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デスペラドロップスのサイドエピソードとDLCを堪能したところで、ちょっとハミエルの話がしたい

※この記事はNintendo Switch専用ソフト『DesperaDrops/デスペラドロップス』本編・サイドストーリー・DLCの一部ネタバレを含みます。

 先日、感想記事を書いてキャンペーンに応募させて頂いたD3Pオトメ部の最新作「デスペラドロップス(以下デスペラ)」なのですが、なんと主人公ミカ役・岡本美歌さんのサインを頂きました。

デスペラ最高

 スタッフ様の直筆メッセージの入ったお手紙や、非売品なので現在入手困難であろう販促フライヤーも一緒に送って下さって本当に感謝です。
 しかし、実は当選の連絡をDMで頂いた時、実はX上で私めちゃくちゃ怒ってたんですね。ええ、腸が煮えくり返ってました──ハミエルのサイドエピソードのことで。

 サイドエピソードというのは、1/9に追加された各ルートごとに攻略キャラの視点で描かれた短いエピソードなんですが、それのハミエルルートがなんかもう、とんでもなかったんですよね。

 どのシーンのハミエル視点のエピソードが読めるのかなー?? も思ったら、まさかのバッドエンド分岐後、死ぬ直前のシーンですからね。

 それ自体衝撃的ではあるんですけど、別に「サイドエピソードがバッドエンドのシーンだったこと」に怒ったわけではないし、ましてや「シナリオの品質が気に入らなくて」怒ったわけでもないです。むしろしっかり心を揺さぶられたという意味では最高のシナリオだったと思います。

 サイドエピソードを通してハミエルの心を知ってしまったことで、「それはあんまりじゃないか」と思って、ふつふつと怒りが湧き上がってしまったわけです。
 バッドエンド自体、ミカがそれを望まないことを知りながら自ら死を選んでしまうところや、それでいて形見になる帽子やをメッセージを残して忘れることも許してくれないところに「勝手過ぎるだろ……」と呆然とさせられてました。
 ただハミエルなりにミカにとって一番いいと思ってそうしたんだもんね……と、呑み込むことはできてたんですね。

 ところがサイドエピソードで、ハミエルは母の死を知った時からずっと生きる気力を失っていたということを語っているんですよね。
 じゃあミカにとって一番いいと思って選んだ方法じゃなくて、自分が楽になることを最優先にした結果、なんですね?? っていう……。
 ミカは(そしてミカを通して我々プレイヤーは)、ずっとハミエルの悲しみや後悔を間近で見つめながら寄り添おうとしていたんですよね。添い遂げる覚悟で作戦を決行していたし、彼もそうだと信じていたわけです。
 でもハミエルにはその想いが届いてなかっんだ、ずっと死にたかったんだな……っていう虚無感がすごくてですね。なんか悔しくて、すっごい怒ってました。

 ちなみにハッピーエンドではやろうとしたこと自体はバッドエンドと一緒だけど、ミカと生きたい気持ちもちゃんとあったんじゃないかな、と思っています。
 一応、分岐条件が好感度である以上、ミカに対する想いの大きさが違う筈なので。

 そんなわけでハミエルに対してすごく怒っていたわけです。私はデスペラファンのお友達が一人もいないので、誰とも分かち合えない怒りを1週間以上抱えていました。

 それから時が流れまして、1/25にハッピーエンド後の後日談であるDLCが配信されました。
 もちろんフルセットで買ったのですが、逆に個別で買っていっぱい課金したほうがよかったかな……と思うくらいどのエピソードも最高でした。ずっとニヤニヤしていました。
 まさか、あのチームで「水○どう○しょう」が見られるとはね……。

