見出し画像

たこやきレインボー「なにわン2017」「軟体的なボヤージュツアー」徹底考察

2019年春に行われた「軟体的なボヤージュ ~あなたとの約束~」のライブツアー。おそらくこのライブに行った人の多くは映像化を望んでいると思うのですが実現されていません。
サードアルバム「軟体的なボヤージュ」の世界観を再現したライブで「BLACK」と「BLUE」と銘打たれた2DAYS。大阪と東京で合計4公演が行われましたが、行った人のかなりの人が「すげーよかったけど、よく分からなかった」という印象を持ったようで、この記事は「よく分からなかった」部分を、私なりに考察した記事です。もちろん、あくまでも私の感じたことで、ひとつの解釈にすぎません。ライブ、演劇、映画、音楽、本などなんでも、その人が受け取り、感じたことがすべて。正しいも間違いもありません。「もんじさんは、そう感じたのかー」という程度に受け止めて頂けたらありがたいです。

たこやきレインボーは、世界観を大切にしたライブをします。
「世界観」という言葉は、たこ虹メンバーもよく使っていますが、では、世界観とはなにか? というと、いちばん分かりやすいのは、東京ディズニーランドです。
良いエンターテイメントは、コンセプトがしっかりしているもの。
東京ディズニーランドは、このような図に表すことができます。

画像1

ディズニーランドの入り口(現実)から、奥の方には「シンデレラ城」があって非現実的な夢の世界があります。
向かって左は、過去である「ウェスタンランド」、右が「トゥモローランド」になっています。現実である「入口」には、ショップがいっぱいならんでいるところが面白いなぁ・・と思うんですが。

これと同じような感じで、たこやきレインボーのコンセプトライブも図にすることができます。

【なにわンダーランド2017】猫が見ている夢の「サーカス」に迷い込む世界

画像2


「なにわンダーランド2017 ~oh circus~」は、セットリストを入れて図を作ると、このようになると思いました。
幕張メッセの入場がスタートし、バルーンでできたゲートをくぐると、そこは「なにわンダーランド」。大道芸人の方々がパフォーマンスし、ストラックアウトや、巨大だるまおとし、射的といったアトラクションで遊べるようになっていました。そして、そのアトラクションを隔てるものなく、シームレスで客席とステージに繋がっていました。

画像3

たこ虹メンバーも話していましたが、コンセプトは「夜のサーカス」。幕張メッセのオープンスペースに仮設テントが組まれたようなステージ。入場時にゲートがあったので、あたかも、遊園地の中にあるサーカスのような雰囲気でした。
「ありがとうたこやきレインボーです」からスタートし、大道芸人のパフォーマンスを交えながらセットリストが進み、「Rainbow 私は私やねんから」で暗転。暗転は演劇において「場面が変わること」を意味しています。
長椅子に座ったメンバーは、同じ衣装で猫になりきり「なれたらなぁ」を歌います。

「朝、目覚めてため息 あれは夢だったのね」

つまり、夜のサーカスは、猫たちの見ていた夢ということになります。
また、入場してゲートをくぐった時から「猫のみていた夢」ということもいえます。

画像4

「なれたらなぁ」を歌い終え、また猫たちは夢の世界に還っていきます。おそらくまた本編冒頭の「ありがとうたこやきレインボーです」に戻る夢に繋がる。延々と繰り返す物語というしくみになっています。
しかし、ビジョンに「Fin」(おわり)の文字が表示されて、猫の物語はおわり、アンコールへと移行してきます。

「なれたらなぁ」という曲をキーとして物語を作ったロックミュージカルだなぁ・・と私は思いました。


【軟体的なボヤージュ ~あなたとの約束~】 約束の地(甲子園)を目指す。その約束を交わす世界

画像5

「軟体的なボヤージュ ~あなたとの約束~」は、BLACKとBLUEの2DAYS公演。それを単純に、夜と昼と考えて、なにわン2017と同じように図で表すとこのようになると思いました。

入場しステージを観ると、船の先端部分のリアルなセット。つまり、入場して客席に座ることは、大きな船に乗り込むというということになります。

「軟体的なボヤージュ」というアルバムは、たこやきレインボーの物語そのものを表現したコンセプトアルバムだと私は思っています。
「RainbowPlane」は、約束の地を目指す曲。さまざまな土地に行き、多くの経験を重ねていく。
終盤の3曲は「星を目指して」「風に乗り」「約束の地」にたどり着く。というものを象徴的に描いています。
そして、最後の「あなたとの約束」は、自分自身を見つめ、約束を守ると誓う曲です。

画像6

「軟体的なボヤージュ ~あなたとの約束~」では、そのコンセプトを、そのままメンバーと観客(ニジカゾクルー)がライブで共有するライブだと思いました。

この二日間のライブを通じて、たこ虹メンバーと観客は象徴的に一日を過ごすことになります。
そして、この旅には、様々なことがあるということを、セットリストは示唆しているようにも感じます。
いろんな場所に行くのはもちろんですが、良い時ばかりではない。
雨が降るときもある。嵐の時だってある。うまくいかない時もあるかもしれない。恋愛(?)するかもしれない。

でも、どんなことがあっても乗り越えていこう、突き進んでいこう・・というようにも感じます。
「なにはに」が3曲目にあるのは、初心を忘れないようにとう気持ちの現れかもしれません。

一番星が見える明け方と夕方に合わせるように、明けの明星と宵の明星としての「SuperSpark」があるのがすごいなぁ・・と私は思いました。
この航海は「一番星を目指すもの」であることを表現している。

そして、興味深いのが、BLACK(夜)の最後に「虹色進化論」を歌っているところです。
「一日ごとに私たちは進化しよう」そのような強い意志を私は感じました。

一日を繰り返し続けることで、進化し続けることで、強くなり大きくなろう。
約束の地にたどりつく努力をしていこう。

そして、最後にダンスを踊らず、歌に思いを込めて「あなたとの約束」を歌う。
目的を一緒に成し遂げようと約束を交わす意味を込めて。

そのようなライブだと私は感じました。

大阪2公演は、私自身は行っていないので分かりませんが、各公演ひとりひとりのメンバーの挨拶は、そのテーマを補強するためのものだったんじゃないかと思います。

さくちゃんは「安心できる場所でありたい。誰一人欠けることなく」と語りました。
さきてぃは「甲子園」を語りました。

たこやきレインボーの航海は、続いていきます。
たとえ何があっても、必ず乗り越えて突き進んでいく。
たこやきレインボーの約束を果たす旅を、私はとても楽しんでいます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?