まだらの紐

私が小学生だった頃、シャーロック・ホームズという名前を知り、興味本位で読んだ話がまだらの紐だった。

小学校の図書館にはシャーロック・ホームズの短編が2つほどまとめられた、ページ数の少ない本が何冊か置いてあった。
私の母は元々推理小説が好きで、シャーロック・ホームズという作品について教えてくれた。
それを聞いた私は推理小説をかっこいいと思い、憧れ、手に取った。

今となっては当時の感想を曖昧にしか覚えていない。
シャーロック・ホームズシリーズに抱いた印象は、難しい話だなということと、麻薬が取り締まられていない時代で、正義の味方のようなホームズが麻薬をやっていることに違和感を感じたことくらいは覚えている。

最近になって、シャーロック・ホームズシリーズをちゃんと読もうと思った。
ニャーロックホームズというネコ版ホームズの物語を読んで、原作が読みたくなった。

新潮文庫のシャーロック・ホームズの冒険を買って読み始めたが、大学生になった今でもわからない部分はあった。
昔の言い回し、海外の文学というのは今の文学とは表現の仕方や環境が異なるので読みにくいと感じる部分もあるし、何度読み返してもピンと来ない部分もある。
それが面白いと思った。
他の文庫本であれば、1日、2日程度で読み終わってしまうこともあるけれど、じっくり読み進めていく感じがもどかしくて、終わらない時間に思えて楽しい。

そして読み進めていくうちにまだらの紐にたどり着いた。
数年前、もしかしたら10年経っているのかもしれないくらい前に読んだ本。
悲しいことに結末である紐の正体は覚えていて、答え合わせをする形で読むことになってしまったけれど、事件の背景やホームズが事件を解決するまでの過程は覚えていなかったのでそれなりに楽しめた。

小学校の私がもっと興味をもってシャーロック・ホームズシリーズを読み漁っていなくてよかったと思った。
成人した私が続きを楽しむ本を、小学校の私に取られなくてよかった。