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収戦道 (改編) Part 10 一技塾


1 一技塾とは


千の技を知る者より、一つの技に長けた者のほうが恐ろしいということを実践する武術塾です。

中国武術の世界では、「千招を知る者より、一招に通じた者を恐れよ」という言葉があります。つまり、千の技を知る者より、一つの技に長けた者のほうが恐ろしいということです。それは、本物の功夫(カンフー)を磨けということです。功夫というのは、中国武術を正しく修行して得られる本当の威力のことです。(と言っても、収戦道は中国武術ではありませんが…😁)

「武道家ブルース・リーの残した有名な言葉」

I fear not the man who has practiced 10, 000 kicks once, but I fear the man who has practiced one kick 10,000 times.

(1万種類の蹴りを1回だけ稽古した者など、私は恐ろしくも何ともない。私が恐れるのは、1種類の蹴りを1万回稽古した者だ。)

このように、「大人の稽古」という観点からすれば、術はシンプルな方が良い、欲張らず、シンプルに、ただひたすら練り込んでいく、それこそが、「大人の稽古」です。

収戦道 一技塾は、戦前の合気道をルーツとし、相手の攻撃に対して、こちらは一つの当身技の一撃で、戦いを収めることを稽古しています。

因みに、収戦道は、「武技を使っての命のやり取りを本質とし、そこにおいて、相手を殺さず自分も殺されず、戦いを収めるところの心・技・体・智慧を身につけ、もってたとえ微力であっても世界平和に貢献すること」を本旨とします。

2 基礎

マインドフルネス:

定義;「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価せずに、とらわれのない状態で、ただ観ること」(なお、ここで「観る」とは見る、聞く、嗅ぐ、味わう、触れる、さらにそれらによって生じる心の働きをも観る、という意味である)【日本マインドフルネス学会】

方法;マインドフルネスは,坐禅やヨガや気功といった身体的な方法が用いられます。つまり,心で心を制御しようとするのではなく、身体で心を調えようという考え方です。調身・調息・調心です。 このように瞑想的なアプロー チは、身体を調え、息を調えます。そうすれば自ずと心が調います。 これはそのまま,武術に通じます。武術は身体的なアートです。術そのものは他者を制圧するテクニックですが 、稽古の中身は 、一 定の形 (型、套路)をひたすら練ることに尽きます。その際に最も重要な要素が「呼吸」です。このように武術は、身体と呼吸を観察し調える、そういう営みです。つまり行為の本質としては瞑想そのものなのです。

(「Mindful Meditative Martial Arts、湯川進太郎」より抜粋 太字は筆者)

坐禅(瞑想):


意義;
武技を用いての命のやり取りをすることを本質とする武術において、戦いを収めるためには、平常心を養うことが必須です。それは坐禅(マインドフルネス瞑想)を通して身につけます。

方法;

椅子または床に座る

座り方に決まりはありません。椅子に腰掛けても床にあぐらをかいてもOKです。但し、深い呼吸ができるように背筋が伸ばせる座り方をしてください。

呼吸に意識を向ける

肩の力を抜いてリラックスし、目は閉じるか半眼に。ゆったりと自然なペースで呼吸をし、意識を呼吸だけに向けます。

参考動画:マインドフルネス瞑想 20分間


動禅(スワイショウ):

意義;スワイショウは、甩手と書きます。これは中国語です。甩手というのは「手を振る」ほどの意味です。気を下す効果があります。上虚下実。

方法;やり方といっても実に簡単、手を前後に振るだけです。


立禅(りつぜん)と揺(ゆり):


立禅の意義;
立禅は膝を少し曲げた状態で立ち続けるので足腰のトレーニングにもなりますし、「禅」と付くだけあって精神修行にもなりますので、一石二鳥です。


立禅の方法;
膝を曲げた状態でじーっと立ち続けるため、足腰の遅筋やインナーマッスルに効いている感が尋常ではありません。方法は動画参照の事。


揺の意義;
立禅が終わったら硬直した精神と肉体をほぐしてやらねばなりません。この動作を揺(ゆり)と呼んでいます。

揺の方法;揺の動作は、手の形、技術などの正確なやり方よりも、立禅の延長として考え、気分を大切にして行います。


這(はい):


意義;立禅で得られた身体の中心を崩さないように行います。
足腰は粘る力、手は触覚としての力を養います。

方法;地面を這うようにゆっくりと歩きます。足が地面につくかつかないかのギリギリのところで、ゆっくと歩みます。氣血を巡らせます。




胆(たん):


