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秋に一回は作る料理~芋煮汁と菊のおひたしと無花果の甘煮~

芋煮会】                             季節の風物詩の行事が取りやめになって久しいのでつい時の感覚が麻痺しているようだ。今は芋煮会のシーズンだったことを思い出した。      9月末ごろから10月いっぱいくらいだろうか、空気が乾いて秋晴れの季節になると東北では(宮城・山形以外はよくわからない)河原などで大きな鍋を囲み芋煮会が盛んに行われる。仙台では、広瀬川の河原近くのコンビニで芋煮会用の薪やお鍋が売っていたりするが、昨年今年は見かけない。仕事の同僚、大学のサークル仲間、お稽古のグループそしてもちろん家族連れなどでそれぞれの味で楽しむ。一般的には山形は牛肉に醤油味、宮城は豚肉に味噌味と言うことになっている。大勢の集まりともなると、鍋を二つかけて両方を楽しむこともある。会社やサークルなどのしがらみが無くなってくると、自然に芋煮会の機会も減ってくる。自粛生活の昨今はその機会はゼロに近い。美味しそうな蔵王の里芋が出回ってきたので、先日牛肉バーションを作った。

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材料                               牛肉、里芋、ネギの三点は必須。                           あとは秋らしい食材でお好きなものを加えれば良い。今回は糸こんにゃく、舞茸、椎茸等を加えた。味付けは醤油ベース。野菜や牛肉から味が出るので、特にだしを取らなくても十分だが、少量作るときには鰹だしを加えれば美味しい。お酒はやや多め、みりんも少し、醤油、塩で味をつけ、お吸い物より少し濃い目で甘みもつける。                        私の感想では山形では甘めに味を付けるような気がするので砂糖も入っているのかもしれない。そこはお好みで良い。

★作り方                              余り上品にならず、野趣あふれる感じが良いので、里芋は下ゆでもせず、皮を剥いたら塩で揉み、水洗いをして水と調味料を少し加え煮る。泡がどんどん出てくるので、ざっと掬い取る。里芋のうまみも含まれているので取りすぎない方が良い。火が通ったら、こんにゃくと牛肉を加え牛肉のアクはきちんと取ると煮汁が澄んでくる。残りの調味料を加えて最終的な味付けをして、キノコ類を加えて煮る。最後に斜め切りにした葱を加えて完成。好みで七味を振る。

焼きおにぎり,みそ味

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河原ではおにぎりが定番。通常は海苔で巻いたものだが、今回は焼きおにぎりにした。何も入れずに塩少々を手に付け、小さ目のおにぎりを握る。網で少し焼いて表面が少し乾いたら、味噌をつける。今回は仙台味噌一種のみ。再度網で焼き焦げ目をつける。味噌の辛さによっては塩はいらない。

もってのほかのお浸し

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   山形産の「もってのほか」または「もって菊」。山形県は食用菊の生産量が日本一である。「もってのほか」は薄紫色の秋らしい風情の菊でさっと茹でるとしゃきしゃきして、ほろ苦い大人の味の菊である。正式には「延命楽」と言うらしい。黄色の食用菊もあるが、こちらが大好きである。秋に一度は作る、と書いたが「もってのほか」だけは調理も簡単なのでお店に並んでいるうちはちょくちょく買って茹でて冷蔵庫、または冷凍庫に入れてある。11月上旬にはお店から消えてしまうので思いっきり味わいたい。

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サッと洗いざるに上げ、水気が乾いたら花びらをひたすらむしり取る。花芯の部分は苦味があるので取り除く。沸騰したお湯に酢を加え花びらを入れてざっと混ぜる。淡い紫色が一瞬で鮮やかに変わる。茹ですぎは禁物。水に取ってすぐ絞って置く。このままジッパー袋に入れて冷凍しておくと、様々に使えて便利である。今回はお浸しと言っても柚子のポン酢でなじませるように和えた。このまま冷蔵庫でも保存できる。しゃきしゃきしてさっぱりして、芋煮汁には相性の良い箸休めだと思う。

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芋煮汁はお肉も野菜も入りボリュームがあるので、もってのほかのお浸しとおにぎりでおしまい。芋煮汁は河原ではおかわりは普通なのでたっぷり作って置く。牛肉は山形では米沢牛を使うが、和牛でも切落とし肉で大変美味しくできる。どちらかと言うと里芋が主役の汁物なので里芋は気を遣って選ぶ。

無花果のワイン煮】                        加工用の無花果が出回っている。無花果の甘煮はつきっきりになるので、時間の余裕とやる気のある時に無花果をエイヤっと買ってきて煮る。お庭に無花果の木があればパーフェクトである。                皮は剥かずに洗い、固いヘタの部分のみを切り落とす。砂糖は好みの量を加え、呼び水程度に水と一緒に火にかけ、ワインを投入する。リーズナブルなあっさりしたワインで十分美味しくできる。初めはアルコール分を飛ばすため蓋をしないが、アクをすくった後は、落し蓋をして煮含める。今回のは甘露煮ではなくあっさりしたコンポートに近いワイン煮なので、砂糖も少なく早めに食べきるつもり。芋煮汁献立の今回は、このままでコーヒーと共に味わったが、そのあとヨーグルトにのせ、シロップもかけて味見をしたが美味しかった。

のワイン煮無花果

昔からどこの家庭でも作っている定番の秋の保存食だが、これを焦がさずに作るのは結構難しい。コツはと言えば、火の傍を離れないことだろうか。 母や義母の作ったものはこってりとした甘露煮でこれも美味しかった。

もって菊についてのおまけの話】                  だいぶ前に山形の温泉宿で、到着するとお部屋のテーブルの上にお茶の用意と一緒に蓋物がおいてあった。何だろうと蓋を開けると、きれいな紫色の「もって菊」がたっぷり入っていた。甘いものじゃないお茶請けも良いものでいくらでも箸が進んだことを思い出す。それまで食用菊はほうれん草のお浸しに加えたり、ほんの少し酢の物に添える程度のものと言う認識だったのでたっぷりといただくのは新鮮で、それから真似をするようになったのである。東北では良くお漬物をお茶請けに出していたものだが、それに近い感覚なのだろうし、菊が特産の山形ならではのものだと思う。

あぁ、やっぱり食欲の秋である。大好きな献立なのでかなり長くなってしまった。最後までお読みいただきありがとうございました。

では今日はこの辺で。

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