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雑文 #23

五臓六腑に染み渡る、というより、五臓六腑を引っ掻き回された感じ。
動いてなかった臓器を動かしてくれた…つまりごく簡単に言えば「感動」てものを与えてくれたのでしょうか?

くるりのNOW & THEN vol.2@恵比寿リキッドルーム。

正直言ってあんまり楽しみじゃなかった。
いや、そもそも毎回楽しみすぎてたから、それに比べたらっていう意味だけど。
始まる前まではテンションが低かった。
会場に着いたら緊張してきたけど。

最初の数曲ではまだ私のテンションは低くて、と言うか、「ワンダーフォーゲル」は哀しく聴こえたほどだ。
うっすら涙。

よほど最近気分が落ちていたのだと思う。

だがしかし!
「Go Back To China」にやられた!
初めて生で観るクリフのドラムは想像してはいたがやはりすごかった!

曲が引き立つ。後押しされる。キュッと締まる。
バスドラの音は心臓に響く。ときめいて気持ちが否応なしに上がる。
あれをバックに演奏している岸田くんはどんなに楽しかろうと、プレイヤーでもないのに思う。

岸田くんとクリフのアイコンタクトで見える笑顔はそれはそれは微笑ましい。
こちらも満面の笑みになってしまう。
私は「Go Back To China」に恋をした。

そこまでの辺りで、私は身体に穴が開いた(開けられた?)かのような気分になり、風穴なんだろうか手術で切られたんだろうか、とにかく、内蔵が動き出したのだ。

くるりイチかっこいい曲「World's End Supernova」から「Buttersand」みたいな、そして「C'mon C'mon」「永遠」までの流れはライブではこんな感じなのね。なるほど!と唸りつつ踊る。素晴らしいアレンジ。
ダンスフロアでほろ酔い気分で踊りたかったわよ。誰も踊らないような変なダンスを。

「リバー」がとても良い演奏だったように思う。
丁寧で、楽しくて、そして、ああこれ私のことだ、とまた思った。
岸田くんはなぜ私のことを歌にしてくれるんだろう。

実にいろんな曲があって、アルバム再現ライブでありながらまとまりつかなかった印象。でもとにかく素晴らしかったという印象。

ふたつのアルバムの中で私が一番聴きたかった「カレーの歌」を演らないという岸田繁のイケズっぷりに呆れる。

でもアンコールで帳消しになる。

前々からとりわけ好きだったがこの日の「Morning Paper」は最強。バンドの音。ギターの鳴り。あぁやはり『アンテナ』が最強なのではと思ってしまう。
「Morning Paper」をライブの最後のほうで観られるのは本当に素晴らしいことだ。
弾けたし、今日の恵比寿のお客さんは何だかすごかったときの青森Quarterなどを彷彿とさせるようなノリで、弾ける。
演者も弾けりゃ客も弾ける。岸田くんのシャウトにコーラスやお客さんのシャウトが混じる。けど「みんなで同じ動き」することなく個々に、心底音楽そのものを楽しんでいるのがくるりファンのいいところだと思う。

岸田くんは途中で跳ねたりして、小っちゃい男の子みたいだった。
そして私の心もどんどん開放される。
サンフジンズのときみたいに、体を切り開いて、中を見て、しまう(サンフジンズいわく)みたいな手術ではなくて、このくるりのは、開かれたあと、ちゃんと何かが施されたような気がする。
ぐちゃぐちやにされただけかもしれないけど、とにかく動きはあった。

「Liberty & Gravity」で大いに盛り上がり、ヨイショ!アソーレ!ガッテンダ!を叫びながら、私は泣けてきた。
思うところがあったんだと思う。
くるりは私を励ましてくれていた。全身で。
岸田くんはシャウトし、すごいエネルギーを放出し、たくさんの観客に分けてくれていた。

本当にすごいと思う。
身を削って、多数の人たちに元気をくれているのだ。
なかなかできることじゃない。

でも少しずつ、自分のやりかたで、真似てみようと思った。

いろんないいものくれて、本当にありがとうくるり。
改めて深く感謝した日でした。

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