2024年2月13日「ジョジョの奇妙な冒険」第1部読みました

初読前の知識は
好きなジャンプ漫画の「太臓もて王サーガ」でパロディされてたエピソード
以前「来世は顔面は福士蒼汰肉体はヘンリーカヴィル声帯は中村悠一になりたい(敬称略)」って夢を語ったら「ディオか」と言われたことです

↑そんな初見状態なのに序盤から
「あーこれ!これ好きなヤツ~~!!!」ってなる場面+展開の連続で
読んでてすっごく心地よかったです!

具体的に好きポイント挙げてくとですね
 ①擬音のカッコ良さ
 \ドギャアアン/
 \ズゥウウウン/

好きィ……
あと思いがけずズキュウウンの本家も知られて良かった
この、他の追随を許さない…というか
暴走馬から振り落とすことも辞さない感あふれる味わいがたまたんです!

 ②悪役のクズ美しさ
↑この「悪役」は主人公に対立する「かたき役」って意味です
本作の場合はディオくんさんちゃん(敬称が迷子)ですね
顔と頭が良くて努力家のドクズである彼は幼い頃から
自身の行動原理に基づいて動いていて
人間辞めてからはその適用範囲が広がったためか
非常にイキイキしてて好感がもてます、ただしダニーの事はこのモルレイツォ容赦せん

凡人以下の読者目線でディオの半生を見てみると
    養子として迎え入れられた先がとてもいいところで
    元々の器量から才覚メキメキ伸ばしてエリート街道歩んでるとか
世間一般的には十分に「あがり」な人生だと思うんですが
来し方ですっかり人間不信と貴族コンプレックスの塊となっていたディオちゃんくん的には
その地位さえも努力せずとも得られるだろうジョナサンに対する劣等感を煽られるばかりで
自分には得られないものの象徴=ジョナサンと過ごした年月は
いじめられてたジョナサンとは違うベクトルで心休まらぬ日々だったのかなあ…って
ジョナサンへの執着ぶりから推察します

嫌がらせを「継続する」のって、頭悪くて暇な人がすること(マトモな人なら怒りが勝っても、その衝動が去ったら「なにしてんだ自分」って我に返る)だと思うので
 ダニーを盗人の犯行に見せかけて殺し(しかも火をつけたのは使用人)
 病死に見せかける毒を本人にも使用人にもさとられずに盛り続ける
程度に頭の回るディオならば最短距離で結果を出せたはず
(具体的にはジョースター父子を十分に懐柔した上でジョナサンを事故死にでも追い込み、その後は原作通りにジョージさん毒殺する)
なのに、
 周囲にはさとられないよう、しかしジョナサンにはわかるように(重要)という面倒くさすぎる形で長期的に貶め続けた
 特に恋人(エリナ)を他人ではなく自分の手で辱めた
というのが、事実上(家督を継ぐ)でも実質上(実験を握る)でもなく
ジョナサンの中で「一番のディオ」になりたい、常に意識してもらいたいがゆえのアクションなんだなぁと感じられ
もうお前どんだけジョナサン意識してんだよ自分の人生を生きろよ!って気持ちになりました

だから人間やめた後に新天地ウインドナイツロットの村で
新居を自分好みに飾ってホームパーティ(攫った村人)してたりペットのキメラ造ってみたり
イキイキ人生もとい鬼生エンジョイしてるのを見た時は
やっと楽しそうに生きられて良かったね…!
って謎の感慨をおぼえてしまいました。村人には申し訳ない

つかあの趣向を凝らした内装とアトラクションがゲストをお出迎えする完全屋内テーマパークって…
これもう「ちゃんディオピュー口ランド」じゃん!と思ったが最後
薔薇と長椅子がお耽美な居室(ポコのねーちゃんにビンタされた部屋です、ねーちゃん強ぇ)は
「レディオキティハウス✩.*˚」
(ピューロ内に「レディキティハウス」というKawaii×セレブリティなエリアがあるのです)
タルカスと繋がれたり明日って今さ!したりツェペリさぁあああん!したりパワーアップしたジョナサンが素手で鉄製首輪引きちぎったお部屋
「死臭染む鎖に繋がれし2頭の若獅子の間✩.*˚」
ちゃんディオは…治安悪いキティちゃんだった…!?
(ピューロにそんなエリアは無い)

あと父親であるダリオさんのキャラ造形もまさに酒クズのダメ親父で最高です
見た目も性根もきったねえ親父に美しい顔面の息子が存在するミステリー!遺伝子の妙!人間の業!
(若い時イケメンだったらゴメンねダリオさん)
サブタイの「ファントムブラッド」って、もちろん石仮面や2部以降に連なっていく因縁にまつわるのだろうとは理解してるんですが
上記の通りちゃんディオのジョナサンに対するビッグ執着の構造とか動機に思いを馳せたあとだと
物語の中における石仮面はきっかけに過ぎなくて、むしろディオの存在自体が
憎い肉親(血)の呪いに囚われた(亡霊)→ファントムブラッド
なのかななんてこじつけ妄想展開しちゃいます

はぁ…もしダリオさんが今際の際に
「そこそこの小金持ちでいい、そこそこ幸せになれ!」って遺してれば
ちゃんディオもあそこまでジョナサンこじらせなかったのかなぁ…(それはもはやダリオさんではない)

