「鉄メロ」界への誘い
この記事は、熊野寮OP Advent Calendar 2023の2日目の記事です。
皆さんは、鉄道に乗るときに音楽を聴いたことはあるでしょうか。おそらく知らず知らずのうちに、大多数の人が耳にしているのではないかと思います。
この記事では、そんな鉄道に関するメロディ、「鉄メロ」について、私が好きなメロディたちを紹介したいというものです。
なお、この記事では内容の性質上、必要に応じて音源としてYoutubeやSpotifyのリンクを貼っています。是非音楽を聴きながらお楽しみください。
「鉄メロ」とは
私が執筆中に勝手に定義した言葉です。主に、
駅メロ
発車メロディ
接近メロディ
他、駅で聴けるメロディ
車内チャイム/車内メロディ
を総合してこう呼ぼうと思います。
例を挙げますと、東京に行ってJRを使った人ならほぼ間違いなく聴いたことのあるこの音。
このメロディに続いて、「まもなく○番線に○○行が参ります」という案内放送が流れます。これは「接近メロディ」の一種。いわゆる駅で聞こえるメロディ、駅メロです。これ以外にも、列車が発車する時に流れる「発車メロディ」も駅メロに分類されます。
あとは、今年メロディの変更が少し話題になった新幹線のメロディ。
これは東海道新幹線で「今日も、新幹線をご利用くださいまして、ありがとうございます。…」という車内放送の前に流れていたものです。東海道新幹線のメロディは、今年の7月に20年近く親しまれたこの'AMBITIOUS JAPAN!'のメロディから「会いに行こう」というメロディに変わりました。
これは、車内で聴けるメロディということで「車内チャイム」と呼ばれています。
この記事では、奥深い「鉄メロ」の世界の入り口を読者の皆さんに紹介しようと思います。
鉄メロに採用されるメロディは、メロディ用にオリジナルに作曲されるもの(ここでは「オリジナル系」鉄メロと呼びます)と、一般によく知られている歌などをアレンジしたもの(ここでは「アレンジ系鉄メロ」と呼びます)があります。今回はよく知られたアレンジ系鉄メロのうち、興味深い曲を紹介しようと思います。
同じ曲でも様々なバリエーション
蒸気機関車が引っ張る超特急999号に乗って星々を旅する「銀河鉄道999」という漫画があります。この映画の主題歌「銀河鉄道999 (歌:ゴダイゴ)」はTBSの朝の情報番組「THE TIME,」のテーマ曲として使用されるなど、今なお有名ですね。
鉄道をモチーフにしている故か、この曲をアレンジした駅メロは複数あります。アレンジごとの違いに注目して、駅メロの面白さを紹介できればと思います。
西武池袋線 大泉学園駅
おそらく全国で初めてこの曲が発車メロディに採用されたのが東京都練馬区にある、西武池袋線・大泉学園駅です。
上り(1番ホーム)と下り(2番ホーム)で曲の異なる部分がアレンジされており、上りでは♪Galaxy express 999~と♪Journey to the stars~の部分が、下りでは♪さあ行くんだその顔を上げて~の部分がメロディになっています。
このメロディは、作者である松本零士さん、そして作品の銀河鉄道999が大泉学園の街にゆかりがあるということで採用されたようです。そのときにはニュースにもなったようです。
この動画の概要欄にも書いてありますが、このメロディは作曲者であるタケカワユキヒデさんご自身でアレンジされたらしく、時間の制約(5秒)からなかなか大変だったとのことです。
確かに西武鉄道の発車メロディは短いものが多く、大泉学園駅のメロディは偉大な原曲からエッセンスが凝縮されていると言えそうです。
JR横浜線 淵野辺駅
2014年からこの曲が発車メロディとして採用されているのが、神奈川県相模原市の淵野辺駅です。
こちらは、先程の大泉学園駅のものに比べると長く、1番線では♪さあ行くんだその顔を上げて 新しい風に心を洗おう~のAメロのあたりを中心にアレンジがされている一方で、2番線では♪The galaxy express 999 will take you on journey A never ending journey A journey to the stars~というサビの部分が丸々アレンジされています。
このメロディは、JAXA相模原キャンパスが近くにあるということから、「宇宙のまち」を街づくりのコンセプトに挙げている地元住民の方々の発案とのことです(上の記事参照)。
