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なんかすごい人だった

みんなはパパのこと、ももちゃんって呼ぶけれど、ママには大阪にももちゃんっていう美人なお友達がいるから、どうしてもももちゃんって呼べなくて、ももさん、って呼ぶことにしました。パパはパパで、ママのが年上だからと、とんちゃんではなくとんさんって。ももさん・とんさん、って、なんか助さん・格さんみたいだよね。ってわからないか。かの有名な、水戸黄門に出てくる二人だよ。

出会ったその日は、音楽と山が好きな人で、アプリ作る会社やってる、ってしか知らなかったんだけど、その後、どんどんパパがどんな人かわかって、ママはもう、面食らいました。
なんかね、思いの外すごい人だったのよ。何がすごいって、ママができないこと全部できちゃうみたいなね、そんな感じ。

AppleのつくったiPhoneって電話。最初に発売されたのが2007年6月でした。このSmart Phoneがのちに世界を制覇していくんだけれど、パパとママが出会った頃、日本ではまだガラ系が主流でした。iPhone持っている人は少なくて、ママもお友達もほとんどガラ系の携帯を使ってました。
日本のガラ系携帯は、私がいうのも変だけど、世界に誇れる素晴らしいガジェット。ただの電話だったのが、ショートメッセージだけじゃなくメールが送れるようになって、カメラで写真がとれて、それをメールに添付できて。iModeが登場してからは、携帯電話からインターネットにもアクセスできるようになって。なんだかもう、至れり尽くせりっていうか、なんでもできちゃったんだよね。もちろん、使いこなせなかったり、いらない機能もたくさんついていたけれど。日本の携帯は、日本独自で進化を遂げて、それがなんだかガラパゴス諸島の生態の進化に似てるっていうことから、ガラパゴス携帯・ガラ系ってよばれたんだよ。ほら、ダーウィンが進化論を書いたでしょ。あのガラパゴス諸島ね。
iPhoneをはじめとするSmart Phoneは、Applicationを使うことで、やりたいことが可能になりました。電話・カメラ・メール・インターネット・ゲーム、その他諸々。昔、PalmとかPDAっていわれた携帯情報端末があったけれど、それよりもずっと簡単に、手軽に、PCを手のひらに収めることができたのよね。ママがVancouverにいた時に、カナダ人のお友達はみんなiPhoneを持っていたの。その中でも、日本にいたことがあるJacobは、こんなことを言ってた。
”日本で携帯電話を使った時には、なんだこの携帯は!なんでもできるじゃないか!素晴らしい!って思って、カナダに戻ってからも日本の携帯がほしいなぁって思っていたけれど、Now We have iPhone! もうiPhoneがあるから大丈夫さ”ってね。
パパは、そのiPhoneで使えるApplication(アプリ)を作っていたの。ママと出会った時に、嬉しそうに見せてくれたアプリが3つあります。
1つ目がFinger Sports。その名の通り、指でスポーツするの。なんかね、ヨーイドン!の合図に合わせて、電話の上を指で走るんだけど、これが変な中毒性があってはまるんだよね(笑)どうやったら早く走れるかっていうのは、開発したパパでもわかっていないところがあって、なかなか1位にはなれなくてね。二人で爆笑しながら遊んでました。すごくシンプルなゲームだから、世界中でダウンロードされて、世界中の人が楽しんでくれたんだよ。

2つ目が風鈴のアプリ。これは音にかなりこだわったとかいってさ、江戸風鈴とか真鍮の風鈴とか、なんかそういうのがあったよ。夏の夜に、このアプリで音を聞いて涼をとる、っていってたけれど、アナログ派のママにはよくわからない感覚でした。それのどこが風流なわけ?!浅草いって風鈴かってきて、窓辺につける方がよっぽどいいじゃん、って。パパは、東京でそれができる人が少ないから、このアプリがあるのさ、って、ママの話はまったくスルーして、むしろかなり誇らしげでした。パパらしいでしょ(笑)とはいえママも、収録している音にこだわっているあたりは、さすがパパだなぁって思ったよ。

3つ目は、アントニオ猪木さんのアプリ。1, 2, 3,ダー!というだけのアプリなんだけど、ご本人の声を収録するために、、アントニオ猪木さんいきつけのバーにいって、ご本人に直接お願いしたって言ってたよ。そういう行動力ってすごいよね。ちなみに、このアプリは、2010年の年の瀬に、芸人がお勧めするアプリみたいな番組の中で紹介されました。その時に、奇跡的にアプリがバグって、"1,2,3,ダー!”のはずが、"1、にーさんダー!”ってなって、その場にいた芸人が大爆笑。おかげで少し、ダウンロード数が増えました(笑)

パパはただ、アプリを作って売っているだけじゃなくて、その作り方について、周りの人に教えていました。出会ってすぐの頃、岡山に仕事で行くっていってて、なんでってきいたら、岡山でiPhoneアプリの開発についてのワークショップがあって、そこで話すんだ、ってね。
そのワークショップの案内に載せてもらっていたパパの紹介文がこれ。

ね、なんかすごいでしょ。

この中にもかいてあるけれど、パパは本も出版しているの。日本ではじめて、iPhoneアプリの開発について書いた本。これ、Amazonで見ると、レビューはもう、ひどいもんで、目も当てられません(笑)ママもこの本を読ませてもらったけれど、レビューにある通り、確かにこの本だけでは開発はできないな、と。でもね、ママは思うの。最初から大成功する人はいない、ってね。パパが偉いところは、iPhoneアプリはこの後きっと需要が高くなるから、一人でも多くエンジニアを増やしたいって思って、この本を出したところなんだよね。パパはプロのライターでもないし、本がうまく作れるかっていうとそうではなかった。でもね、世の中の先を見越して、そのために一石を投じるその姿勢は、ママは素晴らしいと思うの。

その他にも、自らが学んだ専修大学において、学生たちに起業のことや最新テクノロジーのことを話す機会をもらってたって聞いています。自らが成長することだけじゃなく、どうやって社会全体を底上げするかってところを、常に考えていたんだよね、この頃から。

ママはさ、自分がよければそれでいい、の精神で生きてきたからさ、こういうパパの思想や姿勢には、本当に感銘を受けました。時代を作っていく人ってこういう人なんだろうなぁって、漠然と感じたし、そんなパパの夢を支えたいなって、そういう風にも思ったよ。
ママはどちらかというと、自ら何かを生み出していくというタイプではなく、サポータータイプ。その昔、コンサルタントとして仕事をしていたときもそうだもんね。一緒に仕事したクライアント企業の人が出世することが最大の喜び、っていうかさ。こうしたい!っていう強い意志を持っている人たちが、それを実現できるようにサポートする、それがコンサルタント。ほんの少しだけママの中に残っていたコンサルタント気質が、パパと会うことで刺激されたようなそんな気がしました。

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