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雑文 #65

当然であるとともにとても興味深いことに、ひとの趣味は千差万別だ。

男性の気持ちはよくわからないので、女同士で話しているときのことになるのだけれど、こだわりのポイントは本当に人それぞれ。

親友と呼べるほどのひとは少ない中での私の親友とは、話が合うけど趣味が合わない。
今日一緒に飲んだ彼女は、どうやら男のひとのとにかく顔が好きで、顔がいい、ハンサムなのが好きで、もうそれしか目に入らないくらいに私には見える。
彼女の好きな顔は私にはキラキラとしすぎていてこってりしてして消化に悪い。苦手だ。

他の友人は、とにかくスタイルのことを言う。
スタイルと言うか、骨格のことなんだと思う。
手足の伸び方がいい、とか、言われたらまあわからないでもないけど私にとっては顔同様二の次三の次のポイントだ。

かく言う私は何を重視しているかと聞かれれば、これが説明しづらい。
だから彼女たちには決してわかってもらえない。
雰囲気?いや、それだけじゃないんだよね…中身?って言えば綺麗事みたいだけど、まあそんなとこかな…みたいな、曖昧な言い方になってしまって最後のほうはもう彼女たちは聞いていない。

本当にわからないようなのだ。不思議だ。
長く付き合っていく上で顔って普通でよくない?ていうか普通がよくない?
そりゃ極端にブサイクはいやだけど、濃すぎると疲れるし、愛着が持てれば何でもいいじゃん。大事なのは顔より「顔つき」だよ。

しかし親友は言う。

…わかんない。好みの顔がいいでしょうに。好みの顔、これでしょ?(タレントの名前を言う。その人のことを私は見事に心からどうでもいいと思っていた)

でもこの顔とか背丈とかスタイル、つまり見た目重視の女性って結構いるのだ。ていうかほとんどそうなのだ。

変なことを言えば、私は逆にイケメンがきらいだ。
たぶん、いろいろ経験して思い上がってる風なのが(それも私の身勝手な思い込みかもしれないが)いやなのだ。
顔つきが自信満々としているでしょう?
だから私は派手めのイケメンに話しかけられてもデートに誘われてもそっぽを向くことができる。本当に。

それでもってなぜ「普通」が好きかと言えば(正確に言えば「普通」の中にも魅力的な中身を備えているひとが好きなんだけれども)、派手さがないぶん表情も穏やかというか、共感できるというか安心できるというか…
結局似たようなルックスのひとを好きになってしまう傾向は、その中身を背負えばそんな顔つきなり雰囲気なりを纏うことになるからではないのか?

みたいなしちめんどーくさいことを、彼女らに説明しても途中から聞いてくれなくなりそうなので、いつも誤解(というか無理解)のまま平行線を辿るのだ。

日付け変わったが、4月6日は私の親友の命日。
今夜飲んでた親友とも交流のあった、私の一番長く濃く仲良くしていた女友達だ。
4年前、早すぎる急逝だった。

今夜飲みながら、亡き親友の歴代好きだった男子(小学生のときから)のことを話した。
やはり彼女も面食いだった。
そう言えば、私が20代の頃付き合っていた彼のことを
「顔が好きなの?ねえ、顔が好きなんでしょ?」
としつこく聞かれたことがあった。
「違うよ。別に顔じゃない」
とは答えたものの、信じてくれなくて
「でもどちらかと言えば好きな顔なんでしょ?」
と食い下がられたので、面倒くさくなって、
「まあどちらかと言えば好きかな」
と答えたら彼女は満足そうな顔をしていた。

私たちは皆同級生なので、昔話をすると否応なしに彼女が出てくる。
それはとても自然に、まるでたまたまそこにいないだけみたいに。
亡くなってすぐからそんな感じだったし、今夜も「たまたま離席していた」みたいな感覚だった。
トイレに行ってる間の噂話で「あのひと◯◯くんにラブレターあげてたよね〜。モテるタイプいくよね〜」みたいに、ちょっと陰口言ってるみたいに。
でも結局決してイケメンとは言えない(失礼…)けれど誠実で真面目な人と結婚したんだよね。

お酒が大好きで、惚れっぽい彼女に、
献杯。

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