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「 うどん屋 」



「いらっしゃいませ」

ガラガラと扉を開ける。立ち上る湯気が少しもれておりボンワカと体を包み込む。空調の利きすぎた場所にはない特別な演出。故意ではなく仕方なくそうしているところが、自慢げでなく、うどんの出汁をよりいっそう引き立てる。


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白さ、には多くの種類があるという。定義されているもので200色あるらしい。ちなみに正常な色覚の人間は750万色見分けることができるらしい。流石にそれは機械を通した時ではないか、と思うが無意識の認知としてそういうことなのだろうか。色の感覚が生死をつかさどる生き物はなんだろう?昆虫?動物?色覚も鍛えれば見え方が変わるのだろうか?そんなことを思う。
まあそれはそれとして、色の認識には光が必要だ。明るくなければ見えない。そしてそこには必ず影ができる。影のない光は光ではない。人間の想像力も、太陽をどうにかしようなどとは、現時点ではさすがに考えられないだろう。

西洋の芸術やアートには白い空間が聖なる場所として描かれている事が多いように感じる。天国を表現しているのだろうか?ほんわかとした曖昧な掴みどころのない夢のような空間。日本が縄文時代の頃には文明が発達していたので、ごちゃごちゃしたものよりすっきりとしたものを好む傾向が早かったのだろうか?戦争、奴隷が多かったので夢に逃避するのだろうか?環境もあるだろうが、とにかく白い清潔感のあるものが今も選ばれている気がする。日本はどうかというと、白よりも白にできる翳りを見ている節がある。あったというほうが正しいかもしれない。わびさびとは穢れ、寿命を愉しむことと言い換えられなくもない。

難しい話は飛ばしてざっくり言うと、ネットショッピングでかっこよく見えたものが、家に届いていざ開けてみるとがっかりというのは、商品紹介の写真は影をかっこよく撮っている、あなたの蛍光灯の生活に、実際の太陽光に合わせた見え方ではないということだ。偽物と本物は液晶の見た目では判断しにくい。当たり外れが面白いのもネットの楽しみではあるのだが、あからさまなものや高額なものには、ちょっとどうかと思う。
西欧の白は夢を、日本の白は生を、見出しているように感じる。どちらがいいということはないが、見方が変わればうどんも少し味が変わるかもしれない。


落語で、盗人がうどん屋に忍び込み、御用となり、
「一杯食わされた」
という落ちがあるらしい。


寒い日の、身心を温めるうどんが、さらに美味しくなるといいが。








精緻

せい‐ち【精緻】
[名・形動]極めて詳しく細かいこと。たいへん綿密なこと。また、そのさま。「精緻を極めた細工」「精緻な観察」[類語]細緻・細かい・細やか・木目細か・細心・綿密・緻密・繊細・精密・厳密・密・細密・詳密・精巧・巧緻・精妙・精到・デリケート・デリカシー・神経質-----出典 小学館

精緻なものを作る職人の性格が細かいわけではない、のを知っているだろうか?・・・

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