手柄横取り担当大臣

パパは大学卒業してからずっと、会社を経営していたの。ずっと社長。そういうと、なんかえらそうだけど、社長だからこその苦労もきっとたくさんあったと思う。会社の業績も、アップダウンがあったみたい。ずっと都内に住んでいたんだけれど、一時期より業績が落ち込んだときに、経費削減のために印西のじぃじとばぁばの家に戻っていました。ママがパパと出会ったとき、パパは印西に住んでいたの。でも、そろそろ東京に戻ろうとしていたときで、2010年7月、お友達の紹介で中目黒に引っ越しました。一組の布団以外何もなくて、まずは生活できるように色々買い揃えていました。パパはああ見えてけっこう堅実なタイプで、冷蔵庫や洗濯機はヤフオクでうまいこと中古を見つけてた。パパは”これ、安かったんだよねー。でも綺麗だし全然OK”って自慢してました。安さ自慢するって、関西人だけかと思ってたのに、千葉県民でもするのね。新しい発見でした。

そんなある日、一緒にIKEAまで家具を見に行ったの。ママはさ、事前に調査をちゃんとして、用意周到に、無駄を省き、効率良く物事を進めるタイプでしょ。でも、パパは真逆。なんでも行き当たりばったり、思いついたときがやりどき、ひらめき・直感大歓迎、ダメならダメで問題無し、なタイプ。だからさ、案の定、IKEAに家具を買いにいくっていうのに、なんの準備もせずにでかけたわけ。で、ソファベットを見始めたときに、”あ、そういえば、部屋の寸法わかる?”ってママに聞いてきた。

でたよ、これ。でた!!笑

ママの経験上、これは社長にありがちなタイプ。

僕は重要な判断をするのが仕事だから、その判断を下すのに必要な情報はすべて君達が集めたまえ。そして僕が判断しやすいようにわかりやすくそれを説明したまえ。しかも僕はそれを指示することはしない。自分で考えて先回りして行動したまえ。

ってやつね。ママの勝手な思い込みだけど、これけっこう共感得れる気がするんだよね(笑)

もちろんですが、ママは事前に部屋の寸法を測ってましたよ。えぇ、それもけっこう詳細に。ハンドライティングでざっくりと見取り図を書いて、そこにちゃんと寸法も書き込んでね。
それを見せるとパパは、”おぉ、とんさんすごいね、さすがだね!”といって、寸法を参考にしながら家具を選び始めたわけ。そしたらさ、パパなんて言ったと思う?

”とんさん、これさ、何分の1スケール?”
はい?!なんだそれ?!

”これさ、せっかく測ってくれたけど、適当な縮図だからさ、ここに家具の大きさ書き込んでもイメージがわかないんだよね”

。。。どやさ!自分の家のことで、寸法測ってきてもらえただけでも感謝すればいいのに、ケチつけるってどやさ!

”ちょっとこれ、書き直さないと家具なんて決められないよ〜”
ってことで、カフェテリアにいって見取り図を書き直すことに。

”ほら、やっぱりさ、こうやってちゃんと縮図として描かないと、距離感とかわからないでしょ。”
と、ドヤ顔。

”で、さっきのソファーベットの寸法いくつ?”
”このテレビ台は?”
って、どんどん質問攻め。そしてなぜか答えてしまうママ。

どやさっ!ほんと、どやさっ!そもそも自分の家のことなのに、採寸もせずに家具を買いにいくってどやさ!私がはかっていなかったらどうするつもりだったのさ!で、測ってきただけでもありがたいと思えよ!縮図になってないからって指導しなくてもええし!ほんでどやさ!ママ、自動的にポジションが部下ですけど!マウントとられてますけど!笑

”いや〜ちゃんとスケール感をもって見取り図かいたおかげで、いい感じで配列も考えられたねぇ〜”

ってどやさ!それかけたの誰のおかげやねん!てかなんでいつのまにかお手柄横取りしてんねん!確かにちゃんとした見取り図も必要だったけど、そのために必要なデータ揃えたの私やし!有能な助手のおかげでことがスムーズに運んだこと、ちゃんとわかってんかいな!

と、まぁ、心の中ではツッコミまくりでした。パパと出会ってから、結構あったね、”どやさっ!”ってツッコンでしまうこと。
この流れとこの感じ、めっちゃパパっぽいでしょ?!
この先何度も、同じようなことがありまして。パパのこういうところ、”手柄横取り担当大臣”と勝手に命名しました。この後もたびたびでてくると思うから、覚えておいてね。


いただいたサポートは、まだ幼い子供がいるのに死別して困っている家庭のサポートを行うための活動資金や、サポート団体への寄付に利用させていただきます。