「2.5次元文化」に求める潜在価値とは
黒河です。
今月号の「美術手帖」で、2.5次元文化が特集されました。
だいぶ前から、ビジネスとしては非常に興味深いと思っていた分野だったし、いちオタクとして個人的に気になるジャンルだったから、心持ちとしては、「来た来た!」といった感じです。
ここ数年で一気に「2.5次元文化」というものが認知されだしたように思います。
漫画やアニメやゲームの作品を、舞台という手法で表現する。
2次元(紙や画面上の媒体)と
3次元(現実に相対する立体的な媒体)の中間
という意味で、2.5次元と呼ばれるのだと思う。
美術手帖のインタビュー記事の中でも、振り付け師の上松先生が言っていたけど、
2.5次元とは、つまり「会えないはずのものに会いに行ける場所」!
AKB48が「会いに行けるアイドル」として売り出されていたのは有名な話だし、恐らく今の社会や文化は、「会うこと」に価値があると感じる人が多いんでしょう。
今まで神聖視して、雲の上の存在で、手を伸ばしても届かなかったり、画面や次元に阻まれてのぞき込めなかったところ。そこを積極的にチラ見せすることで、ファンやファン予備軍に訴求しているんだろうな、と。
メタな見方だけど、うまいなあと思います。嫌な意味じゃなくて、純粋に。
▶我らがテニミュ!
美術手帖の中で、「2.5次元文化」を牽引してきた存在として、「テニスの王子様」のミュージカル、通称「テニミュ」が大きく取り上げられていました。
テニミュのエグゼクティブプロデューサーである松田さんは、ヒットの理由として、
日本のアニメ、ゲームにおいて、キャラクターは非常に重要かつ重視すべき魅力のひとつで、俳優の技術や経験よりもその『キャラクター性』に重きを置いてキャスティングした点
を挙げています。
また、振り付け師の上島先生は、
お客さんの目線は、学校のマネージャーみたいな感じで、キャラクターたちと同じ時間を生きている
お客さんはそこに一緒に入学して、彼ら(俳優)がだんだん上手くなっていき、だんだん仲良くなっていくのを、ハラハラしながら見ていく。
のだと、途中で気づいたと語っています。
このお二人の言葉を見るだけでも、オタクの我々は何故テニミュがヒットしたか納得できるでしょう。
要するに、オタクの我々が「実写化」(描写を3次元に寄せること)に求めている点は、お二人が語ったこの二点なんです。
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