見出し画像

「大阪環状線 大正駅編 愛のエイサー プロポーズ大作戦」は見逃せない

大阪松竹座にて公演中の「大阪環状線 大正駅編 愛のエイサー プロポーズ大作戦」。全20公演中、13公演が終わり、余すところ7公演。12/25のクリスマスに千秋楽を迎えます。この記事は極力ネタバレを避けつつ、ちょっと興味があるけど、どうしよう?という方のために、劇場に足を運んでいただけたら・・、背中をちょっと押すためのものという記事になります。
これから舞台を観に行くけど、なにも情報をいれたくないという方は、ここから先は読まないことをおススメします。



今からチケット入手しても良席ないじゃん!という方が多いと思います。しか何の心配もありません。舞台仕掛けが大掛かり。ダイナミックにセットが動き、どの席からも見やすい。音響もよくて2階席でもしっかりセリフが届きます。
松竹の得意とする人情噺を彷彿とさせたハートウォーミングな物語というのもすごくいい。
本当に大変だったこの二年間。やっとほんの少しトンネルの出口の光が見えかけてきている状況にピッタリの舞台なんじゃないかと思います。

配役は、松竹とジャニーズ、関西テレビがタッグを組んだだけあってとても贅沢なもの。主演の今江大地さんは、人柄の良さがあふれて今回の役どころにピッタリ。阿部純子さんは舞台初出演とは思えないほどの存在感。小柴陸さんも難しい役どころをリアルに演じています。
吹奏楽学部のメンバーもキャスティングが素晴らしい。部長の寺田もかさんは、劇中歌の作詞作曲をしていて、物語のテーマがストレートに伝わる演出となっています。
彩木咲良さんは親近感のある高嶺の花という役どころ。親近感と高嶺の花は、相反している個性でもありますが、彩木咲良さんは見事に演じ切ることで、舞台のサイドストーリーとなっている恋愛エピソードが活き活きと描かれます。堀くるみさんは、不思議な能力の持ち主、狂言回しの役どころ。アドリブも多く、物語のアクセントとなっている存在です。
メインストーリーは主役ふたりの恋愛。サイドストーリーは吹奏楽部の物語。ふたつのストーリーがバランスよく、若手メンバーの吹奏楽部は抜群のチームワーク。ベテラン勢に負けない躍動感を感じます。
ベテラン勢の代表は、上杉祥三さんと蔭山泰さんですが、80年代の小劇場からのたたき上げのおふたりの円熟味をする掛け合いは、大きな見所のひとつになっています。

吹奏楽部の物語だけあって、クライマックスの描かれ方は見事なもの。演者の方々の演奏は、よくぞここまで仕上げることができたなと関心するばかり。さらに演奏をダイナミックなものにするアイデアが素晴らしく、今の状況にぴったりとあっていると感じました。

私自身、舞台を見て数日経過しましたが、時間の経過と共に舞台の良さをじわじわと感じてて、これは一重に、実力ある演者の方々の好演によるもの。実力ある若手と円熟味をもつベテランの相乗効果と躍動感によって、より気持ちに訴えかけるものになっているから。
そして、千秋楽に向けて、出演者の方々はよりヒートアップして、より面白く、エモーショナルな舞台になっていくと思います。

もともと松竹は、藤山寛美の人情味あふれる喜劇で一世風靡した伝統があって、このジャンルはもっとも得意とするところ。
大阪環状線 大正駅編の舞台も、いよいよ終盤に入って、より面白く、見逃せない舞台になっていくと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?