意義;胆力つまり何事にも動じない強い気持ちや決断力を養います。

方法;この胆力は丹田呼吸法により養います。所要時間は1回30分を目安に行います。具体的なやり方は下記の通りです。

1️⃣ 正座する。両手は膝の上に置く。

2️⃣ 吸気:鼻から息を6秒かけて吸い込んでゆき、気が下腹部まで降りていくのを感じる。このとき口は閉じ、舌は上顎と歯との境辺りに軽く当て置く。

3️⃣ 胎息:吸気した息をすぐに吐いて呼気に移らず、そのまま息を2秒止める。このとき口は閉じ、舌は上顎と歯との境辺りに軽く当て置く。

4️⃣ 呼気:口を小さくすぼめて12秒かけて吐く。

  ⚠️慣れてきたら呼吸は「逆腹式呼吸」で行います。

5️⃣ 秒数は心の中で「一万1(イチマンイチ)、一万2(イチマンニ)、一万3(イチマンサン)…」と唱える。ゆったりとした気持ちで行うこと。

3 基本

自然体:


意義;自然体は練習によって身につく一つの技です。
技としての自然体は上半身の力は抜けていて、下半身には地に足がついて力強さと粘り強さがあり腰は決まっていて肚ができています。中心軸がすっきりと通っていて、息は深くゆるやかで、精神的にはリラックスしていますが、集中した状態です。

方法;

  1. 不動立ち(外八字立ち)。

  2. 両踵の間は拳3つ分、両爪先の間は拳4つ分開ける。腰幅でも良い。

  3. 足指で床を力強く掴む。

  4. 上半身をグニャグニャにし肩の力を抜く。下半身は力強く&粘り強く。

  5. 踵、お尻、肩甲骨、後頭部を一直線にする。

  6. 重心は爪先に置き、膝を軽く曲げ、骨盤を直立させる。

  7. 目付けは相手の喉元を中心に相手全体を観る、遠くの山を観る如く。

構え(右構え、左構え):


意義;呼吸力を生み出すために必要な姿勢のあり方を学ぶ最も基本的な訓練
として、構えの稽古を取り入れています。

方法;

  1. 直立の姿勢から足を一歩前にだす。

  2. 体の前面と腰を正面に向ける。(体をスクエアにする。)

  3. 上の手は胸の高さ、下の手は拳ひと握り分あけて臍下丹田の前。

  4. 足指でしっかり床をつかむ。

  5. 重心は前に6後ろに4。後ろ足で体を支え、前足の膝は柔らかく保つ。

  6. 後ろ足裏筋、背筋、首筋を一直線にする。

  7. 肩の力を抜き、腕は円相にして水奔(はし)るとイメージする。

  8. 正中線上に、鼻、手刀、臍を置く。

  9. 手刀の指はまっすぐに伸ばし、相手の喉元に向ける。

  10. 目付け(相手への視線の配り方)は、相手の喉元を中心に相手全体を見るようにする。

  11. 気を四方八方に配る。

  12. 気力を強く前に出し、呼吸は自然呼吸。

  13. 前後・左右・上下の力を感じる。

  14. 下半身全体に力を入れる。

  15. 足裏で踏んでいる紙を前後に引き裂くとイメージし、かつ力を入れる。

  16. 真剣を構えているという意識を持つ。

  17. 相手も真剣を構えているという意識を持つ。

参考動画;

 

⚠️自然体と構えの使い方:

相手が一人および多人数で対峙している時の初動では、自然体を取ります。

多人数で乱戦が始まった時には、構え(右構え・左構え)を取ります。

因みに、多人数を相手にする場合は、自己の右側に平行疾走することによって、複数の相手が一列に並ぶため、これにより一人ずつ倒していけばよいでしょう。これは人間の生理反応(ここでは間脳)によるもので、間違っても左側側面へ平行移動してはなりません。相手はほとんど動かないばかりか、逆に袋叩きにされてしまうからです。これは大脳生理学を応用した一例です。
 

運足:


意義;
運足とはあらゆる攻撃に対して、体捌きができるような足運びのことをいいます。例えば、ボクシングにおいてウィーピングなどで上体を反らして相手のパンチを避けることができますが、それは体捌きではありません。運足とは体捌きをするための足の運動です。しかし、足だけを動かしても体捌きにはなりません。足と一緒に骨盤も動かしてバランスを常に崩さない。つまり、姿勢を崩さないのが体捌きになるのです。基本はバランスであり、その中にリズムもあり、タイミングがあり、パワーがあるのです。そのすべてが重なって絶妙な体捌きが生まれますから、運足のトレーニングは非常に大切なものと言えます。下の参考動画をお手本に運足のトレーニングを自然にできるようになるまで行ってください。(大きく覚えて、小さく使う)

