白銀の世界

目を覚めれば、外には霧が出ていた。

霧は世界を包み込み、私が私じゃなくなる。寒さで凍え、私は、不安と戦っていた。

母親は、男と遊び、父親はいない。寂しさを振り払うように手首を切った。赤い血が生きてる証。泣き叫び、道路に飛び出しそれでも死ねない。

彼と出会ったのは、秋の頃。貴方といる時だけ心が安らげる。一緒に車を走らせ手を握った。彼は、不安な私を支えるように、力強く手を握った。

河川敷についた頃、私はぽつり、ぽつりと胸の内を明かす。貴方は、全ててを受け入れた。

太陽が暖かい。車のシートを倒し、二人抱き合った。聴こえるのは彼の心臓の音。キスをして貴方はこう言った「俺が初めてで良かったの?」私は肯き笑ったんだ。

家に帰れば、そこは、静寂だった。私は、もう食べることができなくなり、病に犯された。心の中誰かに殺されたい。私の心は死んでいる。

貴方にもう一度会いたい。だけど、会えなくて、不安をかき消すようにカプセルを大量に飲んだ。

貴方に出会えたこと。一緒にキスをしたこと。朦朧とする頭で思い浮かんだ。誰か助けて。

私は、冷たくなりこの世を去った。


#テレ東ドラマシナリオ

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