2020年2月4日の日記「歯と脳」

 歯が抜ける夢をここ数か月頻繁に見る。今日も見た。
 一般的に歯が抜ける夢は割とポピュラーで、ストレスが溜まっている場合に見ると言われているが純粋に親知らずを抜きたいと、しょっちゅう考えているから見ている気がする。
 最近では、歯が抜ける夢を見た時のみ、これは夢だなと気づくようになった。ただ、気づいたとて特に何かが出来るわけではないので、自ら通常よりも多く歯を抜いている。指で摘んで軽く引っ張ると簡単にぽろっと抜けるのが楽しい。抜歯のみに発動する明晰夢。あまりにも、能力として限定的すぎる。能力バトルものなら速攻で死ぬな。

 子供の頃、歯が抜けることが好きだった。歯は体の一部で普段は口の中に存在していることに特別な感覚を抱かないが、いざぐらぐらしてくると、途端にその歯の存在を鮮明に知覚できるようになるあの感覚が不思議で堪らなかった。

 なんだかんだ言って日記が続いている。文章書くの楽しい。そういえば子供の頃は作文が好きだったのを思い出した。通っていた塾に作文の時間があって、それがお気に入りだったのを覚えている。

 子供の頃、少し特別な塾に通っていた。5歳~12歳くらいの期間に行っていたのかな、確か。
 普通の塾は基本的に算数などの勉学を教えるが、その塾はその手の学問を教えるのではなく、右脳と左脳を鍛えるという触れ込みだった。「脳を鍛える大人のDSトレーニング」がむかし流行ったが、要はあの手のやつだ。

 パズルのようなものをやったり、100マス計算をやったり、有名な小説を音読したり、百人一首を読んだり、詞を書いたり。直接的なテストの点数には繋がらないけど、発想力を鍛えたり、基礎力を見につけるためのそれなりに意義のある授業だったのだろう。
 もしかすると、その塾に行っていたから今の自分があるのかも知れない。

 ちょっと変わった授業も幾つかあった。お経の音読とか。音読は脳の発育に良く、特に般若心経は殊更に利くらしい。今でも般若心経の冒頭を言える。般若波羅蜜多心経。観自在菩薩。行深般若波羅蜜多時。と、子供が7,8人集まって音読するのだ。決して怪しい塾ではない。

 書きながらどんどん思い出してきた。
 不思議な香水を嗅いで瞑想する時間もあった。それを嗅いで目をつぶると瞼の裏にオレンジ色の光が浮かぶのだ。ずっと光を眺めているとその光が分裂したり、大きくなったり、時には色が変化したりしてとても楽しかった。先生はそれをチャクラと呼んでいた。決して怪しい塾ではない。

 あの香はなんだったんだろうか。確か12本くらい種類があってそれぞれ番号が振られていた。8番の香水の匂いが好きだったな。その塾の友達は3番が好きだと言っていた。彼には水色の光が見えるらしい。なんだか、久しぶりに嗅ぎたくなってきた。また見たいな、チャクラ。

 なんかどんどん白昼夢のような内容になってきたぞ。本当にあったんだろうなそんな塾。どうしよう。親に確認して、そんなの知らないと言われたら。

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