方法;参考動画:


        

拳統一力養成法:


意義;
呼吸も含む身体のさまざまな能力を総合統一した力を、客観的に素直に表す言葉として「統一力」という術語を用い、拳の統一力を養成します。

方法;逆三角前屈立ちで、息を吐きながら統一力を使って拳で柱や壁を10秒間押します。これを左右交互に2〜3セット行います。

拳固め:


意義;
当身を相手に当てた時の衝撃で拳骨、手首関節、前腕、二の腕、肩を痛めないために鍛えるための方法です。

方法;やり方は、畳の上か、床に座布団を敷き、その上に半跏座で座り、左右の拳骨を座布団の上に両手の甲を前にして垂直に置き、両拳骨で体全体を畳あるいは座布団から持ち上げます。このとき臀部は畳あるいは座布団から浮いた状態です。次に左拳骨に体重と重心を乗せ、右拳骨を上に挙げて、次に全体重を右拳骨にかけて下に落とします。その際は右拳をしっかり握り、手首にも力を入れて、手首が曲がって捻挫しないように注意します。この時臍下丹田に意識を置くことを忘れないでください。非常に重要です。次に左拳で同様に行います。要領は右拳と同じです。これを左右交互に20回繰り返します。慣れてきたら数を増やしてゆきます。この時の呼吸は、拳を上げるときに息を吸い、拳を下に落とすときに息を吐きます。

やわらげ:

意義;やわらげとは、気流法・メビウスの環の舞の初歩の基本となる動きです。簡単に言うと、♾(メビウス)の環状に沿って律動的に動くことの中に、実はすごい「極意」が含まれているのです。<メビウスの環>によって、時空との関係が変わり、気エネルギーを産み出す<間>が作用して、相手もさまざまに動くのです。 (詳しくは、「メビウス身体気流法、坪井繁幸著、平河出版社」をご参照ください。)

方法;

1 両手を胴から40~50センチ離し、肩から胸くらいのところに上
 げ、表から裏返しつつ、またそこから表に返しつつ左右へ♾
 (メビウス)の字に巡らします。

2 但し、この♾の字は上からみても♾の字になっています。

3 両掌の距離は、体の中心に近いところで互いに近くなり、側では
 互いにやや離れます。

4 必ず体の中心部を通り、その際はやや合掌の形に近くなってい
 ます。

5 この動きと呼応して、全身も波動のように動きます(全身で♾
 の字を描きます)。そのためには、絶対に手首が日本の舞踊か盆
 踊りのように内側へ巻き込まれないように気をつけます。そのた
 めには肘の用い方が大切になります。もし、手首が内側に巻き込
 まれたら、のぼせ気味になったりするので注意します。特に掌が
 伏している状態から上向きになる時、そのことに注意してくださ
 い。肘をやや外に張り出すようにすればよいのです。

6 速度は様々ですが、初めての人は2秒で一巡するくらいがよいで
 しょう。

7 掌の開き方は、掌を開きますが掌心がややくぼみ、指は張りを
 もたせ、しかも柔らかく伸ばします。

8 目線は、上を向いた方の掌の指先のさらに向うの遠くの空間に放
 ちます。あるいは前を向いたままでもよいです。

9 この動きのリズムで全身、内も外もくまなく気が生動しているこ
 とが感じられてくるとよいでしょう。

10 立って行ってもいいですが、座ってもよいです。


※ 写真は「創造する知・武道、坪井香譲 著、BABジャパン」より抜粋

参考動画;下記のURLをクリックしてください。但し、見れないこともありますのでご了承ください。

https://vimeo.com/164952659


あまつかぜ:


意義
螺旋状の動きと共に息を吸いつつ、その人の身に許容されたすさまじいエネルギーを、再び螺旋状の動きと共に呼気に乗せて外へ一定の方向で発揮する身体操作法です。

方法;
1 東向きに立ちます。両足の間隔は肩幅の1.5倍くらい。力まず、ふんわりと
 立ちます。

2 両手を大きく右側やや後方へ。上側にある右手の掌は下向き、下側の左手
 の掌は上を向けています。顔も右側を向きます。体もやや右へ傾きます。
 そして、目線を遠く、右側やや上方へ放ちます。例よって〈気〉も放ちま
 す。

