2020年1月30日「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」観てきました

いわゆるハリポタ的な注目作の最終巻が出ることになった!
金にモノ言わせて刊行とかその辺の権利を得た出版社は

\ぼくのかんがえたさいきょうのネタバレ防止策/
として

さる金もちが金にモノ言わせて作っためちゃ頑強地下シェルター
通信機器を取り上げた9ヶ国の翻訳家たちを缶詰させて
さらに原稿も毎日一部分ずつ配って同時に翻訳作業させることで
完全なる全世界同時発売を目論んだ!

しかし缶詰開始から一晩開けるなり
昨日配った内容がネットに発表されてーー

…という密室サスペンス・ミステリーです

マジレスすると物語の翻訳って原文を一字一句ママ置き換えるんじゃなくて
一旦そのお話を翻訳者さんが読み込み解釈したのを翻訳先の言葉で再構成するものだと思うんですよね
(少なくともモル氏の解釈はそうです)

もちろんお話を変えちゃう訳では無いけど
原語の文化圏ならではのニュアンスとか意図的な言葉選びとか用法とかあると思うし
それを冒頭から数ページずつ訳させる手法とか
翻訳家さん舐め腐ってないか?大手出版社でなぜストップかからんかった??

…って思うんですが
まあここはフィクションゆえの現実的でないシチュエーションを楽しむのがキモなので
存分に「ぼくのかんがえたさいきょうの~」世界観に浸ります

個人的に本作のMVPはギリシャ語担当呑んだくれおっちゃんです
「缶詰だよ!全員集合!」の初登場時にすでに酔いどれ状態で現れ
さらに早々に女性をナンパしだし……なキャラなのですが
本編のギスギス感を中和させて観客に届けるとっても有能な酔っ払いでした

ほんと隙あらば女性陣を口説いてんですけど
その口説き方もおっちゃん自身も絶妙にチャーミングなので
(多分メシ時のナンパはギスった空気読んでた、酒は呑むが空気も読むぜ)
ナンパなのに性的ではなくむしろ好感度高いコミュ強です、あやかりたい(無理)

そんなおっちゃんの癒し効果を爆発させるのは意外にも悪役!
次々と原稿が流出してしまう予想外の事態に疑心暗鬼に駆られた出版社のお目付け役が
「もうお前ら一人ずつ殺してやる!流出やんだらそいつが犯人だ!」
ってブチ切れて拳銃取り出すんですけど

「まずは売上の影響が一番なさそうな国からだ!」

って真っ先におっちゃんに銃口向けるんですよ
やっやめろリアルな時事ネタぶっ込んでくるんじゃねー!!!
おっちゃんの「ヒエッ!」(でもコミカルでキュート)+周りの「うわっ!」て演技と相まって
とても印象的なシーンです

↑こう書くと担当者がただのマヌケみたいですが
このシーンは彼も悪役として活躍します

どうにか彼を無力化(銃を奪う)しようと翻訳家たちがとっさに示し合わせ
悪役の知らないだろう言語で合図しあうんですが
うまくいく…ッ!という最高のタイミングで
「バカめ!」って感じにその言葉で応戦するんですよ
こういうその道のプロフェッショナル集団ならではな好プレイ
+さらにはその上をゆく敵!な展開がくると
ウオオー!!!ってテンション上がってきますよね!(語彙)

序盤かなり思わせぶりだった割によくわからんまま退場する人物がいたり別人物の胸糞展開あったり
大一番の種明かしがぶっちゃけあまり意外性なくて終盤は個人的に失速感あったのですが(ごめん)

どの翻訳家が真相に深く関わるのか分かりにくいようにしてたり
上述の通りシチュエーションや台詞回しが面白かったので
予告編の「ぼくのかんがえたさいきょうのネタバレ対策」にフフって感じたらきっと楽しめます
あとギリシャが好きになるぞ(おっちゃんパワー)