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『私の柔道体験』

私が高校2年生の時です。その頃は、中学、高校と部活で柔道をやっていたにもかかわず、その柔道が上手くも強くもならない状態だったので、南郷継正氏の「武道の理論」という本を買って、何とかスランプ状態を抜け出そうと思い、貪るように何回も読み込みました。その結果、柔道には上達するための条件としての形稽古がないことを認識し、形稽古のある合気道と空手を、形稽古とは何かを体験したいと思い、合気道と空手をすることに決めました。

でも、どちらも近くに道場もないし、部活と勉強で忙しいし、道場があったとしても通う時間もお金もないし、というわけで、当時たまたまあった合気道と空手の通信教育を受けることにしました。空手の通信教育は東京の剛柔流の泉武館というところがやっていました。教程を終えるごとにレポートを送るわけですが、添削らしい添削もなく、質問をしても、いつも同じ説明プリントが送られてくるだけでした。でも、一応最後まで教程を終了して、4級の免状をもらいました。

合気道の通信教育は、ある大手の出版社が主催していて、指導者もその当時富木流合気道五段(柔道も五段)の三宅綱子先生とういう方で、武道界では有名な女性武道家でした。この合気道の通信教育も基本的には家で練習するのですが、合気道の場合には空手と違って相手が必要ですので、3つ年下の弟を相手に練習していました。そして、その合気道の通信教育では、毎月1回のスクーリングがあって、私は当時住んでいた房総半島の南端の町からスクーリング会場である東京の神田神保町のYMCA体育館に、片道3時間をかけて通いました。

そうこうするうちに、1年ほど経ち、通信教育の主催者から「近々、『現代合気の会』の通信教育を終了することになりました」という旨の連絡があり、最後のスクーリングの日に、主催者である出版社による取材を兼ねた会食が都内のホテルのレストランで行われて、その際に参加者に級位の免状が渡されました。免状は初級、中級、上級があり、私は上級の免状をいただきました。

通信教育ではありますが、一応、合気道や空手の初級段階は終了しました。しかし、肝心の柔道の部活では形稽古がないので、相変わらず上達はしませんでした。毎日の柔道の稽古は主に乱取りで、それも乱取りという名の「喧嘩」のような稽古でした。

ただ、高校2年の柔道部の夏合宿で、他の高校に柔道部全員で出稽古に行った時、そこに東京教育大学の柔道部も稽古に参加していて、私は乱取り稽古の際に、東京教育大学の柔道部師範に指名されて、その師範と乱取りの稽古をすることになりました。そうしたら、その師範の柔道がいつもやっている「喧嘩柔道」とは全然違うのです。なんと言ったらいいか、空気を相手にしているような、全く存在感のないような感じで、その師範が私の柔道着を握る圧力がほとんど感じられなかったのです。しかし、その師範は、自由自在に動いて、体捌きで私を崩し、いつの間にか私は投げれているのです。何十回も投げられました。終いには、肩車や隅落とし(別名:空気投げ)という大技をかけられて、師範との乱取りは蝶々のように舞っているだけでした(これを柔道用語で「バタフライ」と言います)。それを見ていた私の柔道部の顧問から「何やってんだ!」とお叱りを受けました。でも、私は、その師範との乱取りで、「ああ、これが本当の柔よく剛を制す柔道なんだ」と感動しました。その後、大学や自衛隊でも柔道をしましたが、東京教育大学の柔道部師範のような方には巡り会うことができませんでした。

あなたは、私のような柔道体験をされたことがありますか?

参考Webサイト:投げ技の極意は"手を遊ばせる"ことであるhttps://www.budosuki.com/category77/entry502.html

補足:その後、合気道の道場に入門し、毎日4〜5時間(道場以外の練習も含めて)、週7日練習し、その結果、入門して1年で初段を飛び越えていきなり二段を取得し、二段を取得して9ヶ月後に三段を取得しました。また、三段取得時に指導員に任ぜられました。通常早い人で、三段を取得するには、週5日道場に通って、6〜7年かかるそうです。


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