 ハミエル編「旅情」も例外なく最高だったのですが、このエピソードを踏まえた時にまたバッドエンドについても別の見方が出来るようになったんですね。

 「旅情」では、長旅を経て日本へ辿り着いたハミエルとミカが箱根の温泉旅館に宿泊する物語が描かれました。
 このエピソードのハミエルは、本編の逃亡中の姿とは随分違い、とにかく好奇心に満ちているし、甘えん坊だし、10歳くらい若返った?? むしろ少年の心を取り戻した?? という印象を持ちました。

 それで思ったのが、本編のハミエルルートで描かれていたのは「母胎回帰」だったんじゃないか……ということでした。

 バッドエンドのハミエルは、生への拒絶、現実に対する絶望から母親と二人きりの密室に閉じ篭って二度と出て来ない。くっ(思い出し怒り)。

 一方でハッピーエンドのハミエルはそこから外に出て、見知らぬ土地で別人になって生きていくわけですから、これは「生まれ直した」ということではないかと思うわけです。
 その際、ほとんどのカルマをカルロスが代わりに引き受けてくれたんじゃないかな、と(それもとても悲しいことですが)。
 そして執行人さんは、本当に天の御使い説がまた真実味を帯びてしまうのであった……。

 さて「旅情」に話を戻しましょう。
 ハッピーエンド後、意識的にしろ無意識にしろハミエルは暗黒の少年期及び青春のやり直しを始めているのだと思います。
 幸い、日本は彼が初めて見るもの、触れるものに溢れていますから、本当に一人歩きを始めたばかりの子どものように楽しめていてとてもよかった。
 箸を使うのに苦戦してるハミエルに、ミカがフォークを借りることを提案する場面とか、見ようによっては小さい子とお母さんのやりとりみたいだな、とか思ってしまいましたね。

 少年の心を取り戻した結果、失われていた母の記憶が少し戻ってきたり(3歳とかの記憶が戻るの普通にすごいな、と思う)、互いに愛し合っていた両親へ素直な憧れを抱いて指輪を買ってみたりしていて、後ろ向きな退行ではなく、前向きなやり直しとして描かれているのがとてもいいですね。

 そしてミカはそういうハミエルを微笑ましく見ている一方で、一貫して大人の男性として扱っているのが良いバランスだと思います。
 ずっとハミエルに対しては、敬語とさん付けで通してますからね。
 おかーさんの代わりではなく、ちゃんと恋人として(妻として)寄り添ってくれているので、安心して見てられますね。

 ゲーム外のハミエル関連のストーリーだと、私はステラセットの特典小冊子だけ読んでいるんですが、実は「旅情」と結構、お話の構造が似ていると思います。
 日本の文化に好奇心を向かわせたり、母との記憶を思い出したり、ミカに甘えてみたりするハミエルが描かれているので。
 だからハッピーエンド後のハミエルはこう!!という明確な設定があるのは確かだと思います。

 ちなみに特典小冊子のエピソードは「旅情」から一年弱くらい経ってると思うんですが、まだミカはハミエルに敬語+さん付けで喋ってるので、ここに制作サイドの強いこだわりを感じますよね(もしアニメイトやエビテンの特典では普通にタメ口になってたらスイマセン)。

 本編クリア時点ではハミエルのことを「おもしれー男」と思いつつも、推しと公言するにはあまりにもエンディングに思うところがあり過ぎるぞ……という感じだったのですが、一連の追加エピソードを見た結果、ぐっとエンディングの解像度が上がった気がするし、いよいよハミエルを好きになってきましたね。

 ただバッドエンドのことを思い出すといつでも新鮮に激怒できるので、愛憎が表裏一体であることを肌で感じさせてくれる「超おもしれー男」だと思います。
 他のキャラクターのDLCで、ChatGPTくらい便利に活用されているところもおもしれーです。サリィ編以外、全部に関わる男……。
 
 結局あくまでも私はこう受け取りました、というお話なので全く的外れかもしれないのですが、どうしても語りたくなったので記事にしてみました。

 デスペラ熱はまだしばらく続きそうなので、次は別の場所で別の形(=二次創作活動)で語れたらな、と思っています。

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