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おでかけ日記(大阪・梅田)

訪れた場所の中で、東京人がイメージする大阪に最も近かったのは大阪駅前第二ビルである。天井の低い、狭い通路に古くて小さな店がひしめき合っている。これを「大阪らしい」とするのも失礼な話だが、「人情の街」などと言われたときにイメージするのはこのような空間である。人情とは低くて狭くて古く、感染対策のしづらい場所にあるものだ。

「ジャマイカ」という喫茶店に入ってみる。薄暗い店内でホール担当の老婆(八十代くらい)が必死に動き回っているが、客の回転について行くことはできず、注文の細部はなおざりにされる。卵サンドのセットを頼んでもドリンクを何にするか尋ねられることはなく、勝手に熱いコーヒーが付いてくる。
調理場には二人の男がいるが、注文はなかなか出てこない。彼らが老婆の3分の2くらいのスピードで動いているからである。二人とも六十代くらいで、うち一人は「never stop exploring」と書かれた帽子を被っている。
卵サンドには味が付いていなかった。探検に行くときも塩は持って行かないのだろう。

大阪はTシャツ一枚でも暑かったが、新幹線で東京に帰ると冬になっていた。秋がどの地域に訪れていたのか知りたいものだ。

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