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雑文 #87

私の大好きな曲がり角のある場所で、「ロックのほそ道」というスピッツ主催のライブイベントがあり、フジファブリックが出演するというので俄然行く気になり、知人というか友人というかお花の先生の太いパイプで席を取ってもらい、堪能した。

書きたいこといっぱいあるけど、まず、秋田の人は「はしゃぎ」に飢えてる。
酒を飲まなきゃ本音を言わない、人目を気にする県民性なので、「ほれ盛り上がれ」とわかりやすく場を設けられたら大いに盛り上がる。
「なんでそんなに元気なの?」って以前斉藤和義もオカモトズも今回草野マサムネも言ってたけど、冬が暗く長すぎて元気を蓄電しているからである。

私は自分の気持ちをそのまま出すので、心が動かないときは無理にはしゃがない。
そのせいで、たぶん、はたから見るとかなり感じの悪い客となっていたかもしれない。
二階最前列だったので、立っても座っててもいいじゃない。でもほとんど全員、立つ。
モンゴル800って初めて観たし聴いたけど、どうあがいても興味が持てない。
みんな曲を知ってるみたいで、手を挙げて揃って盛り上がる。
私だけちょこんと座っている(もちろん拍手とかはする)

そうして、次、フジファブリックが出てきたら、急激にテンションが上がってしまって立ち上がって「Sugar!!」から踊りまくる。周りの人たちはうまく乗れない様子だった。志村正彦の曲は展開が不可解なのである(そしてだからこそ、好きだ)
三曲目、スピッツのカヴァーをやると言って会場沸く。でもその曲が「恋する凡人」だったので私のテンションはダダ下がる。
スピッツは好きだが、「恋する凡人」は私にとっては凡庸な曲だからだ。
というか私はフジファブリックによって演奏されるフジファブリックの曲を聴きにここに来た!
と思いながら普通のテンションでステージを観る。周りは「この人スピッツきらいなのかな」と思うだろう。
次、「虹」…イントロから「きゃあ」言うてまう。
激しくはしゃぎまくる。周りはまた乗れない。
コアなフジファブリックファンはだいたい一階席にいたようだ。
次、「若者のすべて」…私はここで気づく。
私は志村正彦のファンなのだと。
志村正彦の作った曲を、フジファブリックによって演奏されるのをひたすら求めているのだと。
聴きたい曲は志村正彦の曲と、アルバム『STAR』の曲ばかりなのだ。
自分に嘘はつけない。無理にはしゃげない。
私は、いまのフジファブリックにとって失礼なファンなのだと思う。
そう思いながら、名曲「若者のすべて」を聴いた。いろんなことを思い出して泣いた。
「若者のすべて」は私の大好きな、いろんな四季の時間をともにしてきた秋田県民会館裏の沼に、しっかりと、じっくりと、溶け込んでいった。

テンションの配分をしたかったので、スペシャルアザーズのときは座って観た。
周りはみんな義理みたいに立っていたけれど、棒立ちだった。
なんで?こんなにゆらゆらする気持ちのいい音楽なのに!
訳のわからない私は、座りつつ、揺れ続けた。
インストの曲たちはとてもかっこよかったけれど、モンゴル800の人が出てきて歌ったらつまなくて、もったいなかったが周りは沸いていた。

いい加減周りとのズレに嫌気がさし、もうフェスは行かないと思った。
別に強要されたわけじゃないけど、私は音を楽しんでるだけなので、その場の一体感のようなものを重視しない。一体感は自然と生まれてくるものであって作り出すものではない。
好きな踊りをするし、ステージから煽られても気乗りしなきゃ従わない。
ん、えっ!ん、えっ!ん、えっ!ってあのノリ(解りますか?)に至っては、いけてねえなあと思って冷めてしまう。
そんな私は性格がわるいのかもしれない。
しかし、集団行動きらい=性格わるい、なのか?
自分の気持ちに従う=子どもっぽい、なのか?

とか思いつつ、一人で複数のバンドを観るとこに行くとセットチェンジのとき暇だし、もういいや、早よ帰って一人でくるりのDVDが観たいです…と思いつつ、ダレていたら、、、

スピッツが登場し、私のテンション一気に上昇!
スピッツ良かった!「女々しくて」のカヴァー以外は。
会場はやはり「女々しくて」のときにどわっと沸いて、私はぐわっと引いていたのでした。

思えば「人と同じでなければならない強迫観念」みたいなものが私の幼年期・少女期をおかしくした。
たぶん、そんな「人と同じでなければならない強迫観念」からもっともフリーであるバンドがくるりである。
私はそう思う。だからくるりのライブは気持ちがいいんだ。とりわけワンマンは。

いわゆる夏フェスとかロックフェスが、音楽の好きな人たちだけのものではなくなってしまった昨今、私はほとんど京都音楽博覧会にしか興味がないのだが、それでもくるりの動向は気になるので、くるりがあちこちでフェスに出るたびそわそわしているのがいやだった。
今年、くるりは夏フェス出演をスパンとやめた。
サンフジンズで一本あるけど、ロッキンオンジャパンには岸田さんが連載を持っているので、出演するんだと勝手に思っている。
佐藤さんは木村カエラのサポートで回るけど、そこはそわそわまではしない。
私にとっては、くるりが夏フェスに出ないことは素敵なことだった。

こんなことを考えているのって、ごくごくごくごく少数派なんだろうね。
私に言わせれば、日本人は「人と同じでなければならない強迫観念」が強すぎて、かっこわるいと思うんだけど、そんな私はやっぱりはたから見たら性格わるいんだろうなぁ。


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