3 息を吸いつつ、遠くの空間をこちらへ引きつけるような感じで、体を少し
 左へ傾けつつ両手を右から中央、中央から左側、そして上方に旋回させて
 行きます。(吸う息ははじめゆっくり、そして強くして行きます)、左側
 に両手が来ている時は体が左へ傾いてよいです。要するにぐるりと円を描
 くわけです。

4 旋回させた両手は、左手が上になり、右手が下になって右側へ来ます。
 この時身体は右側にやや傾きます。(大体ここまで息を吸ってきます)

5 息をしっかり、大きく吐きつつ、思い切って、左側(やや後方)まで〈は
 らう〉動作をします。目線は両手指先の遠く、左側やや上方を見ます(つ
 まり、手の先方)。上になった左手の掌は下向き、右手の掌は上向きにな
 っています。体全体も左へいく感じで、この時、右側の足はやや浮きかげ
 んになります。(息を吐くときは、序・急、つまりはじめゆったり、そし
 てぐっと強くし、再び序・破・急で思い切って吐き切ってゆきます)息を
 吐くかわりに、「イヤーッ」と発声していってもよいです。

6  5が終わったら、そこから再び息を吸いつつ右側へ両手が旋転してゆきま
 す。

参考動画;下記のURLをクリックしてください。但し、見れないこともありますのでご了承ください。

https://vimeo.com/529901243

https://vimeo.com/509398343

https://vimeo.com/509398343


調息功:


意義;
呼吸を整える身体操法です。

方法;まず、足を肩幅に開き、外八字立ちとなります。両腕を体側に垂らして、そこから左右両側から腕を上に挙げて行き、額のあたりで止めます。ここまで息を吸いながら、かつ肛門括約筋を締めながら、6秒で行います。そして、ここで2秒息を止めます。その後、両掌を下にして息を吐きながら、かつ臍下丹田に力を入れながら、12秒かけて両掌をゆっくり降ろし、最後は、最初の腰の両側に置きます。これを3セット繰り返します。なお、呼吸は逆腹式呼吸法で行います。下図を参照ください。

調息功

4 初級

拳振り当のその場立ち稽古:


意義;
拳振り当の形を技化します。技を使えるようにするためには「形」を「技化(武器化)」しなければなりません。日本刀でも斬れる日本刀にするためには、鉄の塊から鍛えて日本刀の形にし、それに刃をつけて仕上げなければ斬れる日本刀にはなりません。それと同じように「形」だけ覚えても使える「技」とはなり得ません。形を鍛えて斬れ味鋭い技(武器)にまで仕上げる段階がこの稽古です。つまり形=技ではありません。毎日200回から400回反復稽古して、2万回に達することを技化の第一段階の目標にしてください。また、形を技化するための土台が必要ですが、この段階で形を技化するときに「その場立ち=平行立ち」で足腰を固定して行うことによりその土台=足腰を鍛えることができます。強い土台があってこそ見事な「技」が出来上がります。この点が肝心です。故に立禅と這も別途行ってください。

方法;平行立ちとなり膝を軽く曲げ、両手は体側に垂らしておきます。まず、左拳を腰から円を描くように、自分の鳩尾(みぞおち)の高さおよび拳が届く距離に目標を置いて、そこに打ち込みます。その際、拳の甲を下にし、右掌は自分の右体側から後ろに引くようにして腰の捻りに合わせて動きます。右拳による拳振り当ての場合は、これと反対の動作となります。これを10分間左右交互に行います。この際、正中線を軸にして「でんでん太鼓」のように左右に打ち込みます。肩の力を抜いて腰のキレで打ち出すことです。真に肩の力を抜き切ったら、もっと肩は落ち、グニャグニャの骨無しの様な柔らかい身体の芯より、しなって拳が打ち出せる感じになります。そして相手の内部に拳がめり込んだところで気を臍下丹田に落とし、その衝撃を相手の内部に打ち込みます。

収戦道 一技塾 その場立ち当身稽古次第

  1. 立禅 20分   +  揺(10回) 1分         21分

2.     スワイショウ(左右)                 3分

3.  その場立ち当身稽古:拳振り当(平行立ち)    10分 

4.     拳統一力養成法(左右交互)各10秒×2set         1分

5.     拳固め(左右交互) 20回                        3分

6.     やわらげ                                                         3分

7.     あまつかぜ(10回)                 1分

8.      調息功(3回)                                               1分

【所要時間43分】

5 中級 

拳振り当の切り返し捌き稽古:


