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稽古場レポート第五段

こんにちは。わが星に出演します岡田です。明治大学演劇研究部の部員です。息切れカメレオンというヘンテコな劇団でも、榊木さなぎという名前で活動しています。役者をやったり舞台美術をやったり舞台監督補佐(という名の雑用)をやったりしています。
 名前は、最初は嘘の名前の(嘘ではないか)榊木さなぎに統一しようと思っていました(知り合いに見られたくないから)。ところが、どっちの名前で出ますか?という公演前のアンケートにしばしば答え忘れるため、岡田になったり榊木になったりしています。不便です。愚か者と呼んでください。やっぱりやめてください。以上自己紹介でした。

 フリーフォールが好きです。内臓がひゅっとなるのが楽しいから。高い所も、寒い日に薄くて軽い上着で出掛けることも、星も好きです。
 同期で主宰のいそべは、フリーフォールが好きなのは生物としておかしい、みたいなことを言います。落下なのだから、死に近づいてるじゃん、ということらしい。死に接近して喜ぶなんて、生物として変。

 いちばんいい死にかたは転落死だと思います。人類は一度でいいから空を飛んでみたくて、それはもうどうしても飛んでみたくて、その結果死ぬならしょうがないかと思うし、一生飛ばずに死ぬのはもったいないと思うのです。ドラえもんがいたらタケコプターをもらって解決なので、これは「死にたい」とは別の感情のつもり。
 スリリング、が好きなのかと言われると困る。スリリングというのは私が考えるに、死に接近すること。自分と死は都会の電車みたいに接近して走っていて、ひょいと隣の電車に飛び乗れそうになることをスリルと言うのだと思います。そして実際には飛び乗らない、飛び乗れないということが肝心。
 でも考えてみれば、私と死が都会の線路の関係なわけはなくて、乗っている電車の終点が死に決まっています。そこに飛び乗らないとか飛び乗れないとか、ない。
 私が好きなのは、死に向かって加速していく時間で、あるいはコマ送りのように時間が飛ぶときで、それは少し演劇に似ていて、快速に乗るのが好きです。ときどきは各駅停車に乗って景色も見るけど、フリーフォールや、高くて不安定な場所や冷たい風や、気持ち悪いぐらい空に詰まった星がないとよく生きていけないような気がします。

 これまでのnoteを見ればわかるように、わが星の稽古場は落ち着いていて穏やかな人が多いので、私はなんだか居心地が悪いです。「空飛べずに死ぬなんてもったいないですよ!」とか力説しても、なんで?って言われそう。彼らは何も悪くないのでいいんですけど、死ぬより悪い何かが接近してきている!という気がします。そんなスリリングはごめんだし、全然嬉しくない。

 私のわが星は空が飛びたい人のためだけにあって、全然見に来てくれる皆さんのためとかではない。でもみんなどこかでは空が飛びたい人だからきっと、みんな勝手にメッセージを受信して、あるいは世界の別のところではあなたに必要なメッセージが届くと思います。


 だから見に来てね、見に行くって決めた方は楽しみにしててね、ってことです。
 以上、8人も出演者がいたらこんなのもいるよの回でした!怒らないでね~

岡田葉

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