 ③台詞回しや行動がカッコ良すぎて一周まわって面白い
第1部で心に残っているシーンはまず
 ディオが人間やめた時の壁登り頭部接着(物理)です
もう画面がキャッチーすぎて初見時は
「そこで笑いをとる必要ある!?」ってタブレット(電書)手に目を剥いたのですが
このくだりがあることによって
 ディオが宣言通り「人間をやめ」ていることを視覚から効果的に印象づけられて
主人公であるジョナサンが立ち向かうのが
 「ジョナサン」を脅かす「小さな侵略者」からの地続きなディオ(人間)
ではなく
 人類をおびやかすモンスターであるディオ(吸血鬼)
になっている、話を新たな局面に持っていけてるんですね

あとはエリナ嬢がディオからキスされた口を泥水で濯ぐことで
あなたの口付けは泥水より穢らわしいわッ!」キリッ(睨)
という痛烈な意思表示を汚い言葉を遣うことなく(重要)キめたところも印象深いです
初対面で「ゲロ以下」呼ばわりしたスピードワゴンもなかなかですが
12歳かそこらで、しかも冒頭で人形取られて泣いてたような少女があんな毅然とかつ的確にカウンターかませるの
英国の淑女教育ゆき届きすぎだろ…
このシーン、取り巻きは「なにしてんだ?」って反応なのに対し
ディオは侮辱を返されたのを正確に解せてしまったのがまた良い味出てると思います
ディオがただのバカなら「ハハハ気でもふれたかあー!」って取り巻きと笑いものにして終わっただろうに
ディオの理性を剥ぎ取るという形でエリナ嬢が一矢報いているのが胸熱です
本編中彼が完全に我を忘れたのってこの時くらいじゃないでしょうか。本人も手を上げてしまったことに憤ってた

…って、二人を挙げたけど、どのキャラクターもその人たらしめる発言やエピソードがあるし
ポージングもセリフもいちいち映えまくりだしで面白いです

あっあとカッコイイとは違うんだけど人間やめる前のちゃんディオがジョースター卿の前で
「ひどい友人をおもちですっ!」てクソぶりっ子してるの何度読み返しても噴き出してしまう
モル氏がジョナサンだったら「なに言ってんだコイツ…」ってめっちゃんこ冷ややかな反応しちゃうと思うから(ジョナサンはそんなこと言わない)
表面上はちゃんと家族してたジョナサンほんとお人好しすぎるぜ…

④首が太い
これはただの好みだなあ!???いやいやでも大事なのでトピックにしたよ!
青年ジョナサンの、表情は精悍だけどどうしても人の良さがにじむ可愛らしいお顔立ちが
公式で丸太のような腿した195センチ105キロのワガママ重機関車ボディに据えられてるキャラデザが最の高すぎて
ありがとうジョースター家の遺伝子…いや荒木先生!!ってページめくるたびに感謝しちゃいました

女性は女性でまた描線が美しくて冒頭から良き女体なんですよね
特にエリナさん、初登場時のエリナちゃんはジョナサンと同じような華奢なラインで描かれているのに
再会時の成長エリナさんは西洋画で描かれる貴婦人然とした作画なの素敵だなって思います
(関係ないけどここのジョナサンのセリフが「美しくなった」みたいな気のきいたことじゃなくて「大きくなったね」なのが彼の不遇にも歪まない純朴な人柄を表しててウホッ美女キタとニヤついてた邪悪な読者は滅殺された)
特に新婚旅行の時の装いは中世の肖像画のようなデコルテ~肩の曲線ですごくSUKI…酔ってはじらうエリナさん、おっと今はジョースター夫人最高です…

あとこれは絵柄と言うより演出になるんだけど
まさに「伝奇ロマンホラー!」って感じの
洋画みたいな構図でババーンてなるのも好きです!
語彙がたりないので頑張って感じてください(ひどいブログをお書きですっ!)

そんなわけで名残惜しくも第1部ラストまで読み進めたのですが
最後の最後でジョナサンがモノローグで
ディオとの関係を「腐れ縁」でも「因縁」でもなく
「奇妙な友情」と総括したのが育ち良すぎ
ああーこれは人間やめても勝てないっスよちゃんディオパイセンん…
と打ちのめされました(どっちの味方なんだ)
あんな顔と頭は良いけど人間やめるレベルの超絶かまってちゃんに執着されて人生メメタァなのにこの甘ちゃんは…

\でもそんな甘ちゃんなアンタがおれぁほっとけねーぜ!/
(唐突なスピードワゴン)

スピードワゴンさん、本編でサラッと「裏の世界に手ぇ回して」とか言ってたり
後日談として「石油を掘り当てる」とかやはりサラッと書かれてるけど
もうこれで一作できるよね?ってエピソードを一文で流しちゃうのが
世界観の奥行きをさらに深めていていいなって思いました

これ打ってる今はもう少し先まで読んでるんですけど
この〇〇、~~」とか「~~だぞ、〇〇!」ってちょくちょく名前言ってくれるのすごく親切だから
このモル氏みたいにキャラの名前覚えられない人にも是非読んで欲しいなって思うぞジョジョォー!

あとオペラとかにしたらめちゃハマりそうだよな~って読みながら思ってたら
ファントムブラッドは実際にミュージカル?舞台?になってて
現実がすごいなって思いました