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【無料掛合台本】菜の花の花束(♀1♂2 または ♀2♂1)

2200文字程度。ほのぼの。少年少女の喧嘩から始まるお話。

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https://note.mu/momoka_ueno/n/n938a7e38eee6

・ルース 9歳の女の子。元気で気が強い。
・オリヴァー 9歳の男の子。気が弱い。ルースが好き。
・旅人 謎の男。掴みどころのない喋り方をする。


場面:河原、オリヴァーが来るのをまつルース。

ルース「ふふ。オリヴァーったら私の誕生日憶えててくれたのね。誕生日プレゼントを持って来るって言ってたけど、何を用意してくれたのかしら。キラキラのアクセサリー? ふわふわのぬいぐるみ? ふふ、楽しみね。もうすぐ約束の時間だわ。」

オリヴァーが走って向かってくる。

オリヴァー「ルース! ごめんお待たせ!」

ルース「オリヴァー! 全然待ってないわ。それより泥だらけじゃない、どうしたの?」

オリヴァー「へへ。君の誕生日プレゼントを探しに行ってたんだ。素敵なのが見つかったんだよ。」

ルース「へぇ! 私のために。ありがとう!」

オリヴァー「どういたしまして! そ、それで……」

ルース「う、うん。」

オリヴァー「あの、ルース、お誕生日おめでとう! これ、誕生日プレゼント!(花束を差し出す)」

ルース「ありがとう! ……え?」

オリヴァー「隣町に菜の花の沢山咲く丘があるんだ。そこで摘んできたんだよ!」

ルース「……菜の花。」

オリヴァー「菜の花の花束、素敵だろ! 君にぴったりだと思って。母さんが教えてくれたんだけど」

ルース「(前のセリフに被せて)菜の花なんて雑草じゃない! こんなのこの河原にだって生えてるわ。隣町まで行ってそんな格好になってバカみたい!」

オリヴァー「ルース?」

ルース「私はオリヴァーが誕生日プレゼントをくれるって言うから期待してたのに! 花束だなんて、しかも菜の花なんて。オリヴァーにとって私ってその程度なのね!」

オリヴァー「……なんだよ。せっかく君のために用意したのに!」

ルース「だって菜の花なんて! ぐす……う……。いらないもん……、菜の花の花束なんていらないもん!」

オリヴァー「……君のために摘んだのに。」

ルース「……うぅ。どっかいってよ! オリヴァーなんて嫌い!」

オリヴァー「僕だってそんなルース嫌いだ! ぐ……こんなもの!(手に盛っていた花束をルースの足元に投げる)もういい、さよならルース!」

オリヴァー、走って行ってしまう。
一人河原にいるルース

ルース「ぅ……ぐす……う。なんで菜の花なのよ。菜の花なんて雑草じゃない。私の誕生日なのに。オリヴァーのバカ。」

ルース、足元に落ちる花束を拾う。

ルース「……こんな花束、いらない。川に捨ててやる!(川に花束を投げ込もうとする)」

旅人「おやおや、お嬢さん、きれいな花束を持っているね。」

ルース「え?」

旅人「こんにちは、お嬢さん。」

ルース「ん……誰? 村では見たことないけど。」

旅人「あ、いや、ただの旅人さ。河原で一休憩しようと思ってね。」

ルース「旅人?」

旅人「そう、旅人さ。可愛らしいお嬢さん、素敵な花束を持っているみたいだけど、その花束をどうするつもりなのかい?」

ルース「素敵なんかじゃないわ。菜の花よ。雑草の花束なんていらないから捨てるの。」

旅人「そんな。花の神様に怒られちゃうよ。」

ルース「……。じゃああなたにあげるわ。私はいらないの。」

旅人「誰かにもらったんじゃないのかい? (受け取った花束を見て)ん~、綺麗にリボンまでついてる。」

ルース「貰ったんじゃない。置いてあったの。」

旅人「そうかい。では君の知らない誰かが、その人の大切な人のために用意した花束を、君がたまたま拾ったんだね。」

ルース「……」

旅人「お嬢さん、お花というのは、実は意味があるものなんだ。それは雑草でも同じさ。」

ルース「意味……?」

旅人「花言葉って呼ばれてる。お花を贈るときは、相手のことを考えて選ぶものさ。」

ルース「へぇ……」

旅人「気になるかい?」

ルース「な、なにがよ。」

旅人「菜の花の花言葉。」

ルース「別に……」

旅人「元気、快活、小さな幸せ。菜の花の花言葉だよ。」

ルース「……」

旅人「この花束に使われているお花、立派なものだかりだね。いい土じゃないとこんなに綺麗に育たないよ。」

ルース「返して。」

旅人「なんのことだい?」

ルース「その花束、私がもらったものなの。返して。」

旅人「ん~そうだったんだね。はい。」

ルース「オリヴァー、私にぴったりって言ってた。そういうことだったのね。……私、オリヴァーにひどいこと言った。謝らないと!」

旅人「お嬢さんなら大丈夫さ。」

ルース「え、どういうこと? あなた一体」

オリヴァーが走って戻ってくる。

オリヴァー「ルース!!」

ルース「オリヴァー?」

オリヴァー「まだここにいたんだね、いつも帰る時間になっても戻ってこないってお母さんが心配していたよ。無事でよかった。」

ルース「え? あら、ほんと。もうこんなに暗くなってたのね。」

オリヴァー「帰ろう。」

ルース「オリヴァー、あの、ごめんなさい。」

オリヴァー「え?」

ルース「さっき、オリヴァーが私のために選んでくれたお花、ひどいこと言ってごめん。」

オリヴァー「あ、ううん。僕も、もっと君が好きそうなものにすればよかったって後悔したんだ。お花とか地味だったよね。」

ルース「ううん! いいの。菜の花の花束で。」

オリヴァー「……ルース、なんか雰囲気が変わったね。」

ルース「え?」

オリヴァー「もっと素敵になったよ。」

ルース「ふふ、ありがと。あ、そうだ。お花のこと教えてくれた人がいたの……あれ、いない?」

オリヴァー「どうしたの?」

ルース「……なんでもない。さ、帰りましょ!」



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