意義;拳振り当を切り返し捌きの稽古により腰のキレと瞬発力を養う。

方法;剣術の切り返し捌き斬りの要領で反復稽古する。

収戦道 一技塾 切り返し捌き当身稽古次第 

1.  立禅   25分  + 揺 10回 1分       26分

2.  スワイショウ(左右)               3分 

3.  スワイショウ切返し捌き                                  1分

4.  手肩切返し捌き                             1分

5.  切返し捌きによる当身: 拳振り当 1分(1分休み)×5セット 10分                                       

6. 拳統一力養成法(左右交互)各10秒×2set          1分

7. 拳固め(左右交互) 20回                         3分

8. やわらげ                                                           3分

9. あまつかぜ(10回)                     1分

10. 調息功(3回)                                                 1分

【所要時間50分】

6 上級

拳振り当の入身稽古:

意義;拳振り当の技を入身で相手に当てることができるようにします。仕上がった技を使うためには、技を相手に当てるための、すなわち移動するための土台=足腰が必要です。その技の移動の仕方と土台=足腰を養成する段階がこの稽古です。形を技化する時の土台と技を移動するための土台は同じではありません。ですから、別々に鍛えなければなりません。また、実戦で一対多での技の使用を必要とした場合、一撃必殺的なものが必要とされます。実戦においては、当身が相手の急所に入ることで、その後の技の制圧を必要としない成果も期待できるのが当身です。

方法;相手の攻撃を躱して入身で入り、当身を当てる稽古を左右交互に行います。

収戦道 一技塾 入身当稽古次第

1. 立禅(30分)+ 揺(10回) 1分     31分

2. スワイショウ(左右)                 3分

3. 入身による拳振り当                20分

4. 拳統一力養成法(左右交互)各10秒×2set         1分

5. 拳固め(左右交互) 20回                        3分

6. やわらげ                                                          3分

7. あまつかぜ(10回)                  1分

8. 調息功(3回)                                                  1分

【所要時間63分】

7 極意

「一之当」の形稽古:


意義;技の使い方を学ぶ段階ですが、この技の使い方を形にしたものを反復稽古して、使い方自体も技化する必要があります。これが、そのトレーニングです。この時「拳振り当の入身稽古」で鍛えた足腰が威力を発揮します。

方法;「相手が前に出て攻撃してくるときに発生するエネルギー」に自分の意識を合わせに行きます。この相手の攻撃エネルギーと合わせた状態から、自分は相手の攻撃を入身で躱し、つまり相手の予測を裏切るわけです。そうすると相手は不意打ちを食らい、こちらの攻撃が可能となります。

収戦道 一技塾 極意 一之当稽古次第

1  立禅 35分 + 揺 10回 1分      36分

2  拳振り当(平行立ち・左右交互)        5分 

3  一之当の形(左右交互)                               20分

4 拳統一力養成法(左右交互)各10秒×2set        1分 

5 拳固め(左右交互) 20回                          2分

6 やわらげ                                                   3分

7  あまつかぜ 10回(左右交互)                       1分

8  調息功 3回(最後に発勁を左右各1回)        1分                     

【所要時間 59分】

⚠️「一之当の形」の口伝:

  1. 不動立ち(外八字立ち)

  2. 両踵の間は拳3つ分、両爪先の間は拳4つ分開ける。腰幅でも良い。

  3. 足指で床を力強く掴む

  4. 体をグニャグニャにし、肩の力を抜く

  5. 自然体で立つ(踵、尻、肩甲骨、後頭部を一直線にする)

  6. 重心は爪先、膝を軽く曲げる、骨盤を直立させる、目付けは相手の喉元

  7. 相手の正中線と自分の正中線を合わせてズラす

  8. 枕をおさえる(宮本武蔵・五輪書より)即ち相手の起こりと同時に当身を入れる

  9. 入身して当身を入れて、残心

一之当の四方捌き:

意義;四方の相手に対して捌く。

方法;20分間反復練習します。

収戦道 一技塾 一之当の四方捌き稽古次第

1   立禅 40分 + 揺 10回 1分          41分

2  拳振り当(平行立ち・左右交互)         5分 

3  一之当の四方捌き(左右交互)                        20分

4 拳統一力養成法(左右交互)各10秒×2set          1分 

5 拳固め(左右交互) 20回                           2分

6 やわらげ                                                    3分

7  あまつかぜ 10回(左右交互)                         1分

8  調息功 3回(最後に発勁を左右各1回)          1分                     

【所要時間 74分】

一之当の八方捌き:

