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歌詞から見えるDa‐iCEの心境の変化


アーティストの活動年数が積み重なるうちに
作詞の傾向が変わるなんてものはよくある話だと思う。

例えば
「インディーズ時代は空飛ぶ乗り物が歌詞に出てきがちだったのがブレイクしてから車や歩きが増えた。」
みたいに
自分達の状況や願望が歌詞に影響を与えていて、その遍歴をファンが感じ取る機会は少なくないはずだ。



グループ結成から12年が経ったDa‐iCE。


楽曲数は100を超えていて

J-POPであるという根っこは変わらずとも様々なジャンルに挑戦したり、
主題歌タイアップとして物語に寄り添う作詞や自ら縛りを設けて作詞していたり、
積極的に国や世代を越えてコライトしたりと、

注目すべきポイントは数多あるだろう。


今回は歌詞、

しかもDa‐iCEの現状に対する心境が反映されている歌詞の楽曲について話したいと思う。






1. New Day

一曲目から"心境"という点からは少しズレてしまうのだが、この楽曲は外せないと思う。


「New Day」は
Da‐iCEが結成してから初めてもらった曲で
作詞はFAST LANE。

もう一人じゃないんだ

という歌詞。



楽曲のコンペシートにどれだけの情報が与えられているかは、時と場合によってまちまちだ。

恐らくこの時は
「新しく出来たばかりのダンス&ボーカルグループの楽曲」
くらいの事だろう。


しかし、彼等にとても重なる部分がある。




Da‐iCEはオーディションで結成されたグループではなく、事務所の平社員が独断で集めた5人で結成されたという。

メンバー自身も
オーディションを受けても縁が無く、
一度は就職した者や夢半ばで地元に帰りかけていた者など、それぞれ状況も環境もバラバラな5人であった。


そんな彼等に「もう一人じゃないんだ」という歌詞が重なる。

どんな時でも  前だけを見据えて行こう

手応えのない日々を
全部誰かのせいにしてるのはもうやめにしよう
信じたい気持ち  真っ直ぐに突き進め

ここの歌詞から
「先に何があるかは分からないし
時には迷うこともあるだろうがそれでも
後ろ向きな気持ちや過去はここに置いて、
明るい未来を信じ
がむしゃらに前へ進んで欲しい」

という
"この一曲から"新たに始まる彼等の人生へのエールとも取れる歌詞だ。


2. Cynical Life

ここから本題に入っていく。


「Cynical Life」は
2ndアルバム『EVERY SEASON』に収録されている楽曲で
作詞は工藤大輝とGASHIMA。

"こんな時代"とか
何かのせいにするつもりないけど

We don't care 神様だってそう
公平なワケなんてないね

ひたむきに、ガムシャラに、頑張ってみて分かった不条理の数々を
"時代"や"神"のせいと現実的ではない言葉で表現してある。

1つのことがうまくいかないと何もかもうまくいかないように思えてしまう時、人は何か大きなもののせいにしようとする。
逃げる口実を探しているからだ。

ただ、"逃げる"と言ってもマイナスな意味ではない。

偶然拾った栄光は永く続かないから

映画のような奇跡が起こるとは思ってないけど
描いていた夢の一つぐらいは
信じたっていいだろ


"偶然"や"奇跡"みたいなものではなく、自分達で得たものでないと意味がない

理想通りは諦めても望みを捨てたわけじゃない

イス取りゲームの勝敗なんかに興味ないね

シナリオなんてもう破り捨てられるだろう?

予め敷かれた負のレールも関係ない
勝ち負けに一喜一憂するより己を高めることを考えていこうという
"挑戦者"としての姿勢を感じる。



曲名「Cynical Life」の通り
今、目の前にある現実に対して皮肉を込めた、でも決して後ろ向きではなく僅かな希望を信じている歌詞だと思う。


3. Free Falling

「Free Falling」は
3rdアルバム『NEXT PHASE』に収録。
作詞は工藤大輝。

この楽曲は特に歌詞の尖りが強烈な楽曲だと思う。

叶えたやつの「夢は叶う」ほど
胡散臭いものはないだろう

温室で育った想いに重みは無い


順風満帆に行ってる人間を斜めに見ている。

単純なこと 余計なもの 取っ払って脳内
敢えて Losin' control
落ちてみなその崖から
無重力になってリセットまで Free Falling
砕け散った破片から生まれ変わるまで
敢えて Losin' control

