深海
深海の怖さは、
底がどこにあるか分からないところにある。
ゴールが見えているものは然程苦しくない。
日付、アウトカウントの赤いランプ、達成度、
合格、時間。
こと人生に起こる事柄は、いつだって突拍子もなくて
イタズラに私たちの前に現れる。
そしてそいつがどこまで背中を押してくれるかも、
はたまた地中に足を埋めてくるかも、
対峙してみなきゃ分からない。
だから人はリスク回避のために行動を取る。
だから人は良い影響が生まれるものに集る。
人間のメカニズムに組み込まれた、
底をなるべく浅く感じるための「防衛本能」だ。
まあ、そんなこと言ってられない。
自分じゃどうしようもないものが、
今日も18:00の口火と一緒に暴れ出す。
他人事と思えたらどれだけよかったでしょうか。
他人事と思うには、あまりにも愛しすぎた。
そうして、もうここが底だと思った時から
もう一段、もう1m、もう1kmと降っていく様子が
今の自分に重なる。
毎日、褒められたことなんて出来ていない。
一日の終わりに通信簿をつけるなら
毎日が「頑張りましょう」。
今まで、持ち前の豪運さで乗り切ってきたものが
ついにプチンと切れて、底への階段をドンドンと沈む。
誰かに、自分を重ねてしまう。
戦っても、毎日仕事に向かっても
必死になっても、気合を入れても
結果は非常についてこなくて
SNSでの叱咤激励
偉い大人のコメント
状況的には、私と変わらないのかもしれないと思った。
(断じて言っておくが、私は米騒動などを擁護するつもりはない。一派のそれでもない。ただ、何事もうまくいかない状況に自分を投影しているだけだ)
今日は土曜日だけど仕事がある。
5月からありがたい話をいただいて、
やっとこの日が来た。
候補のモデルさんや女優さんがいる中で、
イメージに合うからと言う理由で私を選んでくださった。
もちろんその気持ちに応えるための準備を
今日までたくさんしてきた。
だから、今日という日を迎えることがとても嬉しい。
本当に形にしたいと思う。
最初、役割を与えられた時
その先が底なし沼か、金銀財宝が隠れた海底王国か、
「こんな未来が確実に待っています」なんて
誰も教えてくれない。
でも、少なくとも
お願いをした人は私たちに煌めく何かを
感じてくれたはずで
その煌めきを信じてくれた以上、
自分のできることで輝いていかなければならない。
それが、頼んでくれた人
待ってくれる人
自分を応援してくれる人
みんなへの最大限の誠意だ。
お宝は海中奥深くだって、輝いていれば見つけられる。
何もいいことがなくて、底なしで
結果が出なくて、本当に自分の気持ちが落ち込んでも
私には私の煌めきがあるはずだ。
だから監督、あなたにもあなたの煌めきがあるはず。
もう一度思い出して。
How deep is your love?
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