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GTSリバリー : "抜きロゴ"とスペシャルカラー

GTSのリバリー制作でもっともメジャーなテクニックといえば"抜きロゴ"ではないでしょうか?

リバリーエディターでは色をHSV(色相・彩度・明度)で指定しますが、ボディカラーに限ってはそれに加えてメタリックやパールといった仕上げを指定したり、スペシャルカラーという特殊な色味・仕上げの色を指定することができます。

しかしあくまでボディカラーに限った話なので、例えば黒いボディに金色でロゴマークが入ったJPSカラーのリバリーを作りたいと考えたとき、普通のロゴマークのデカールを用意してもデカールに金色を指定することはできません。

それを克服するためにロゴの図と地が反転したデカールを用意、金色(スペシャルカラー:Y3 Chrome等)を指定したボディのロゴ以外の部分を黒いデカールで覆うというのが"抜きロゴ"の考え方です。

ボディカラーにしか指定できないスペシャルカラーをうまく使うことでリバリーの表現の幅はぐっと広がります。

光沢・つや消しの使い分け

2018年、WRCに参戦するM-SPORTはつや消しを基本とした渋めの色調の中、レッドブルの赤が印象的なリバリーでした。

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赤の部分だけを光沢にしたいものの、みた目通りにボディカラーをつや消しの紺にすると白のスポンサーロゴや水玉模様も赤のロゴマークはすべてデカールで貼ることになります。しかしデカールは個別に光沢具合を指定することが出来ないため、赤い部分だけ光沢、他はつや消しといったことができません。

そこでこのリバリーではボディカラーを光沢のある赤(スペシャルカラー:Soul Red)にし、見た目上のボディカラーである紺とスポンサーロゴや水玉模様など赤以外の一切合切をつや消しのデカールで貼りました。

レッドブルのロゴマーク周辺、ボディカラーの紺と縁取りの白は別個のデカールとして、紺は周辺を埋める矩形のデカールと共にリバリーエディター上で色を指定しています。これはデカール作成に使用しているIllustratorとリバリーエディターとでは同じHSVでも各々の値の刻みが異なり、まったく同じ色に揃えるのが難しいからです。

光るラインの表現

2016年にBMWがIMSAに投入した2台のM6 GTLMには100周年を記念して「これまでの100年」と「これからの100年」をイメージした特別なリバリーが施されていました。うち「これからの100年」をイメージした100号車のリバリーはボディ全体に施された網目模様が夜間には発光するというものでした。

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発光させるのは無理にしても単なる塗装ではない感じを出したい、そんな思いで制作にとりかかりました。

まず網目模様のデカールを面ごと色ごとに分けて作成した後、"抜きロゴ"のやり方で反転し、ラインの部分が透明のデカールを作りました。仮のボディカラーを指定した状態でひと通りのデカールを貼り、その状態でボディカラーやそこに被せる半透明のデカールを工夫して表現を探りました。

最終的にボディカラーには青から紫のカラーシフト(スペシャルカラー:BPP2 Colorshift)を指定、その上に半透明の色を重ねることで、みる角度が変わると網目模様の色味がかわる、立体感のあるリバリーになりました。

クロームとラメが混在するリバリー

2009年のル・マン24時間に参戦したPescarolo Sportのプジョー908 HDi FAPはPlayStationがスポンサーということもあって是非とも作りたいリバリーでしたが、ルーフがクローム仕上げ、ボディ上面にはラメ状のメタリックの帯があしらわれており、編集エリアはどちらもボディ、スペシャルカラーをどう使うか悩ましいものでした。

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最初のプランはラメ状のメタリックをカラーシフトをベースとして再現した上で、クロームはグラデーションを駆使して描くというもの。先にラメの表現を試したところ実によい具合に仕上がったのですが、残念ながらクロームは思ったような仕上がりを得られませんでした。

そこでボディカラーをクローム(スペシャルカラー:W2 Chrome)にし、それをベースにラメをデカールで表現するプランに切り替えました。

クロームの上に半透明のデカールを重ねて虹色のグラデーションを描き、さらに砂目模様のデカールを貼リ重ねることでかなりそれらしくみえるラメができあがり、クロームとラメ、2種類の特殊な色を配したボディが完成しました。

一歩上行くカーボン表現

特にレプリカ系のリバリーではベースの車両にはない給油口やボンネットピンをデカールで描くことがままあると思いますが、スペシャルカラーを使ってメタリックカラーにしたり、見た目上のボディカラーと光沢を変えたりすることで立体感を出すことができます。

次回はカーボン表現を取り上げ、スペシャルカラーを使った一歩上行く表現を紹介したいと思います。

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