ちぎれ雲と雲ちぎり仙人
秋風が吹く頃になると、雲ちぎり仙人は向こうの山からやってくる。
ものすごく歳をとっていて、頬の少しこけた、しかし背筋はシャッキリ伸びていて、いかにも職人ぜんとした風貌である。
雲ちぎり仙人はその名の通り仙人なのだが、あまりにも長生きなので、収めるべき修行はほとんど全てなくなってしまった。
なので仙人と言っても、毎日山をひょいひょい飛び回りながら、花を咲かせ、動物とおしゃべりをし、川のせせらぎに耳を傾けるような生活である。
ただ秋口は何か風流な遊びでもしたくなるようで、それ