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石田笑店de新喜劇

この記事はネタバレを含みます。
ご注意ください。

石田笑店de新喜劇。難しい状況が今なお続いている中で、「石田笑店de新喜劇」の日が迎えられたことが本当に良かったです。行きたくても足を運べなかった方も多くいらしたと思うのですが、石田笑店deムチャミタスから、石田笑店de新喜劇になったということは、元たこやきレインボーの5人が、今後もなんばグランド花月の舞台に立つ可能性があるということ。
今回の舞台は、熟成された面白さと同時に、さらなる可能性も感じられて、次もある。ないはずないでしょ。
そして、なんばグランド花月公式さんも「また次回もお楽しみに~!」とツイートされています。


たこやきレインボーの5人が吉本新喜劇のメインキャストとして、なんばグランド花月の舞台に立つのは5回目。これって本当に凄いことだと思うんですよね。一回目はあるかもしれない。でもそれが定期的に続くというのはとても難しい。
メインキャストとして舞台に立つということは、照明が当たってる限り最大限に舞台の上に立ち続けるということ。台本を渡されて立ち稽古はおそらく最小限。ピンマイクはなく集音マイクで2時間を演じ続ける。
これって、めちゃくちゃ凄いことだし、簡単に出来ることではない。むしろ異例なことというようにも思います。


前説があって、お馴染みの吉本新喜劇のテーマが場内に鳴り響き、幕が上がる。

そして、Departures衣装を纏った5人が「ホーム最強」を歌う。吉本新喜劇の聖地なんばグランド花月で、5人が「ここがホーム!」と歌うというすごさ。吉本新喜劇の懐の深さ。
そして、なに調子乗ってんねん!っていうテイで、くーちゃんの後頭部を叩いて止める痛快さ。

舞台セットは、2019年とほぼ同じ。舞台中央にたこ焼き屋台があり、冒頭の流れはほぼ、「石田笑店 de ムチャミタス!新喜劇HOTな想いでエンジルノ」と同じ。この舞台は、「もっともっともっと話そうよ!!!」が発売される前のタイミングで、次の新曲どうするかというリアルなテーマを新喜劇に落とし込んだ内容で、今回の舞台も同じように卒業後を描くものになるとは予想していたのですが、予想を遥かに越えた内容になってて、5人の未来と、根幹に関わるような...といっていい物語になっていて、今まで時間をかけて積み上げてきたからこそできること。揺るぎない信頼関係があるからこその物語に感じました。

物語は、このようなものです。
半年後の復活ライブに向けてレッスンをする5人。舞台上のたこ焼き屋台はタイムマシンということが判明し、半年後のライブを見に行こうとタイムトラベルするものの、たどり着いたのは20年後の未来。
そこで遭遇するのは20年後の石田靖氏、元たこ虹の5人、マネージャー。話を聞いて惨憺たる未来であることを知り、そのターニングポイントはタイムトラベル直前に起きたある出来事がきっかけであることから、ターニングポイントである現代に戻り、未来を変えるべくチャレンジする。

映画になりそうな骨太の物語。
吉本新喜劇のすごいキャリアの女芸人さん扮する元たこ虹メンバーがひとりひとり対面するわけですが、パチンコ屋の店員になっていたり、まいまいの背は縮んでいたり、新興宗教にハマっていたり、その教祖様になっていたり・・・。婚期を逃してしまった20年後のマネージャーをあの方が演じてて、リアルとリンクするともう、可笑しくて可笑しくて、でもこれが笑いに昇華するということなんだなと。そして、マネージャーとたこ虹の関係性を、こうしてお笑いとして描ける絶対的な信頼関係も垣間見えて、凄いなと感じました。

トークやお笑いは、柔道の乱取りのようなものだと思っています。ワザを掛け合うことで魅せるエンターテインメント。しいていうなら新喜劇は空手の「形」を魅せることで、創っていく舞台。
これまでのたこやきレインボーは、これまでの新喜劇の舞台で全力で挑戦するというスタイルでしたが、今回はまったく違う。新喜劇の芸人さん達と共にどっぷり四つに組むというかたち。そして、吉本新喜劇の強豪たる20年後のたこ虹メンバーと一対一で対決するというところはトリハダもの。森田まりこさんとれんれんとのゴリラモノマネ対決の最後は、くるっとターンをしてスカートをひるがえし、ゴリラからヒトへと進化する瞬間のれんれんの可憐さ。「いやいやいや」というテイからの流れは圧巻でした。

(この部分は思い出してからおいおい追記していきます)


元たこやきレインボーの5人の未来を描く物語。もし未来が思ったものと違ったら現実を変えていけばいい。そのシンプルで力強いメッセージはとても愛情で溢れて、胸に刺さるものを感じます。
いまなお予断を許さない状況が続き、トンネルの出口がなかなか見えてこないリアルな現実で、再スタートをする半年後とさらに先の20年後を昇華させた笑いとしてみせていただけたことで、とても勇気づけられるものになった吉本新喜劇でした。



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