2020年2月28日の日記「共感と共有」

 2月21日の日記で「これからはゲームの話題も書いていこう」と、あたかもこれまでゲームに触れずに日記を書いてきたかのように言っていたが、過去の日記を見返したら、それ以前に3回ほどゲームについて言及していた。無自覚だったのか。こわっ。


エンタメに最も必要な要素は何だろう。これを入れておけば絶対に外さない。まず、面白い作品になる。売れる。という、絶対的なもの。そんなものは存在するのだろうか。所謂、正解というやつだ。

 結論を言うと、正解なんてない。仮に面白さに正解があったとしたら、世のエンタメはその正解に沿ったメソッドを取り入れた作品で溢れるだろう。そして、数が増えるにつれ、客はその正解のパターンに慣れ、やがて飽きてくる。かつて正解だった面白さは、途端に在り来たりで退屈なものになってしまうのだ。
そういった意味では、その時代の一時的な正解、流動的なものは存在する。それを見つけ出すことが出来れば、勝ち馬だ。
 
 僕が現時点で、これは正解に近いのではないかと思う要素がある。それは「共感と共有」を刺激することだ。
 共感できるもの。そして、その共感を周囲に共有したくなるもの。この2つの要素を持っているエンタメは比較的跳ねやすいのではないだろうかと、考える。
 例を挙げていこう。
 
 バラエティで定期的に流行るタイプの芸風がある。それは「あるあるネタ」と「リズムネタ」だ。この2つは、常に誰かしらの芸人がネタを行っており、一定の需要がある。リズムネタで一世を風靡し、流行になった芸人の人気が落ちぶれても、必ずまた新たなリズムネタ芸人が流行る。あるあるネタも然り。循環しているのだ。
 何故この2つが流行るかというと、それはネタの特性に「共感」と「共有」が含まれているからだ。
 
 あるあるネタは、日常に溢れ誰もが身に覚えのある体験を提示されることで、共通の記憶をくすぐられて笑ってしまう。これは、想い出話を楽しむ感覚に近い。想い出話が楽しい理由は、印象に残った体験を同じ体験をした友人と送受信することで、楽しかった過去を互いに再確認し、シンパシーを心地よく刺激されるからだ。これが1つめの要素の「共感」に当たる。
 リズムネタは、もっと分かりやすい。耳に馴染むリズムを面白いネタと一緒に披露することで、見ている側もついつい口ずさんでしまい、結果周囲に伝播し流行る。これが「共有」だ。
 そしてこのあるあるネタ(共感)とリズムネタ(共有)を取り入れた「あるある系リズムネタ」は、人気がでる可能性が最も高い売れ線への起爆剤となる。
 レギュラーのあるある探検隊。テツ&トモのなんでだろう。COWCOWのあたりまえ体操。など、これらのネタの背景には「共感と共有」があるのだ。

 ポケモンGOが流行った背景にも「共感と共有」があったと考える。
1つの場所にプレイヤーが集まり、同じ目標を持って目的に挑む。プレイヤー同士の情報交換も盛んに行われるし、周囲から見てもその人気を容易く推測することができる。「共感と共有」が非常に活発になる条件だ。

 以上のことから、ゲーム、映画、小説、演劇、音楽、スポーツなんでもいい。どんなエンタメでさえ、この「共感と共有」を強い要素としてもったものを見つけ出せば、日の目をみる確率はぐんと上がるのではないかと分析する。
 
 ただ、それが分かったとて面白い企画が思いつくかと言うと別だ。この構造自体は2年くらい前から考えてはいたが、実際に僕も良いアイデアが思いついたわけでもない。
 前提を覆すようで悪いが「共感と共有」は偶然発生する面もかなり強い。と、言うより一度流行ってしまえばそれらは自動的に生まれるのだ。
 しかし、その一歩手前。偶発に頼らず「共感と共有」を意識して作り出そうという狙いは、大きな可能性を秘めているだろう。

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