2024年2月5日「OMORI」ブラックスペースの意義と白い服のマリについて

ゲームクリア後に「あのシーンって…」と反芻したり
OMOCAT氏のインタビューやよそ様の感想などを拝読した上で
色々思い馳せたものです

ーーーー以下、ネタバレありますーーーー



ブラックスペースの「作中において/ゲームにおいて」の意義

プレイ中チャプターの区切りの度に入るブラスペ
怖いの苦手なモル氏としてはまさに悪夢
初見プレイ(攻略情報なし)時はずっと
 ブラスペパートをスキップする方法は無いのかなあー
 最適行動をとれば悪夢パート飛ばせるのかなあ?
なんて、今思うと無駄な試行錯誤していたのですが

クリア後あらためて思い返すと
まさにそれ(悪夢パートとの対峙を拒むこと)
 =サニーに真実と向き合わせないことこそが
サニーの中に居るオモリの目的であり
直視したくない事実についてどう対処するか(向き合うor逃げる)が
「OMORI」というゲームのキモなのだと得心しました

ブラスペに行きたくない、過去と向き合いたくない気持ちを抱えつつも
チャプターごとに悪夢=自分自身と対峙して
「ふんばる」「のりこえる」を体得することで
サニーは家の外に出て、友人らと向き合うようになり
「OMORI」というゲームとしてもグッドエンディングに向かえる、というのが
すごくうまい構造だなあと思います

マリの白いワンピース姿について

ヘッドスペース内のマリは制服姿(OMOCAT様インタビューより)ですが
サニールート後半になると白いワンピース姿の彼女が海の先へ導いてくれます
その時の彼女の発言が明らかにオモリでなく「サニー」に向けられているのと
それを経た主人公(オモリとしてふるまうサニー)が
サイゴノラクエンでいつもの(制服姿)マリからの抱擁を拒んでいることから
ピクニックシートに居るマリとは別人であることがプレイヤーに伝わります

連載物のマンガとかアニメに慣れたモル氏は
私服だろうと同じもの着ている=外見の変化がないことに違和感覚えずに
ワンピース姿は故人だから幽霊ぽさだしてんのかな~って
深く考えずにプレイしていたのですが
考えてみればあれだけ細かい演出してる(過去記事)このゲームで
「適当にシンプルな外見を使い回す」のってめっちゃ不自然でしたね!
実際写真や回想の中に出てくるマリはいろんな服を着ているし

ただサニーの記憶の中で印象的なシーン
 湖で助けてくれた時
 死亡した時
のマリは白いワンピース姿なんですよね
これはたまたま服装が被った(水遊びや発表会のために着替え前提のシンプルな格好)のか
サニーの中では出来事のインパクトが強すぎてマリの服装は記憶からログアウトしてしまったのかわかりませんが
(個人的には後者の方がリアリティあっていいなぁと思います)

どちらも限りなく生(死)に近いマリとの思い出に白いワンピースが紐づいているから
どんなにヘッドスペースのピクニックシートという安全地帯で「理想のお姉ちゃん」の振る舞いをさせていても
深層心理にある「本当のマリ」は別にあって彼女は常に真実と共にあり
オモリという自己防衛機能をもってしても消すことが出来なかったんかなあ

……なんてぐだぐだ語りました一方で、よそさまで
 あの白いワンピ姿のマリは本物のマリの幽霊で
 崩壊しそうな弟を心配してヘッドスペースに干渉している
って解釈も拝読して
マ、マリぃいいいいい!!!!!って感激しました

「OMORI」って「ホラー」の根拠を超常現象やオカルトではなくあくまで精神に据えていると受け取っているので
現実世界の不可解なこと(サニーの「なにか」、バジルの「なにか」、リサイカルト本部、マップ上の幻覚など)にはすべて合理的な理由を見つけられるんですよね
でも、そもそも引越し3日前の「ドアを開ける/開けない」契機を作ったのは
弟を手助けしたいとマリが幽霊パワー使って弟やケルたちに働きかけたから……!ってファンタジーに考えても胸熱だな!!と思います!
プレイヤーはマリの霊魂となって幽霊パワー(何)貯めて弟の夢の中や現実世界にちょっとずつ干渉する
限られた日数と幽霊パワーでいかに弟たちを前向きな未来に導けるかみたいなそんなLoveオカルトADV!
グッドエンド以外は最低でも弟かバジルが自死してしまう(さらにケルヒロオブが再起不能レベルまで心閉ざしたりしてしまうルートもある)
そんなハートフル(ボッコ)ゲーム!!

いや契機は本作まんまケルくんの勇気ある行動で十分尊いんだけどね!
いろんな世界線や解釈があってみんないい!!は!か!た!の!し!お!!!1!!
(守備範囲ガバガバマン)