2020年3月25日の日記「エッチな話」

 考えるのめんどくせ。今回は脳を使わなくてもいい自然体な話題を選ぼう。
 何話そうか。エロゲの話しようかな。エロゲの話します。

 エロゲが好きです。何年か前までは恥じらいを持っていたけど、ここ数年は物怖じせずに堂々と公言している。声高に言いふらしたりはしないが、特に隠してもいないスタンス。
 最近は家に誰が来ようと、わざわざソフトを隠さない。親が来ても棚に陳列している。というより、家にパッケージが150本くらいあるから、もう隠すだけ無駄なんだ。箱がデカいから全てをダンボールに入れて収容するだけのスペースがない。

 僕は何年か前から「エロゲ(ノベルゲーム)はエンタメの到達点」論を標榜している。冗談抜きで。
 文章。絵。音楽。演技。動画。稀に写真などの実写。これほどまでの多種多様なジャンルが一堂に会し、かつ相互補完している文化って他にない。R18という看板があるので規制も他と比べたら緩く、かつ人の目に触れる機会が少ないから、わりと無茶もできる。ここには全てがある。
 
 だが、そんなエロゲは今、文化的に困窮の危機に瀕している。まぁ、今っていうか15年くらい前からずっとなんだけど。
 理由は複数あって、1つは違法ダウンロード被害。2006年に「アリスソフト」から発売された「戦国ランス」の修正パッチが、販売本数の10倍の数ダウンロードされた話は有名だ。
 他にも娯楽の氾濫によるユーザーの分散だとか、若者のPC所持率の減少だとか色々あり、もう何年も前から将来エロゲは無くなるのではないかと言われている。と、言いつつ今でも何とか生き残ってはいるのだが。しかし、昔に比べ市場自体は縮小傾向にある。年を重ねるごとに、老舗メーカーがどんどんと倒れていくの目の当たりにするのは世知辛いもんだ。

 そんな中、去年の12月27日に面白い企画がスタートした。

 アニプレックスによるノベルゲーム事業がスタート。正気か?ありがとうございます。
 デカい会社が、我々のような枯れ果てた井戸で霞を食って生き長らえている者達に救いの手を差し伸べて下さっている。ありがとうございます、ありがとうございます。一生ついていきます。買い支えます。
 細い業界で生きていると、自分が買い支えないといけないという謎の義務感が生まれてきがち。

 しかもこのプロジェクト、アニプレックスが新たにスタジオを立ち上げるのではなく、既にあるメーカーに開発を依頼する形を取っている。本当にありがとうございます。あなた様のような大きい会社が開発費を出し広告塔になることで、苦しい業界を牽引してくださるなんて。しかも、人選が最高ではありませんか。
 1本は「ライアーソフト」が開発。もう1本は「枕」と「フロントウィング」がタッグを組んだ合作。良すぎ。この良さを語っても、通じないし長くなるので、書くのはやめておこう。

 5日前に公開されたOPムービー、どちらも再生数が25万回を超えている。エロゲのOPの再生回数が短期間でここまで伸びることは、まずありえない。開発会社は同じなのに「ライアーソフト」が一昨年発売した最新作のOP再生回数は、投稿から1年半が経過しているのに1.5万回だ。雲泥の差。
 ゲームの根幹は全く変わっていないのに、アニプレックスという名の看板を掲げるだけで、ここまでユーザーを引っ張ってこれる。エロゲをやったことない世代にも届くし、ターゲット層も伸びる。最高。頑張ってくれ、滅茶苦茶売れてくれ。

 エロゲ会社が生き抜く術、現時点ではアニメなどに手を出し事業の窓口を広げるか、ソシャゲ開発に移行するかの二択しかない。
 とは言っても事業の窓口を広げるのは元手がいる。有名どこで言うと、「key」や「ニトロプラス」は早めに手を出して成功したが、小さい会社がそこに追随するのは中々難しい。
 かと言ってソシャゲも博打だ。現にソシャゲを作ったはいいものの、全く売れずサービス終了。ソシャゲの開発費で金も無くなり、そのまま倒産。エロゲ会社なのに知名度に無いソシャゲが遺作になる。なんてことも珍しくない。燃えゲーで有名な「light」なんて、今までは業界内で一定の地位と売り上げを確立していたのにも関わらず、ソシャゲ開発が難航しそのままリリースすることもなく倒産してしまった。
 では、頑固一徹。初志貫徹。我々はエロゲ屋なんだ!と想いを掲げ、頑なにエロゲを作り続けても、暗い未来は見えている。いつかは採算が取れなくなって会社を畳まなくてはいけなくなる。

 そんな中、今回のアニプレックスのような突如沸いてきた一縷の希望。このプロジェクトが大成功して業界再起のきっかけになればと、祈らずにはいられない。

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