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多少の無理

「ご無理を承知で申し上げますが…」

百道あん、19歳。
日本で生きてくために必要だったフレーズ。
いわば免許。
日本社会人としての人生を歩むために必要な交通パス。
バイト先でのクレーム対応には、この言葉をよく使った。

やや異端児の大学生は、この一年後の大学2年生で
歌とダンスのパフォーマンスをして以降、運命が変わる。


そのパフォーマンス自体について言うなら、
素人にしてはよくできたもの程度だったと思う。
だからこそ、打ち合わせを重ねた上でのマイクトラブルや音響トラブルが悔やまれた。

「こういうのはちゃんとプロとしてやらなきゃ、
できないんだな…」

薄ら思った。
だからといって、すぐ表舞台を目指そうとはしなかった。

「無理」だと思ったからだった。


気持ちが変わったのは、その翌年の3月だった。

世の中は全てがコロナ。
家も出ることができず、明日の命さえ分からない
漠然として巨大な恐怖が襲った。

暇になると私は自分の生死に向き合う。
この時もその通りで、
世界情勢も相待ってより深く考えた。

その時思った言葉は、これだった。


「今のままじゃ、満足して死ねないな」


私、歌えるし。歌いながら踊りたいし。
そのために努力して、なんかを残したいし。

私を愛してくれる人に、応援してくれる人に
出会いたいし。


そんな気持ちで地下アイドルへ応募した。
ちなみに、本当にすぐ辞めました。


でも不思議なことに、
ドラゴンズのTikTokをやっていた時に
見つけて下さった人との縁が今もつながっている。


「多少の無理」が出来る時、
自分に於いてそれはどんな条件下かと聞かれたら
「誰かのために頑張ろうと思えた時」
そして、
「時間の切れ目が見えた時」だと思う。


今回、イベントで名古屋と東京を回って
直接温かい言葉やお手紙をいただいた。

自分は、そのひとつひとつを読んで
ほろほろと涙を流す。

味方がいるんだ…
私を応援してくれる人がいるんだ…
そして、それを伝えてくれるんだ…と。

基本自信なんてないけど、
その方々に返せる最大の恩返しは
自分がもっと頑張って大きくなることだと思う。

女性の表舞台の活動はタイムリミットもある。
自分はそんなに時間がないことも、知ってる。

だけど今の私はたぶんすごく強い。
「誰かの為に」と思えば思うほど、
心の底に鎮めて鍵を閉めた熱いマグマが蘇ってくる。

無理かもしれないけど、
言葉を渡してくれたみんなの顔を思い出すと
それこそ今、みんなに何も返せずにまだ死ねない。

たぶん来年は、大きな噴火をすると思う。

みんなが温めてくれた活火山です。
休んでなんかいられない。

「多少の無理」は承知でも、
それでも私はみんなのために「無理」をしたいと思いました。


そんな気持ちにさせてくれてありがとう。
いつも本当にありがとうございます。


私、頑張るね。

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