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「ゆっくり実況」が日本だけで流行るのは何故か?

はじめに

英語圏の掲示板的なウェブサイトredditから「なぜ日本ではゆっくり実況がYoutube上に多いのか?」というトピックスがあり、海外の人たちは、「ゆっくり実況」について、どう感じて、何を考えているのか、について私自身も知りたかったこともあり、色々読み漁ったので、私なりの考察を交えて紹介します。

そもそも「ゆっくり実況」とは何か?

「ゆっくり実況」とは、ゲームのプレイ映像に「SofTalk」という、フリーのテキスト読み上げソフトで電子音声をつけてゲームを実況するスタイルのことです。

このスタイルが日本で人気である理由は、どうやら、日本の文化に起因するものと、海外の方々は、考えているようです。日本の文化は、社会的評価(つまり他者評価)を、個人の私的な価値観よりも重要視する傾向があり、自分がやっている「こと」について、他人の目が気になる国民性であると言われてます。

個人を特定されたくない実況者

その為、Youtubeでは、自分が発信するコンテンツが不特定多数の他者に晒されることになり、個人を可能な限り隠して実況するスタイルとして”ゆっくり実況”が日本で浸透しているのではないか?と言われています。日本は、個人が目立つということが、時として「恥」とされる文化があり、オンライン上の不特定多数の他者の中には匿名による過激な攻撃的発言や差別発言が横行し、そこから個人の実生活を脅かす可能性があるとの推測もありましたが、これは、日本だけではないですよね。まぁ、そこまでは無いにしても、身近な友人や同僚に個人を特定されることは、意図するものではないというのが、大方の実況者の本音でしょう。

これは、ゆっくり実況に限らず、実況者は個人が特定されないように、アフロのウィッグとガスマスクを付ける人もいれば、おじいさんのプラスチックお面をかぶる人もいますし、VTuberと称して2Dや3Dのキャラクターをアニメーションで作る人もいますね。(ジャンル的には私はVtuberなんでしょうか。)

インターネットが普及している今、SNS等を利用する人口も日本で増え、先ほどの理由から日本では”ゆっくり実況”というスタイルが流行っていると思われていますが、そもそも日本ではゲームが好きな人は内向的な性格が多い傾向にあるということにおいても、ゆっくり実況の普及に拍車をかけていると思います。

匿名性が確保されるという点では、SNSでも、例えばFacebookよりもtwitterの方が日本人は好む傾向にあると思います。

「ゆっくり実況」と日本語の親和性

そもそも「ゆっくり実況」には、どんなメリットがあるかというと、結構多くのメリットがあります。例えば、

・声を出すのは恥ずかしいけど、実況はしたいと思う人にとっては、実況へのハードルが低くなる。
・マイクやレコーディング環境を整える為の機材をあれこれ悩んで購入する必要もない。
・実況では、一人で何役もこなせる。
・無言の間を無くすために、アドリブで話すトーク力も問われない。

とはいえ、海外の方が「ゆっくり実況」を聞くと、ロボットのような電子音声が聞きづらいとか、そもそも奇妙だという多数の意見がありますが、一方で、それは聞き慣れないからという「慣れの問題」を指摘する人もいました。

そもそも、日本語は、英語と比較してイントネーションがはっきりした言語でないので、その点において、抑揚が少ない機械音声に日本人は、あまり違和感を感じないのかもしれません。

ゆっくり実況が日本のみでなぜ普及するのかということに関する私の考えとしては、やはり、不特定多数の他者を前にして、何か私的な発言や個人的な活動をすることに対して、そもそも日本人は消極的であり、これは、つまり、群集心理から、あえて突き出ないという集産主義社会の特長だと思います。

とある方が言ってましたが、「アメリカは良い意味で他人に関心がなく、日本は悪い意味で他人に関心がある」に一部共感するところがあります。

でも、これは決して、アメリカを代表される欧米社会の方が、日本よりも優れているという話ではなく、このような文化的な「違い」を認識し、それを多様性と捉えることで、どちらの社会が自分にフィットするかということだと思います。

この記事を動画にもしていますので、興味があれば、チェックしてください。


2016年10月より海外インディーPCゲームに特化した紹介動画をYoutubeであげています。このnoteでも情報発信を2019年1月より始めました。