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仏壇を買い替えたせいで?

5月26日は仲良しで大好きな伯母の祥月命日だ。35年前に膵臓がんで亡くなっている。
同年のクリスマス・イブには実父が交通事故に遭った、と電話で連絡があり、意識不明のまま大晦日に他界した。

実は前年、私の初任給で実家の仏壇を新調している。その前のものは古くて小さい、台などにのせるタイプだったので、きらびやかで立派な床置きの仏壇に買い替えることが昔からの夢だったが、そのせいで親族を立て続けに亡くすことになったなどと親戚のあいだでは一時ウワサになった。当然、因果関係は不明。ただ、珍しいもの、新しもの好きな伯母と父親のことだから、この説は一理ありそうだと誰かが言ったらみんな納得していた様子。

インパクトの強いことが次々に起きると、これだけの月日が流れてもよく覚えているものだ。

子供の頃からお互いの家をよく行き来し、伯母には思いっきり遊んでもらってイイこともイケナイことも教わった。まだ小さかった私を一人の人間として扱ってくれてありがたかった。また、今で言う陰謀論みたいなことや裏話などを幅広く持っていて面白おかしく語っていたが、あながち間違ってもいなそうなのでますますリスペクトできた。たとえば、✕✕✕は八〇〇長だとか……。

一方、父親との接触は極端に少ない環境だった。覚えているのは肌寒い体育の日(10月10日で固定だった時代)に、朝から自転車を一緒に買いに行ったことくらいだ。
もし、誰ともなんの関連もなく、いきなりポツンと父が亡くなったら、もしかしたらだんだん忘れていってしまうところだったかもしれない。伯母とセットで存在感を残す作戦なら大成功である。当然、真偽のほどは定かではなく、誰が立てた作戦かもわからないが。

〈終〉

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