全てを捨て、そのまま身を投げ、
堕ちるところまで堕ちてしまおう。

一見「Cynical Life」に比べて負の要素が多い。
しかし、"敢えて"とあるように
自暴自棄になっているのではなく、
何かしら狙い・隠し球があるように思わせる歌詞になっている。



そして、ここまでの3曲で共通して
"過去"についての表現が出てくる。


New Dayの
「引き返してしがみつく過去」
Cynical Lifeの
「もう何があっても過去なんて振り返らないで」
Free Fallingの
「あの日のafterglow引きずってばっかで」


New Dayでは今以前という
言葉そのままの意味での"過去"

しかし、Cynical LifeとFree Fallingの"過去"はグループを組んですぐに抱くような
"未来への期待感があった"、"純粋な気持ちを持っていた"頃の自分達という意味だと考え、

理不尽に直面して皮肉や悪態をついている歌詞との対比が表されていると感じた。


4. いつか…

「いつか」は
4thアルバム『BET』に収録。
作詞は大野雄大と花村想太。

他の曲が歌詞の中に所々心境を入れ込んでいるのと違い、この楽曲は歌詞が全編通してDa‐iCEの軌跡を示している。

その中でも特に

その全て紡いだ僕らはきっと
遥か先の夢も叶えてゆくから

メジャーデビュー5周年のアニバーサリーイヤーに作られたアルバムに収録されているラストの楽曲

てっきり、ここまで来れた感謝的な事を締めに持ってくると思っていたが、
「いつか…」は未来への誓いで締めている。

しかも"遥か先"と表現している。

あくまで自分達の位置はまだまだであると
ここでも"挑む側"、"追う側"である姿勢が窺える。


5. Phoenix

「Phoenix」は
ドラマの主題歌として書き下ろされ
配信シングルとしてリリースした後
5thアルバム『FACE』に収録。
作詞は工藤大輝と花村想太。


タイアップソング、
特にドラマ書き下ろし楽曲は
自分達に落とし込みはするものの作品に寄り添って作詞する事が第一に来るため今回のお題とズレるので入れないつもりでいた。

しかしこの「Phoenix」は
彼らの当時の状況と心境に合いすぎているので入れることにした。

HighもLowも網羅して

「Phoenix」リリースの前後でベストアルバムを引っ提げたツアーが開催されていた。
ホールツアーを終えた後、内容を少しバージョンアップさせてアリーナツアー2会場4公演を開催。
(大阪公演は新型コロナウイルスの影響で中止)
東京公演の会場は代々木第一体育館。


初めてのライブは渋谷にあるVUENOSという小さなライブハウスだったDa‐iCE。
そんな彼らが渋谷で1番大きなライブ会場である代々木第一体育館に立った。

まさに「HighもLowも網羅」している。

破天荒に身を焦がそう

飽くなきアイデアを焼べ続けていたい

駆け抜けろ 灰になるまで

肺も脳も全部燃やして

燃える表現が多々出てくるが、

フェニックスは
自ら火の中に入り焼け死ぬが再び蘇るとされているエジプト神話の霊鳥であり、
別名「火の鳥」、「不死鳥」と呼ぶ。

そんなフェニックスを表している歌詞だと言えるが、
ここで「Free Falling」の歌詞を思い出して貰いたい。


自己解釈で、"自暴自棄に堕ちていってるのではなく何かしら狙いや隠し球がある感じがする"と表現したのだが、
その答えがここで出た気がする。

どこまで堕ちようが、何度堕ちようが、
必ず這い上がってくる。

絶望はしたくない

これまでの楽曲で何度も希望を失うような表現が出てきたが、ここでハッキリと「絶望はしたくない」と出てきている。

「Cynical Life」や「Free Falling」で
順風満帆すぎたって意味がない、色々な経験をしてこそ更なる高みへと辿り着ける。
といった、マイナス面が強調されていた。

「Phoenix」で
そのマイナス面から変わっていく様子が
やっと描かれている。


『色々と経験するのも良かったけどそれもここまででいいですよ』
という想いが伝わってくる。



そして、実際にここから徐々に状況が変わっていく。




このアルバムを最後にDa‐iCEは
2020年にUNIVERSAL SIGMAからavex traxへとレーベル移籍する。

このアルバムが発売されたのはちょうど一度目の緊急事態措置が実施されていた時期で、
中にはリリース日を延期するアーティストもいた。
それでも彼らが予定通り発売したのは、すでにレーベル移籍後の予定も詰まっていたからだろう。

