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青春の色は履き潰したスニーカーの色

近年、推し達はあまり『夢』を語らなくなった

それが年相応の成長を喜ぶべきものであることは理解している
そもそも徐々に青春って年でもなくなってきている

雲を掴むような夢物語ではなく、これからの未来、
明確な目標と向き合う者として当然だ

しかし、途方もない、ともすれば子供っぽいかもしれない『夢』を語るのは、悪いことなのだろうか

そこに達観じみたつまらなさや、一抹の寂しさを感じるヲタクは罪なのだろうか


ヲタクはいつだって『現実』と向き合っている

ヲタ活と勤労、あるいは就学
推し活の現実と、本業の現実

X、Facebook、アメーバブログ、Instagram
YouTube、TikTok、最後はご存知Weibo
24365の現実が目の前にある

時間は常に足りない
金はもっと足りてない

現実的な収支
現実的な現場数
現実的な目標
突然の活動終了
思い描いた夢
叶わなかった夢

だからこそ、ヲタクはいつだって『夢』を見る


幼い頃からの夢
夢のような楽曲
夢の共演
夢の始球式
夢のステージ

いやいや、この『夢』
ウチらの夢じゃなかったよね
ひとつずつ叶えて、想い出を重ねてきたよね


目標に向けて真摯に活動する者には責任が生じる
計画的に活動している推し達は、様々なものに日々縛られていることだろう

やりたいことと、やれることが同じとは限らない
外から見える部分、見えない部分、あらゆる局面で常に戦い、基本的には勝つことを求められている

雁字搦め規制だらけだったあの頃だって、様々なものと戦ってくれていたことを知っている



一方で、君との未来に夢うつつの我らは、
あまりにも無責任で無計画だ


金無いから行かない
休めないから行かない
遠征険しいから行かない
行かないのと行けないのは違うけど違わない

ライブだけ見りゃいい
特典会だけでいい

遠征厳しいけど地元なら行ける
1kお見送り会だけならなんとか
とり10の予定が今日の髪型が可愛いくて増した

時間も無いし金も無いけど、
どこへでも行くしなんでも買う
行けないけど応援してます

全通神にはひれ伏すけれど、
おまいつでも在宅でもブルジョワでも限界でも
モチベさえあればヲタクは生きていける

俺たちは無責任で無敵だ


無敵の俺たちから無責任な言い方をさせてもらうと
推しには夢を見てほしいよね、ある程度

青春とかいうダサい熱さだけじゃ食っていけない
現実的な人生設計は絶対大事だけど

客観視することと諦めることはイコールではない
演者もヲタクも達観の度が過ぎるのは寒い

まあね、他所の客入り気になるわ
ウチら〇〇は何割とか、〇〇は○○半とか
お互い気にしていろんな話をしてる

けどそれは演者が裏側で、ヲタクが居酒屋で話すことだ

自称有識者の余所者が赤とか黒とかその価値の有無を講釈たれるツイッタランドが気持ち悪いおかげで今日も私が最高だわ

意味と意義を決めるのはステージに立つ演者自身
価値を決めるのは来場者
現実を勘定するのは会社だ


夢と目標は並走してこそ加速する

俺の夢は天空米粒
目標は最前ドセン

傷つくことを恐れないで夢を語ってほしい
きっと叶うから
責任は一切持たないけどね
悪いね、ウチら無敵なもんでさ


しかしヲタクのモチベも無尽蔵ではない
保護者ヅラをすることはあっても保護者ではない
脳死で全肯定廃課金するにも限界がある

最愛の推し達や、信頼する運営を批判するつもりなど1ミリも無くても
それが会社的なこと、戦略的な部分であることを理解していようとも
モヤモヤが積もり重なればお気持ちになり得る

他人事みたいに書いてるけど俺的にもあの音質なんなん歌い手冒涜してんのか

雑音が増えるたび、推しの魅力や楽しさがスポイルされるたびに、ヲタクは傷つき、モチベは削られていく
1人、また1人と、かつての友が消えてゆく


それは必ずしも悪いことではない
進化、発展的な面も大きい

現実的に青春路線から逸れていく推しと、一生青春謳歌のヲタクの道は、いずれ必ず分岐する
なんなら多くの人にとっての、いつか来たあの道だ

などとご高説を垂れ流したところで、その全てを受け入れるほどの出来た人間性なんざ俺自身も持ってはいないんだなあこれが
仲間に去られた挙句に古巣をdisられたり、後ろから矢を撃たれたり、そんなんなかなか笑ってらんねっつーの


とはいえ、ヲタクはチョロい生き物だ
推しの魅力と最幸のライブで一発ぶん殴られれば
それだけでモチベは回復する

実家を出た面々も久しぶりに帰省したりする
お盆だし素敵なことだと思うよ
お水をたくさん供えると尚良いんじゃないかな

本家に一族が集結すると代が進んで初めて見る新顔がいたりするよね
実際エモいくらいたくさんいたよね
5年前の倍以上だったんじゃない?



そんな素敵なお盆休みやその前後
『目標』と向き合う最中の推し達が、久しぶりに『夢』を語っていた


『目標の先に行っても、おばあちゃんになっても、皆とずっと一緒にいたい』


あれさ、あの人達さ
あのどうでもよくて馬鹿馬鹿しい『夢』とやらが
俺らどんだけ嬉しかったか
どんだけ幸せな気持ちにさせてくれたか
絶対わかってないよね

目標は大事だけど、夢だって同じくらい大事だよね


まあ、あの連中、あざとエキスパートだからわざとやってる可能性もあるけどね


昨年来、推し達は『負けない』をテーマに歌い続けている
目標達成のためには大事なことだし、
ごちゃごちゃうるせえ世界をメタに叩き潰すハンマーも手に入れた

けどウチら的にはぶっちゃけ多少負けたって構わないんだよね
何万回も倒れても諦めない姿に心打たれてここまで来たんだから

よくわからんけどズブ濡れになって疲れ果てたヲタクたちは
どいつもこいつも最強シアワセそうな顔しやがって
皆異口同音に叫んでいた

『これだよ!これ!』

だよね、ほんとこれなんだよ
いくつになっても青春
涙はいつも振り切れる
愛がすべてさ


東北の短い夏はまもなく終わる
夢見たステージへの前哨戦はすぐそこまで来ている


昔から好きだった人
最近好きになった人

今は離れてしまった人
これから好きになる人

これまで関わった全ての人

どの色が欠けても描けなかったであろう絵を、夢を
今まさに描き続けている推し達へ

果てない夢を 君と


てな感じにまとめるべきなんだろうけど、あいにくボクは全通みたいなおまいつじゃないし
愛してるよ的なストレートなのはちょっと言えないタチなもんで、その、
飾りのない的な本当の言葉で言うところの、アレだよ
君の瞳に乾杯ニッポン

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