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癸卯葉月 処暑 四国行 夏休み編その3

廿八日 午前

 今日は愛媛から高知への移動日。
 とはいえ移動は午後からなので、午前は宇和島城観光と道の駅での買い物と決めていた。

  うしおに

 実は宇和島は二度目なのだが、前回は牛鬼に夢中で城など眼中になかったのである。だが、最近少し「どこに行ってもお化けと寺社ばっかり」を反省し、城なんかも見に行くようにしている。
 宇和島城は藤堂高虎の築城なのだそう。今でこそ海岸から距離があるが、往時は海に面する平山城だったらしい。名城のひとつに数えられている。

石垣

 平山城ということでかなり登るかと警戒していたのだが、坂の街・横須賀の民には屁でもない坂道だった。天守に向かう道も木で覆われているせいか、昨日の松山城ほど暑くはない。
 登った先には、小ぶりながら美しい天守があった。

天守
天守から海を望む

 城郭建築についてもっと勉強すれば、旅はさらに楽しくなるだろう。
 持論だが、旅を楽しくするのは 1.歴史の知識 2.神社仏閣の知識 3.地理の知識 4.地学の知識 5.植生の知識 だと思っている。これに建築知識と植物や鳥類など生物学的知識があればどこに行っても退屈はしない。

 そうそう、もうひとつ大事なことがあった。
 食の知識だ。

宇和島雲丹丼

 宇和島といえば鯛めしが名物だが、ホテルの朝食が鯛めしだったので、昼食は地物の雲丹丼にした。

 さほど喧伝されていないが、愛媛県の海産物の美味しさは特記に値する。
 我が生涯で忘れられないグルメのトップ5に愛媛県産の鰈のお造りが入っているほどである。鯛といい、鰈といい、白身の魚がうまいのは大変にありがたい。

 なお、宇和島は真珠の産地でもあり、道の駅では真珠製品のガチャガチャもある。私はピアスをゲットした。自分へのクリスマスプレゼントにするつもりで、今も開封せずにとってある。

 考えてみれば、宇和島は名産が大変多い。もっと観光客が増えてもよさそうなものだが。愛媛観光をお考えなら、道後の後に宇和島も検討されてはどうだろう。

 今季始めての雲丹丼とビールで上機嫌のまま駅に着くと、次の目的地である江川崎駅に向かう電車がすでにホームに入っていた。
 えらい派手な車体だなと思ったら、海洋堂ホビートレインの『かっぱうようよ号』ではないか!

お顔
脇腹
飾り

 妖怪大好きおばはんとしてもう興奮しまくりである。
 写真撮りまくる。当たり前である。
 鼻息荒いまま席についていると、親子連れが乗ってきた。お子は幼稚園児ぐらいか。その子は、乗車したとたん、ぐずりだしたのだ。
 河童がこわい。乗りたくない、と。
 おお、河童を怖がるお子!
 妖怪が怖いという感覚をすっかり忘れていたおばはんとしては、大変新鮮な瞬間であった。
 そうだよなあ。妖怪は、怖くなきゃいけないんだよなあ。
 お子には気の毒だったが、なにやら初心を思い出させてもらったような気がした。ありがたい。

こんな呑気な奴らばかりでもあるまい

 電車は定刻通り出発。
 予土線は始めてだ。楽しみすぎる。やはり電車は、いい。
 次は20年ぶりの高知県だ。だが四万十川は完全に初めて。これもまた憧れの場所であるわけで、胸が高鳴るばかりであった。


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