6ヶ月連続リリースの第1弾がAvexの伝統的なタイアップであるテレビアニメ『ONE PIECE』の主題歌、
第4弾にもDa‐iCE初となる地上波連ドラの主題歌と、
タイアップにもあまり恵まれてこなかった彼らに、立て続けに大型タイアップが2つも付いた。


6. Kartell

「Kartell」は
配信シングルとしてリリースし、
EP『REVERSi』に収録。
作詞は工藤大輝。

ここから明確に彼らの苦悩が変わっていく。


先にこの時期の情報を補足しておくと、
2021年
1月7日 CITRUS ストリーミング 1000万再生
4月2日 CITRUS -THE FIRST TAKE- 公開
5月26日 CITRUS LyricVideo 1000万再生
8月9日 Kartellリリース
9月8日 CITRUS ストリーミング 1億再生

嘘くさい常識を並べて
いつまでもその椅子に座ってはいられない

くだらない暗黙の了解が
進化を遅らせているのは明白でしょう

アンフェアなままにさせない

蹴飛ばせ忖度と不感症

目に見えない"何か"のせいにしていた今までとは違い

明確に、
目の前に立ち塞がる権力に対して盾突いて、
その力を行使する者達への「そんなんでいいのか?」という煽りのような表現に変わっている。

"煽りをできるような立場では無かったところから、背中が見えるところまで来た。"
というグループの変化を感じる。



先述したように、
2020年はタイアップが付いた楽曲が二つあったのだが、

この年、Da‐iCEは夏も冬も大型音楽番組にひとつも出られなかった。

翌年の1月には結成10周年を迎えることもあり
「今年は出られるんじゃないか」と
ファンもかなり大きな期待を抱いていたのだが、叶わなかった。



しかし、
翌年の4月にTHE FIRST TAKEに出演した事がきっかけで楽曲がじわじわ広がっていき、
歌ってみた動画を投稿する人も急増した事で
MVやストリーミングで再生回数が伸び始めた。

この辺りから音楽番組でサブスク再生回数の表示が増え、SNSでバズってるアーティストを取り上げる機会が急増した。

Da‐iCEが出演するための条件は充分揃った。と言える状態だった。

それでも、この年も夏の音楽特番にはひとつも出演できなかった。


明らかに不自然で、
ファンからしてもさすがにおかしいと感じる事が多かった時期だった。


そんな状況を
「嘘くさい常識」
「くだらない暗黙の了解」
「アンフェアなまま」
「忖度」
とド直球に表現している。


そして
「この曲が良いから出演させよう」や
「このパフォーマンスが凄いから出演させよう」
という理由があってのキャスティングでは無く、
ただ「人気あって視聴率に繋がりやすいから出しておこう」や
「なんかバズってるから出しておこう」
というただの業務で、感情の動きを感じない大人達の事を
本来の意味とは異なるが、「不感症」という言葉で表現しているのは、
かなりのパンチラインだと思う。





「いつまでもその椅子に座ってはいられない」
の歌詞は2つの捉え方がある気がしていて



1つ目は、

いつまで経っても権力でねじ伏せようとしたり、
大昔の関係性に縛られた忖度を繰り返し、安泰の地位を得てふんぞり返っている大人達に
「そんな状況がいつまでも続くと思うなよ」
という挑発的な警告の意味


2つ目は、

これはまた超個人的解釈にはなってしまうのだが
かつて、
「Cynical Life」で「イス取りゲームの勝敗なんかに興味ないね」と言っていたのに
アーティストとしての1つの節目と言えるベストアルバムを出したり、アリーナ規模の公演数が増えていく内に
売上枚数の週間ランキングや動員数のような目の前の数字に囚われる時期が増え、イス取りゲームへの比重が大きくなっていた自分達へ
まだまだ成し遂げていない事があったと思い起こし、再び高みを目指すための自戒の念も込めた意味。