意義;八方の相手に対して捌く。

方法;20分間反復練習します。

収戦道 一技塾 一之当の八方捌き稽古次第

1   立禅 50   分 + 揺 10回 1分       51分

2  拳振り当(平行立ち・左右交互)         5分 

3  一之当の八方捌き(左右交互)                        20分

4 拳統一力養成法(左右交互)各10秒×2set         1分 

5 拳固め(左右交互) 20回                          2分

6 やわらげ                                                    3分

7  あまつかぜ 10回(左右交互)                        1分

8  調息功 3回(最後に発勁を左右各1回)         1分                     

【所要時間 84分】


8 奥伝 Ⅰ 極めの形(一之当🔜掌底顎当上げ落とし)


意義;
相手が一之当で制圧できない場合に施します。

方法;一之当から連続技として「掌底顎当上げ落とし」を行います。受けは後頭部から落ちるので、全力でやると脳震盪、あるいは死ぬ危険性があるので加減して行うこと。このような点から高度な技術を要するので、未熟な技量のうちは絶対に実戦では使わないことが肝心です。

9 奥伝 Ⅱ 自然歩行からの一之当


意義;
ただ歩いて相手に近づいて行きます。ただ歩くだけの歩法というのは、実はどんな武道的足捌きより速く移動できます。この日常的なしぐさから技を出されるとまったくタイミングがつかめません。通常の試合の場合は、お互いにじっと対峙していて、そこから互いに技を出します。それは、静から動への瞬時の技です。静から動への移行には大きなエネルギーが必要です。だから、筋力が必要で、そのスピードをつけるためにすさまじい練習が必要です。それに対し、常に歩いている、つまり移動している場合は、静から動への転換にはほとんどエネルギーは要しません。このような相手に、こちらが攻撃しようとするかぎり、必ず合わされてしまいます。

方法;相手の認識や予測を逸らします。また、「逸らす」という前に、「相手の攻撃心」といった、目に見ることのできないものに、自分の心を「合わせ」ます。つまり、「相手が前に出て攻撃してくるときに発生する<エネルギー>」に自分の意識を合わせます。この相手の攻撃心と合わさった状態から、自分は相手の攻撃に対して入身をする、つまり相手の予測を逸らすわけです。そうすると相手は不意をつかれ、こちらの攻撃が可能となります。

10 奥伝 Ⅲ 一之当の掌舞(しょうぶ;シャドースパーリング)


意義;
・単純にウォーミングアップ
・自由に動く
・自分の内面に集中する(マインドフルネスの実践)
・イメージ(想像)力を強める
・掌舞(シャドースパーリング)は有酸素運動と無酸素運動の複合運動といわれており、短い時間で効率的にエネルギーを消費でき、ダイエットにも最適です。掌舞(シャドースパーリング)は収戦道の基礎の基礎ですので、上達をしながら効果も得られるのでしっかり行いましょう。

方法;相手がいるものと想定して、一人で自由自在に動き稽古します。内面の感覚と実際の動きが合致しているか、正しいイメージができているかを常にチェックする必要があります。

11 奥伝 Ⅳ 試合勝負上の極意

(参考文献:奥秘 柔術教授書 野口一威斎 監修 八幡書店)

(1)無我無心であること
         心を静かにして何事も思わず、我あっても我なきが如く。心あっても  
         心なきが如く、全く虚心平気なる状態を無我無心又は不動心と言うの  
         である。 

(2)自然体であること   
         これは無我無心から来たる体の構えで、全身に力を入れず、下腹部に
         意識を集中し、凝らず偏せず、何心なく前方を見るが如き姿勢を言う  
         のである。

(3)不恐不侮(おそれず、あなどらず)
         凡そ勝敗なるものは時の運であるから、如何なる強大な敵といえども  
         敢えて恐るゝに足りぬが、また如何なる弱小な敵といえども侮ること
         出来ぬものである。心安静なるが故始めて応急敏活なる動作もできる
         わけであるが、これに反して恐るゝ時は自然に姿勢も凝りがちなもの
         であるから動作が自由でない。また侮るときは自然姿勢が偏する。こ
         れをもってとかく機を逸し易いものである。このことは能く能く注意
         せねばならぬ。

出張指導について

出張指導を希望される方は、下記のメールアドレスに、その旨を書かれて
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