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雑文 #59

歩き歩き歩いたり。

小中学校の同級生が帰省してきたので会った。
彼女は私と違って同窓会などに積極的に参加しており、昔の知人の近況の情報源だ。

そんなおしゃべりもいいが、とにかく天気が(珍しく)良かったので、散歩に誘ってみた。
ほんとうはいけないことなのかもしれないけれど、私たちの通った小中学校(一貫校でした)の敷地に入り、母校を眺めてきた。
私は前からその敷地に入ってみたかったんだけれど、一人じゃ勇気が出なかった。
正面にあった小学校はグラウンドになり、奥地に移転して門の前にガードマンが立っていた。そんな時代。私たちの頃は野放しだった。のんびりとしていたものだ。

中学校はほとんど変わっていなかった。
私は中学校の裏手の、たぶん私有地と学校の敷地の境目である金網が見たかった。
そこから体育館の裏を通り抜ければかなりの時間の節約になりながら玄関へとたどり着く。
あるとき不良のようなガキ大将的な男子がその金網を破り、私と、私の仲良かった女子一名と男子一名は秘密裏にそこを利用してよく遅刻を免れていたのだ。
私が興奮気味に「あれ!あそこがきっとK(ガキ大将的な男子の苗字)の破った金網だよ!」とか騒いでいたとき、一緒に散歩していた彼女は別のこと(柔道場はどこへいったのか)に興味を示していた。
大人になっても繋がっている友達だけど、子どものとき特別親しかったわけでもなく思い出はあんまりシェアしていないのだ。
それはそれで互いに教えあうことがいっぱいあった。
彼女はとにかく人の家をよく覚えていて感心した。
私は場所よりエピソードを細かく覚えていた。
記憶の在り方っておもしろいね。

そのあと彼女の通学路を通り、実家(いまは引っ越して畑になっている)を横切って、私の通った高校の前に出た。
道は区間整理されたりしていて、いまいち面影のないところが多いながらも突然ものすごいタイムスリップ感に襲われたりしてスリリングだった。
彼女の驚くべき場所に関する記憶力をもってしても、私が一度だけ彼女の家に遊びに行って、宿題をしたり、お姉さんと会ったりしたことや、私が突如面識のない彼女に明るく話しかけられたときのこと、あるいは小学高高学年にしてふたりで映画を観に行ったこと(タイトルも覚えている)などはきれいさっぱり忘れられていたようだ。
この点では私の記憶力が驚異的なのかもしれない。

すごく歩いてお腹がすいて、帰り道にどこかで何か食べようとなったときに、ちょうどよくあったのが、駅近くの私の好きなカフェ(トップの写真がそこの“ベジ定食”)だった。
しかもそのカフェの名前は“アンダンテ”だ。

アンダンテ…歩くスピードで。

東京から戻ってよりずっと、疲れた気怠い感じが抜けない一週間でしたが、明日からはアレグロの、クレッシェンドでいきたいと思います。
(彼女も私も吹奏楽部でした)

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