ネクラ・ネアカ

子供の頃(まさに80年代)だけど、
「ネアカ(根明)・ネクラ(根暗)」って言葉が大流行したことがあった。

今で言う陰キャ陽キャと同意語か?

もともとはいしかわじゅん氏が作ったらしいけど、それをタモリがオールナイトニッポンで使ったら、それもかなり曲解した意味で流行ってしまったと聞く。

まぁ…タモリさんは決して「ネアカ」なタイプではないと思うけどね。
基本、マニアック芸風だし
(でなきゃイグアナの物真似や数カ国語麻雀なんてやらない)


とにかく「外向的」で無い者は人に非ず的な感じで、世間的にも徹底的に内向的な人間やインドア的趣味を馬鹿にする風潮が強かった様に感じた。

ちょっとでも「マニアック要素」があると、全て「ネクラ」とカテゴライズされたが為に、なんというか…そういったことを人前で公言することすらはばかれたのですよ。


例えば、今でこそ「PC」はライフライン・情報ソースとして不可欠な道具だけども
(無ければ仕事にならない人も多いでしょう)
当時はそんな感覚は一切なし。

インターネットの前身だった「パソコン通信」なんてやってた日には「やだぁ、あの人、くらーい」とか言われて蔑まされるのがオチって感じだった。


というか、ネクラネアカという価値観がだいぶ落ち着いた?21世紀目前にになってからも
学生時代のとある知り合い(しかもそいつは情報系学部だ)に 「パソコンとかってオタクだよね。触りたくない」って言われたことがある。

当時、ネットは既に普通のものになってました。ちなみにWindows98もとっくに出てた。

流石に呆れたので
「なら独りで時代に取り残されてろ」と冷たく突き放したことがありますが…(笑)

++

若い世代だけでそんなことを言ってる分には
「ああ、世間知らずなのね」で済むかもしれないけど、当時はいい年した大人を含む世間全体が
「明るいことはいいことだ。内省的な人間はどこかに欠陥がある。」 みたいな目で見てたところがあったのが始末に悪い。


たとえば素人参加番組でちょっと大人しい人が出てくるだけで「暗いよ」って馬鹿にされていじられるようなものがよくOAされてた。

言うなれば
「ネアカ(根明)=善いこと。対してネクラ(根暗)=圧倒的に悪いこと」
という、徹底して「二分した」図式が世間一般で出来上がってた感じ。

はっきり言わなくても「偏見だろ」って感じだけど。でもそれがまかり通ってたんだよな。

勿論、当時も
「人間は二極化できるほど単純なものじゃない」
と思慮深く考えられる人はいっぱいいたと思うけど、 そういう声は最初から抹殺されてる様なところはあった様に感じてた。

社会がそういう風潮だと、学校に至ってもモロにそっちの方に靡く。
「暗い子・おとなしい子はいじめられて当然」みたいな、まったくもってよろしくない認識が生まれたりした感はあった。


大体、先生からして
「運動部で活躍するのはいい子・文化部はダメな子が入る」
みたいな偏見があるんだもんよ。
(勿論、そうじゃない先生もいらっしゃったとは思うけど)

今の学校はどういう空気感なのかわからないけど、当時はこんな感じのところは多かったんじゃないかな?

なんてったって、社会がそういう風潮なんだもん。

+++

自分、今もそういう傾向は強いけど、子供の頃はもっと「自分を出す」ことが出来なかったからね。
正直、そういう意味ではしんどい少年時代ではありましたよ。

小学校の通知表でも
「休み時間に外で遊びません。もっと外で遊ばせましょう」とか書かれたことあるし。


父親からは「気にするな。お前はお前で居ればいい」と言われてたけど、でも当時はそんな割り切りが出来る程成長してなかったからね。

世間一般でいう、ステレオタイプな少年像との乖離に悩んだものの、結局どうすることもできず。


中学に入った際、自分を変えたいという意識が少しだけあったのと、大筋「世間の風潮」に負けて、無理して「剣道部」に入部してみました。

…が、結果として、今でもトラウマになっております。


それでも20歳ぐらいまでは
「面白い人になろう。周りから楽しいと感じてもらえるような人になろう」
なんて大層なことを思ってたのかな(笑)

当然、無理してるから次第に疲れてきて。

「別に暗くてもいいや。俺はコメディアンじゃないんだし面白いことを言う必要はない」って開き直ったら、
だいぶ人生ラクになったし、無理せずに友達も出来るようになってきた。

反面「マイペースすぎる」とも揶揄される様になってきたけども…


キャラを作るのって疲れるし、必ずどこかで歪が出てくるからね。


夏目漱石もこう書いている。

「あまり合わない背広を無理にきるとほころびる」って

これ、ホントだと思いますよ。


結局のところ、マスコミが垂れながした「ネアカネクラ」の徹底した「二分論」
あれは戦後ワースト10に入るぐらいのミスリードだと今でも思ってるんだけども。


※この文章を書くにあたり、ネット上の考察をいろいろと参考にさせていただきました。
公の論文じゃないので許してね(笑)

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