実際には
メンバー達がどう捉えていたのかは分からないので、2つ目の解釈はただの妄想でしかない。

こうして視点を変えることで
意味が変わる余地のある歌詞は
すごく面白いし、いい歌詞だと思う。

ヤメナイ  ヤメナイ   誰が邪魔をしようと

積み上げてきた全てが希望

結果で捻じ伏せろ

何かの力が働いていたとして、
そんな力が及ばない領域まで
自分達自身で押し上げればいいじゃないか。

という意思が見える部分。



そして、それを有言実行する。

CITRUSの勢いは留まることを知らず、
アルバム発売から時間は空くも
「スッキリ」や「MUSIC BLOOD」など徐々にテレビでの披露数が増えた事もあって

9月には日本人男性ダンス&ボーカルグループとして初のストリーミング再生1億回を突破した。


長年、叶うことのなかった年末の音楽特番にも初出演が決まり
日本レコード大賞の優秀作品賞にも選出、
さらに大賞受賞。

と、まさに
積み上げてきた"全て"が希望
になったのだ。






「Kartell」と「Cynical Life」、「Free Falling」の3曲は
Da‐iCEの楽曲の中でも特に皮肉が前面に出ている曲だと言える。


7. スターマイン

「スターマイン」は
配信シングルとしてリリース。
作詞は工藤大輝。

やっと報われたと思ったDa‐iCEだが、
ここでもまた、新たな壁にぶち当たる。



まず、
スターマインとは"速射連発"という花火の打ち上げ法の名称である。

もちろん、この楽曲はその速射連発花火に関する歌詞になっており
歌詞と曲調のテンポ感から
"スターマイン"のスピード感を感じられるようになっている。


この曲は花火のことを歌っているのに
"花火"という単語は一度も歌詞に出てこない。

一発、二発という数え方や
鍵屋 玉屋という掛け声、
炎色反応 のように
花火に関する単語で間接的に表現していることは
あまり注目されていないが、
もっと評価されていいポイントだと思う。


そして、一聴して一番耳に残るのは
数え歌的な言葉遊びの部分だろう。

頭サビ15秒の間だけでも1から6の数字が順番に歌詞に含まれている。

そこから派生して替え歌も増え、
そう言ったおもしろ要素がこの楽曲の注目された要因だと思うが

ここではその裏に隠された歌詞の意味に注目しようと思う。

一発じゃ足りないのかい
二発目をおかわりしたい
三度目の正直なんて無い
四の五の言うなよ
ロクデモナイ

茹だるような熱さが鬱陶しい

次々打ち上がる花火を1つずつちまちま数えてないで、細かいこと気にせず楽しもうぜ!という
表向きは、打ち上げ花火のことを指しているこの歌詞。

しかし、これまでに出てきた楽曲と同じように皮肉がかなり込められている。




苦節10年やっと出た一発目のヒット「CITRUS」

二発目をおかわりしようと、今まで関わりも少なかったのに急に乗っかってくる周りの大人達が

目先のものだけ見て
『もしダメでも三度目の正直で…とか言ってる暇ないよ?すぐ結果出さないと』
なんて口だけ達者な様子に対して

四の五の言うな陸(ろく)でも無い奴等め



という反骨精神剥き出しの歌詞なのだ。





音楽の消費されるスピードの速さは尋常ではない。

SNSが発展して様々なきっかけでブレイクするようになった反面、新しい物へと流れるスピードも速い。
同じポジションに居続けることが
どれだけ難しいか。
それでも少し時間が空くとすぐに

"一発屋"なんて呼ばれてしまう。


そう呼ばれないためにも
1年以内に次なるヒットを作らないといけないことは我々素人にだって分かる。



ただ、

そんなことわざわざ言われなくたって
アーティスト本人は
毎曲毎曲当てたい気持ちで書いてるだろうし

ましてやそれを今まで自分達を担当してきた訳でもない上の大人達が一曲ヒットした途端に目の色変えて群がって言ってきたら

腹立つなんてものじゃない。



そんな状況を
たった15秒間のサビでポップな歌詞に隠しながらも表現している。





「茹だるような熱さが鬱陶しい」は

もちろんそのまま夏の暑さを意味しているのだが、
歌詞を見て少し違和感を抱いたはずだ。

"暑さ"という漢字が"熱さ"になっている。


突然群がってきた上の大人達の"熱苦しさ"を揶揄している。

露出ばかり増えるんじゃ意味ないね
本当の意味での祭りはこれからさ

夏になって肌の露出が増えていくことに対して
「そんな浮かれ方でいいの?」と俯瞰する様子と

実際には花火が上がることは祭りの終わりが近づいてることを合図するが、
祭りは終わっても俺達の中での祭りはまだまだ終わらないぜ
という夏の終わりを惜しみつつも全力で楽しむ様子が

