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わからないものをデザインする

こんにちはモニカです💎 GMOペパボのコーポレートデザインチームでデザイナーをしています。この記事はGMOペパボデザイナー Advent Calendar 2021 の7日目の記事です。

普段のお仕事では社内イベントの制作物や採用に関するコンテンツなど「わかるもの」をデザインすることが多いのですが、今年は自分の専門分野じゃないもの…つまり「わからないもの」に関するコンテンツをたくさんデザインした1年でした。
そこで今回は「これは何?知らない、聞いたことない、何もわからない...」な概念や単語が満載な案件に対し、どうデザインしていったのかを書いてみようと思います。

わからないもの とは

私にとっての「わからないもの」は、以下のような高い専門知識を要する内容でした。

  • 会社の方針やお金に関するコンテンツ(経営企画から依頼された案件)

  • 法律やガバナンスに関連するコンテンツ(法務から依頼された案件)

実際に担当した案件としては自社コーポレートサイトの「サステナビリティ」ページのアップデートや、メイン業務の1つである決算説明会資料などが「わからないもの」のデザインなど。
(入社時には「営業利益」「適時開示」などの単語すら知らなかった私でしたが、IR領域について学び、他社の開示資料を毎日眺め、現在では「わかるもの」になりました☺️)

わからないとどう困るのか?

  • 専門用語が多くて読み解けない。内容を理解することがそもそも難しい。

  • ダブルダイヤモンドの最初のSTEP「探索(Discover)」に進めない。

受け取ったボールを、投げればいいのか、蹴ればいいのか、道具で転がせばいいのか…?みたいな状態。どんな案件でも気合で乗り切れるっしょ!と思っていましたが、手も足も出ませんでした。もうこれ法学や経済学を勉強しないとダメなんじゃないの…😨

すべてを専門家レベルまで理解する必要はない

プログラミング言語に関するコンテンツをデザインするために、プログラムが書けるレベルまで習得する必要はないのです✋
まず、原稿に書かれている内容の一語一句すべてを理解する必要はないと割り切りました。
もちろん、分かるに越したことはありません。内容や伝えたいことが明確であれば「ここは〇〇を伝えたい場面だ、だからこういう見せ方が有効なのではないか」といった提案ができます。内容をわかる人がデザインできれば理想的です。
しかし、化学や医学、政治経済といった難しい専門分野を隅から隅まで読み解くことは限界があると思います💦

やったこと

それではどうするとよいでしょうか。

  1. 構造を理解すること

  2. 意図を確認し、ゴール設定をすること

  3. そこから「どう伝えればユーザーへ効果的にプレゼンテーションすることができそうか?」を考えること

デザイナーとしてやるべきこと・やったことは以上の3つでした。わからない領域の場合は特に「最低限の知識」をつけた上で「構造を(メタ的に)理解する」が大きかったです。

❶構造を理解すること

デザイナーは「構造」をメタ的に理解できればデザインできる(はず)!

観測された事実を整理し、分類します。
原稿を眺めて「まず見出しがあって、文章が続き、それを更に詳しく内容紹介するインフォグラフや図などのコンテンツで構成されているな」「この原稿をマークアップするとしたら、こんな感じかな」など考えながら見ていきます。

*この段階で気づきもメモしていくと後の作業がやりやすくなります。
「指示書では〇〇になっているけど、どういう意図でこうなっているんだろう?」「ここが一番言いたいことなのかな?」「この原稿の文章はアレンジ可能か、それとも変更できないものなのか、どっちだろう?」などなど。

内容を理解しきれなくてメタ理解ができない、構造化ができない場合は、次のことを試しました。

前提となる知識を調べて学ぶ
・前提を理解できる程度に理解する
・そのためには最低限、見出しに出てくる単語や用語の意味・役割などを調べる
なにひとつ分からないままでは、前に進めないことも多いと思います。その場合は前提となる知識を調べて学ぶことが有効でした。すべてを理解できなくとも、前提や単語、用語などを少しでもわかるようになっていると、構造の理解に少し近くことができます。
*調べたことは記録しておくと見返すことができるので便利です。私はNotionに、初めて知った言葉やわかりやすいと感じた図や文章などを雑にばんばん貼り付けていきました。

前述のサステナビリティの案件では、SDGsが何の略で誰が言い出したことなのか、ESGとSDGsの違い、サステナビリティとは何か、ガバナンスとは何を指しているか、などを調べました🌎
決算資料の案件では、決算説明会はなぜやるの?12月期って何?財務三表とは?百万円単位はわかりにくくないの?営業利益と営利って別物?などを調べました📊

類似の事例を探す
もし具体例や雰囲気で理解したい場合は、類似の事例を探すのも有効です。
自分が人類初でない限り類似の事例は見つかります。類似の事例をたくさん見てみると、受け取った原稿と共通している部分や差異を見つけることができ、そこから構造の理解の手助けになる場合があります。

❷意図を確認し、ゴール設定をすること。

ここからは通常のデザインプロセスに入っていきます。デザイナーはいきなり手を動かすのではなく「誰に、何を、どのように伝えて、どうなってほしいか?」をまず考えます。ダブルダイヤモンドのDiscover・Defineです💎
そのためには目的や意図を確認し、ゴール設定をすること。その上で構造を形づくるといった作業を行います。これは「わからないもの」に関するコンテンツであっても同じことです。

プロジェクトメンバーとのコミュニケーション
ヒアリングはとても重要なステップです。プロジェクトメンバーとコミュニケーションをとって、意図やゴールを確認・設定します。
インタビューを通してニーズを聞き出してもいいし、受け取ったラフや原稿から「こう解釈したのですが、合っていますか?」と聞いてみたり、わからないときは考えうる全てのパターンのラフを作ってみて「こうですか?それともこうですか??」と聞いてみる方法でも良いと思います。

*リアルタイムで喋る方法が一番効率的です。探る段階からチャットやメールなどのテキストベースでやりとりするのは、あまりに多くの時間とパワーを使います…🥺

❸そこから「どう伝えればユーザーへ効果的にプレゼンテーションすることができそうか?」を考えること

ここまでやれば「わからないもの」がわかってくるはずです!意図を理解しゴール設定ができれば、あとはどう伝えるかを考えられます。
ダブルダイヤモンドのDevelop・Deliverです。

妥当性が判断できない!問題をどう解決したか
制作を進めていくうちに、「本当にこの構成でいいのかな?」と悩む場面がありました。DevelopからDeliverに進めない!
その際は情報アーキテクチャの4つの情報ニーズから、人が情報を探す時の行動に当てはめて検討しました。

たとえばコーポレートサイトに掲載されるようなコンンテンツ(IR情報や法律が関連するもの)は、多くの場合「既知情報探索(自分が探しているものが何なのか、どう探せば見つかるかを知っている)」に当てはまると考えられます。その上でこの構成や見せ方は妥当か?と考えると、答えを見つけることができました。

まとめ

デザインするときに大事なことは構造を理解すること。こうして私は「わからないもの」をデザインすることができました。
専門分野の全てを理解することは難しいですが、できるだけ寄り添い歩み寄り、多くの情報を読み取ることで「わからないもの」をデザインすることができるはずです。

次の記事はデザイン部の先輩shoさんにバトンをつなぎます。楽しみにしてます💛💙


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