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ものづくりインタビュー

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ものづくりの現場で、改革/改善に挑戦されている人たちに、その取り組みのストーリーをリアルに語っていただくインタビューです。同じように改革/改善に取り組まれている方、そしてこれから… もっと読む
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#町工場

日本で6社しかない革漉きの仕事を未来に繋ぐ 株式会社伊藤登商店 伊藤 勢一郎さん

今回編集部が取材したのは「革漉き(かわすき)」を行っている工場です。革漉きとは、簡単にいうと革を薄くする作業のことです。皆さんの手元にある革製品のほとんどは、革漉きによって薄くした革を加工して作られています。薄くすると言ってもその道は奥深く、どのくらい薄くするかは扱う革の種類や部位によって変わります。 株式会社伊藤登商店ホームページ(革製品の特徴について紹介されています) お話を伺ったのは株式会社伊藤登商店の伊藤勢一郎(いとう せいいちろう)さんです。伊藤さんの革漉き工場

厳しい現実を受け入れ、紙屋に何ができるか考えた 紙100%の『ホントの紙ねんどつくるキット』株式会社相馬 久保田 明男さん

2022年7月に開催された「第18回ライフスタイルWeek夏」で興味深いブースを見つけました。そのブースに掲げてあったのは『ホントの紙ねんど』という文字です。子供の頃に紙粘土を使って遊んでいた記憶が蘇りました。 一般的な紙粘土、実は紙が入っていない!? ブースに立ち寄り話を聞くと、実は一般的に市販されている紙粘土の主な原料は炭酸カルシウムで、ほとんど『紙』が入っていないんだとか!『ホントの紙ねんどつくるキット』は『紙(パルプ)』100%で作った紙ねんど、だから『ホント』な

小さなロスを潰し『もっとラクに働けて、仕事に集中できる』町工場へ 有限会社今村精工 今村清孝さん

編集部は長野県飯田市にある有限会社今村精工を訪ねました。今村精工はマシニングセンタやNC旋盤加工機を用いた精密部品加工を行なっています。今回お話を伺ったのは、専務取締役の今村清孝(いまむら きよたか)さんです。 編集部が注目したのは今村精工のIT・IoT化についてです。今村さんが入社された2011年頃から取り組み始め、様々なツールを活用しながら、『もっとラクに働けて、仕事に集中できる』そんな町工場を目指しています。 近年、IT・IoT化に取り組む町工場は増加しています。2

イチからものづくりするのは面白い 有限会社コバ 小林巧弥さん

群馬県みどり市で金属旋盤加工業を営む有限会社コバさんを訪ねました。 特徴は「手込め(てごめ)」による切削加工を行なっている点です。手込めとは手作業による加工のことで、もちろん機械は使いますが手作業が多く、人の目が入るため製品異常に気付きやすく、不良品を未然に防ぐことができます。小ロットでの加工にも適しており、多品種少量生産のオーダーにも対応できます。コバはあらゆる形状、仕様、数量の製品に対応するため「手込め」加工を取り入れています。 今回は取締役副社長の小林 巧弥(こばや

幼少期に描いた作品と再会してひらめいた 思い出を飾って残せるポケットフレーム 渡邉製本株式会社 河合枝里子さん

東京都荒川区東日暮里にある渡邉製本株式会社を訪ねました。荒川区は印刷業が盛んな町で、渡邉製本の会社周辺には印刷関連の町工場が軒を連ねています。 渡邉製本は昭和21年(1946年)の創業以来75年以上、機械加工と手加工による製本業を営んでいます。 今回は自社製品プロジェクト担当の河合 枝里子(かわい えりこ)さんにお話を伺いました。河合さんは渡邉製本を営むご両親のもとに生まれ、現在は家業にて自社製品開発や広報を担当されています。 ーーお生まれは現在工場がある荒川区周辺です

ブランディングとはものづくり 町工場の規模のまま世界と戦いたい 藤田金属株式会社 藤田 盛一郎さん

大阪府八尾市に降り立った編集部は、突然巨大な白いフライパンに遭遇しました。 この巨大フライパンがあるのは、昭和26年(1951年)の創業以来、フライパン、アルミタンブラー、アルミ急須など金属製のキッチン用品や家庭用品などを製造している藤田金属株式会社さんです。2021年に新しくしたばかりだという黒い外壁の建物は奥が工場、右が事務所です。 こちらは、フライパン製造に使われる金属板を油通ししている様子です。藤田金属の従業員は19名(2022年5月時点)で、平均年齢は35歳です