ここでは表現されている。




しかしこれも、もうひとつ別の意味が込められている。


露出は露出でも
肌の露出ではなく、メディア露出。

アーティストとして話をするのではなく、何となくそこに居るだけのバラエティ番組など

ただ露出が増えればいいってもんじゃないでしょ?
という考え

さらに
『レコ大で大賞を獲って、あんたらはもうお祭り気分は終了してるのかもしれないが
こんなもんじゃ終わらないぜ』

という
アーティストとしての姿勢を感じる歌詞にもなっている。

類を見ないような手順で
スタンバイ
さぁ 打ち上げろ

ダンス&ボーカルである以上、
ある程度楽曲の方向性は似通ったものになってしまうのが世の常である。



それでもDa‐iCEは

ダンスで表現するには難しいジャンルの楽曲にもチャレンジし、
様々なタイミングでその都度言い続けてきた"J-POPをやる"という芯も貫き、
そのスタイルをダンス&ボーカルの1つの形として世間に証明できたグループだと思う。


これは決して簡単なことではない。




誤解を招きそうなので先に訂正しておくが、
スタイルを貫かないことが
凄くないということではない。


時代の流れや環境の変化、自身の考え方に合わせて変えていくことが大事だ。

自分自身のQOLを上げるためにも
自分自身を失わないためにも。



ただ
メンバーが5人いても全員のやりたいことがまとまっていて、
目に見える結果が出るまでこれだけ時間がかかっても
進むのをやめなかったことは

評価せざるを得ないだろう。

上がって がって 合点
でもね たまにゃ
下がって がって ガッデム

表向きの歌詞を見ていても
この楽曲を通して丸々明るい印象でも
ここだけ少し暗い印象を受けると思う。



メンバー作詞の共通点で、
彼等が書く歌詞は毎回暗い面を持っている。

元々の性格もあるとは思うが、
前向きだけで進むのは難しいことを
痛いほど感じてきたからではないかと思っている。


上がっていくだけじゃなく
下がっていくこともある

という、
順調ではなかった道のりを感じる。





ライブのMCや個人個人のブログなど
お気持ちを表明する場は
活動の中で多いはずなのに
マイナスな感情を口にしてるところを
あまり見たことない。


ライブ会場まで自分達で運転して移動していた話や観客が片手で数え切れる程しかいなかった話など
苦労話として哀愁たっぷりに語ってもいいことを
「その時はそれも楽しかった」と語っている場面をよく見かける。

もちろん本心だからなのだろうが

それでもマインドの置き所など上手にコントロールしながら活動できていたんだなと思っていた。


毎年毎年、
リーダーの工藤大輝はラジオの終わりに
「来年もまだまだ突っ走っていきますので楽しみにしていて下さい」
と先を見せてくれる発言をしていた。


しかし、
INSIDE THE FIRST TAKEのインタビューで
珍しく
「進退を考えるほど行き詰まっていた」
という当時の状況を聞いて

裏で何が起こっているか、何を思っているか
絶対に表には出さないようにしていることを
再確認した時だった。


代わりに歌詞に想いが乗せられている。


スターマインではしっかり
「ガッデム」(訳:ちくしょう)と
感情剥き出しにしている。


寄ってらっしゃい
見てらっしゃい
でも外野はさっさと黙らっしゃい
わっしょい わっしょい
騒ぎ立てるよりこの瞬間大事にしない?

この外野は
最初に出てきた上の大人達だけでなく
レコ大で大賞を獲った時に湧いてきた
「Da‐iCE?誰だよw」とお祝いムードの中にわざわざ水差すような書き込みをした輩など
そんな陸(ろく)でもない人達のこと。



「騒ぎ立てるよりこの瞬間大事にしない?」は
ファンに対しての言葉だろう。



どこの界隈に限らず
色々な場面で馬鹿にされたり腹立つことはある

SNSが発展して
要らぬ争いや晒し上げが増え、ファン同士の惨めな張り合いも増えている

冷静になって客観視すれば誰でも気づくと思うが
心底くだらないし、あれほど滑稽なことは他にないと言い切ってもいいくらいだ。

でも
わざわざ棘のある余計な一言を言って火に油を注いだりと、
争いの最中には冷静になれない人が多いだろうし
何より
自分の好きなものを貶されたり唐突に煽られたら腹立つものだ。