駅メロ的には、最大15秒流れるということで大泉学園駅に比べてかなり長く、ワンフレーズが丸々収まるのがポイントかと思います。
確かにJR東日本の発車メロディは、西武鉄道のそれと比べると長いものもあります。一方で、時間がないときなどは途中で切られてしまうこともあるため、フルで聴くのは少し難しいようです。
一般に駅メロと言えば電子音のものが一般的ですが、中には驚くようなメロディもあります。
埼玉新都市交通(ニューシャトル) 大宮駅・鉄道博物館駅
この2駅では、なんと吹奏楽の演奏がそのまま接近メロディになっています。筆者も演奏したことがある、ミュージックエイト(吹奏楽譜の会社の一つ、略してM8)の楽譜に沿って、沿線の吹奏楽強豪校である埼玉県立伊奈学園総合高等学校吹奏楽部の方々が演奏しています。
大宮駅ではAメロ部分が、鉄道博物館駅ではサビ部分が流れます。
2013年7月から採用されており、鉄道の街である大宮と、鉄道博物館にちなんだ選曲のようです。
これまで聴いた電子音によるメロディーと異なり、非常に豪華な印象を受けます。私が吹奏楽経験者なのでわかりますが、M8の999は演奏難易度がそこまで高くない割に聴き映えがするので吹いていても聴いていても楽しい曲だと思います。
この曲に合わせて入線してくる列車、たまらないですね…!
JR西日本 山陽新幹線 主要駅
新神戸駅、姫路駅、相生駅、岡山駅、福山駅、広島駅、新山口駅、小倉駅、博多駅において発車メロディとして採用されています。
基本的には下り博多方面でAメロ、上り新大阪方面でサビが流れますが、特筆すべきは博多駅のメロディだと思います。博多駅では15,16番線でAメロ、11,12番線でサビが流れる以外に、13,14番線ではまさかのBメロ♪あの人はもう思い出だけど~の部分がアレンジされています。
Bメロ部分が駅メロで聴けるのは(私調べでは)ここ博多だけです。基本的に新幹線の発車放送「○番乗り場○○○(列車名) ○○○号 ○○○行が 発車します…」と被りますが、これがまた「旅に出るんだぞ」感を演出していると私は思っています。
このメロディは、2016年3月から使用が開始されており、山陽新幹線全線開業40周年キャンペーンの最後を飾るものとして設定されたようです。選曲理由は、
と述べられています。
鉄道にゆかりのある曲として期待が込められていることが伝わってきます。
様々な思いが込められたアレンジ系鉄メロ
以上で見てきたように、銀河鉄道999のメロディは全国で様々なアレンジされ採用されています。それぞれの駅で、様々な思いが込められて採用に至ったことがお分かりになったかと思います。
今後も鉄道と旅立ちにちなんだ、銀河鉄道999の駅メロは増えていくかもしれません。
ここで紹介したほかにも、アレンジ系の鉄メロは色々なところで採用されています。ざっと挙げてみると、最初に銀河鉄道999を採用した西武鉄道だけでも
旅立ちの日に (合唱曲、卒業ソング):西武秩父駅
茶つみ (童謡):入間市駅
銀河鉄道999:大泉学園駅
おれは怪物くんだ:椎名町駅
愛の季節 (連続テレビ小説「つばさ」主題歌):本川越駅
七夕さま (童謡):狭山市駅
東村山音頭:東村山駅
翔べ!ガンダム:上井草駅
マルコメCMソング:高田馬場駅
さんぽ / となりのトトロ:所沢駅
吠えろライオンズ (埼玉西武ライオンズ球団応援歌):西所沢駅
若き獅子たち (埼玉西武ライオンズ球団応援歌):下山口駅
地平を駆ける獅子を見た (埼玉西武ライオンズ球団歌):西武球場前駅
と、非常に幅広いバリエーションがあります。↑の動画では、オリジナル
もしかしたら、この記事を読まれている方のなじみの駅・路線でもこのようなメロディがあるかもしれません。
このように、鉄メロ(主に「駅メロ」と「車内チャイム」に分類されます)の世界は非常に、非常に奥が深いです。まだまだ奥深い「鉄メロの世界について語る」の続きは、↓の企画として色々書こうかと思いますので、よろしければご覧ください。
それでは、読者の皆様の日々が素晴らしい一日となるようお祈りしております。鉄道を利用する際には聴こえてくるメロディにも耳を傾けてみてください。
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