隠れてるけど実は美しくカッコいい基板を表に出したい スタートは“ピンクのプチプチ”? 株式会社電子技販 北山寛樹さん

大阪府吹田市にある株式会社電子技販の北山寛樹(きたやま ひろき)さんにお話を伺いました。電子技販はプリント基板の実装や電子部品の販売をしています。 3ヶ月かけてオーストラリア1周を達成ーー北山さんは大学卒業後すぐ家業に入られていますが、元々そのような予定だったのですか? 本当は外国語学部に進学し、オーストラリアで日本人向けの観光ビジネスをしたいと思っていました。昔「なるほど!ザ・ワールド」という番組に出ていたオーストラリア人が底抜けに明るくて、こんなところに住んでみたいと

町工場向けIoTを提案する ITグループ 田原健次さん(枚岡合金工具特集Vol.3)

編集部は大阪市生野区にある冷感鍛造金型製造・枚岡合金工具を取材しました。枚岡合金工具は徹底した3S(整理、整頓、清掃)活動のほか、IT化にも積極的に取り組んでおられます。そのきっかけは製造グループ渡邊成雄さんの働きかけがありました。 枚岡合金工具特集のVol.1、Vol.2の記事で、そこまでの詳しい内容をご覧いただけます。 特集Vol.1:工場改善のネタは尽きることはない「第857回早朝工場見学会」@枚岡合金工具 潜入レポート 特集Vol.2:町工場IoT化のきっかけを

町工場IoT化のきっかけを作った製造グループ渡邊成雄さん(枚岡合金工具特集Vol.2)

編集部は大阪府大阪市生野区にある冷感鍛造金型製造・枚岡合金工具を取材しました。(特集Vol.1)工場見学の様子はこちらをご覧ください。工場見学の後、インタビューのために編集部チームが案内されたのはこの建物。外からの見た目ではこの中には工作機械があるのかと思ったのですが、 なんとおしゃれな食堂が出現!その名も「cafe Hiraoka」。ランチタイムにはみなさんこちらでお弁当を召し上がるのだそうです。 この食堂で、編集部は町工場IoT化のきっかけを作ったという方にお話をお聞

工場改善のネタは尽きることはない「第857回早朝工場見学会」@枚岡合金工具 潜入レポート(枚岡合金工具特集Vol.1)

長屋の中に出現する町工場 大阪メトロ千日前線の北巽駅に降り立った編集部チームは、Googleマップを手に今日の工場見学の場所を探して歩きました。 道路沿いには住宅と小規模な工場が立ち並んでいます。次第に道路が狭くなり、長屋の間を抜けていくと、その工場が現れました。 ここが今日の工場見学、枚岡合金工具金型事業部の工場です。2階にあるセミナー部屋に通されると、代表取締役会長の古芝保治(ふるしばやすはる)さんとIT事業部の林 朋可(はやし ともか)さんが出迎えてくださいました。

「会社にボルダリングクラブを」日本ツクリダス システムエンジニア 胡子勝広さん(日本ツクリダス特集2)

日本ツクリダスさんは大阪府堺市に拠点を構える町工場ですが、製造商社機能も持ち、さらにITシステムの開発販売も行う「モノづくりサービス企業」です。『5つ星の工場を目指す』という行動指針をFive Star Factoryロゴで表し、社内のあちこちに掲げておられます。 日本ツクリダス株式会社前編をご覧いただくと、工場見学の様子と代表の角野さんのインタビューがご覧になれます。 自社で使える工程管理システムを作りたい、どうせ作るなら他の会社でも使えるものを作りたい、という代表の角

「アトをついでないアトツギ」日本ツクリダス 角野嘉一さん(日本ツクリダス特集1)

大阪の泉北高速鉄道という鉄道路線の「泉ヶ丘」という駅を降りて車で5分ほど、新興住宅街のなかにそのオフィスは建っていました。目立つ青い建物。そして大きなFive Star Factoryというロゴ。この建物が日本ツクリダス株式会社の本社です。 1階が工場、2階がオフィスとなっています。靴を脱いで階段を上がるとそこにも同じロゴがあります。 このロゴは社員が共通の認識を持つためのシンボルとしてあらゆるところに掲げられています。『5つ星の工場を目指す』という行動指針を表しているそ