そんな我々に対して



『そんな奴にいちいち反応してたって時間もったいないし、
こっちはこっちで今を楽しもう。』

なんて言われている気がする。




(ただし、度が過ぎる迷惑行為などはすぐに開示請求しましょう。
SNSトラブルの件数が増えていることで昔よりも必要な手順が減り、特定するまでの期間が短縮されているようです。まずは調べてみたり相談するだけでもいいんじゃないでしょうか。
無理してあなたの心が病みませんように。)


真っ暗な空を照らす
命の火花散らそう
悲しみも吹き飛ばす
最大火力で
さぁ 打ち上げろ

彼等のパフォーマンスを見てる時
命を削りながらパフォーマンスをしてる
なんて、ふと思う瞬間がある。



難しい歌、難しいダンスを
1曲目から全力で
ライブの始めの1ブロック終わる前から
もう汗だくの時

ではない。


それは毎回だし、
申し訳ないが
涼しげにライブをしてるところは観たことない。


さらにもう一段階上

限界を超えながらパフォーマンスして
静かに顔を歪ませている時

届けたい、伝えたい
という想いを感じ取って


命を削ってパフォーマンスしてると感じる。




終わりに

ここまで自己解釈を述べておいて言うことではないが、
歌詞の裏に隠された意味などをファン以外に押し売りするのは好きではない。


より詳しく言うと
その楽曲を知らない人に紹介する時に
裏テーマから説明するのは好きではない。



料理を提供し、説明する時に
「隠し味はこれなんですよ」と自慢げに言ってしまう人への違和感に近くて

あくまで本体を引き立てるための隠し要素を
先出しして、何なら前面に押し出して来られたら、
どっちを引き立てたいのか分からない。



音楽もそうで

まずはストレートに楽曲のテーマを受け取り、
そこから隠された裏テーマを考察していき、
ファン同士でそれぞれの解釈を擦り合わせていけることが

聴く側の楽しみ方で
理想形だと思っている。


アーティストが詳しい楽曲解説をしたがらない理由によく挙げられる
「解説したことによって答えが固定化されてしまい受け取り手の解釈が広がらなくなってしまうのが嫌」
というのは正にこれで、

作家としては
自分が作った曲をファンが
「あーでもない、こーでもない」
と考えを巡らせている様子を見るのが一つの理想形なのだろう。





たとえ自分の好きなアーティストでなくても
どういうアーティスト・作家の楽曲に限らず

表向きの歌詞だけ見て「ダサい」と簡単にまとめてしまうことはしたくない。
伝えたいことは何か、何が隠されているのかを
考えることが
与えられた側に託されていること。

ただ、それを前面的に押し出してしまったら
作り手が隠した意味がなくなってしまう気がする。


はじめは言わず
一通り聴いて満足してそうな人に
「実はこの曲…」と伝えて、そこから
その人なりの解釈が生まれたら面白い。





今回のnoteで

1曲目は
ここから歩む道に対しての志を示した曲。


6曲の中で
壁にぶち当たりながらも、もがき苦しんでいた時から

そんな現状を打破できる時が来たかと思えば、次は権力によって阻まれる

やっと結果は出したが、今度は身近の無自覚な圧力に悩まされる

と、苦悩とそれに対する心の変化が
Da-iCEの活躍具合により見事に移り変わっていく様子が読み取れただろう。


リアルは口で語らない代わりに歌詞に反映させようという彼等のアーティストとしての姿勢も見えた楽曲だったと思う。



今回は厳選して、その時々の状況をリアルに表現されていると思った6曲に絞ったが、

楽曲の世界観に紛れるよう何かに例えていたり
タイアップがあればその作品に合わせながら表現していたりと

活動に対する姿勢は色んな楽曲に忍び込ませられているので
ご自身で深読みしながら読み解いてみて欲しい。






ヒット曲を出すまでは長かったが、
ここからは前進するも後退するも
年単位ですぐに変化していくだろう。

そう遠くない未来

2,3年後くらいに

彼等を取り巻く環境と心境が
どのフェーズに移っているのか楽しみだ。









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