FNC-017、2000年1月30日発売)を紹介されています。
「Brassy Voice」は、交流のあるミュージシャンによるブラスバンドについてのエッセイで、第3号は林栄一さん、第4号は渋谷毅さんが寄稿されています。
リブ!ラフ!は、アルコール依存症などにより大原さんとの活動がままならなくなり、2001年に活動を終了します。その後、2003年12月13日、大原裕さんが、火事により、44歳で逝去。大原さんのコンセプトは、リブ!ラフ!のメンバーを母体に結成された三田村管打団?に受け継がれ、楽曲は、大原さんの追悼コンサートをきっかけに結成されたpopoなど、交流のあった、あるいは影響を受けたミュージシャンにより、いまも演奏され続けています。とあるライヴからの帰り道、「あの曲、よかったね」と友人が言い、「大原裕さんの曲や」と答える、といったこともありました。
大原さんのバンド活動は多岐に渡っており、それぞれの録音物が入手困難になっていることもあり、演奏する側には親しまれているのに、聞く側にはまとまった情報がありません。アンソロジーかトリビュートアルバムの形で、大原裕作品集がリリースされないものか、ときどき聞いていただけのわたしには任は負えませんが、せめて楽曲一覧でも参照できるようにならないものかと願っています。
リブ!ラフ!『風ヲ切ッテ進メ!』(off note on-34、1999年9月発売)は、2024年2月現在、購入可です。
1. Steal Beats
2. Ciocarlia Si Suite
3. La Marchita
4. Nicoleta
5. チャ・チャ
6. 旅行
7. 美しき天然
8. 道頓堀行進曲
9. The International
10. 聞け万国の労働者
11. La Tema De Libre
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追記。2023年12月10日、「富山シティエフエム」の番組「JAZZ City」(18時~19時、DJ: 岡本勝之さん)で、大原裕さんの没後20年を偲ぶプログラムが放送されました。大阪からでも、インターネットサイマル放送で聞くことができました。放送された曲目をメモしておきます。
1. Sights - Days
2. Sights - Dexpso
3. Live! Laugh! - 旅行
4. 大島保克&オルケスタ・ボレ - ジントーヨーワルツ
5. モダンチョキチョキズ - アルサロ・ピンサロ(パヤツのテーマ)
6. LOS RUMBEROS featuring 有山じゅんじ - 月の唄が聞こえる
7. Sights - Africa Suites Part 1 / Part 2
8. Sights - Insects' House
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