ビューティアドバイザーが異世界へ行く話(仮)3
3.異世界人に、自己紹介する
暗い夜道を帰り、エナを転ばせることもなく自宅へたどり着いた。
俺は腰に下げていたカンテラを玄関扉の横にある釣鐘に引っかける。ここにカンテラが無いということは、母はまだ仕事から帰っていないということだ。
中にいるであろう家人に配慮して、扉を数度ノックした。返事は無いが、自分の家なので特に遠慮することもなく玄関扉を開ける。
ひとの家に入るのは、エナも緊張するだろう。俺は無礼は承知で先に家の中へ入り、片手で扉を押さえてエナを促した。
「どうぞ、遠慮しなくていいぞ。母はまだ帰っていないようだし」
「お邪魔します」
エナは律儀に玄関をくぐる前にぺこりと一礼してから、家の中へと踏み込んだ。エナに続いて、俺も家に入り、後ろ手に扉を閉める。
その時、エナが短く声を上げた。
「あっ」
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