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chrome66以降の動画再生ポリシーについて

1. 概要
2018年4月に公式リリースされたchrome66ですが、動画の再生ポリシーが変更になり音声付き動画の自動再生は許可されないということになりました。クリックやタップなどユーザが何かしらのインタラクションによってのみ再生を許可するというポリシーに変更することで、ネットワークの帯域消費を低減させメディアのユーザエクスペリエンスを向上させるということが狙いのようです。今回は、このポリシー変更についての詳細をまとめていきます。

2. 影響
2.1. WebゲームなどWeb Audio APIなどを使用するアプリが動作しない
本来の目的はユーザが不快に感じる音声付き動画への対応ですが、Webのゲームなど意図しないアプリへの影響があったようです。Google側はこれに対して今回の修正に関してアナウンスが足りなかったとしてWeb Audio APIを許可するようにしたようです。またこの処置は一時的でchrome70では再度このポリシーが適応されるとのことですl。https://japan.cnet.com/article/35119311/

2.2. kioskアプリケーションで音声が流れない
kioskアプリケーション(digital signage)では、インタラクションを前提としない場合が多いため自動再生で音声が流れないことが問題となっているようです。この件についてgoogle側はchrome69で許可するように変更するようですl。chrome69は、9月に公式リリース予定です。
https://chromiumdash.appspot.com/commit/8e20a770c6072f9563c9c12f001876c7ae59469a

chrome enterpriseでは、管理端末で使用するchrome osのバージョンを固定することができるので、運用方法によっては問題を未然に防ぐこともできそうです。個人的には、管理端末にユーザー設定情報を上書きする機能があればより良いですが現状ではできないようです。

2.3. 広告インベントリ(広告在庫)が減る
今まで、流れていた音声付き動画広告が流れなくなるので、impressionが減ることになります。代理店や広告主に影響が出るはずです。

2.4.  Ad Block利用者が減る
PageFairの出している調査に寄れば、AdBlockの利用者が嫌っている広告フォーマットで一番多いのはスキップできない動画広告(NON SKIPPABLE)が一番多く31%で、内23%が自動再生される音声広告ということです。

参考: https://pagefair.com/downloads/2017/01/PageFair-2017-Adblock-Report.pdf
このポリシーが適応されるとなるとユーザとしてはAd Blockerをインストールする動機が無くなりますので、Ad Blcokの利用率が下がることが予測されます。 副作用として非表示になっていた広告が表示されるようになる(または歯止めがかかる) ことは、広告の会社であるgoogleにとってはメリットをもたらすということも考えられます。

3. 自動再生が許可される場合
muteに設定された自動再生動画は常に許可されます。また、以下の3つ項目をクリアしている場合は、例外として音声付き自動再生動画も許可されるようです。

・User has interacted with the domain (click, tap, etc.).
・On desktop, the user's Media Engagement Index threshold has been crossed, meaning the user has previously play video with sound.
・On mobile, the user has added the site to his or her home screen.

・ ユーザが対象ドメインでクリックやタップなどのインタラクションを行なった場合
・デスクトップ上で、ユーザのMEI(ユーザが以前に自動音声付き動画を再生したことを示す)の閾値を超えている場合
MEIはchromeのuriにchrome://media-engagement/を指定すると確認できます。7を超えているドメインに関しては、自動で許可されるようになっているようです。
・モバイル端末で、ユーザがホーム画面にサイトを追加した場合

4. 再生ポリシーの変更方法
googleが動的に自動再生を許可する場合に加え、chromeの自動再生ポリシーをマニュアルで変更する方法もあります。google chromeのURIに以下のようにアクセスしてください。
chrome://flags/#autoplay-policy

すると、 Auto policyを変更するメニューが表示されます。

この項目をdefaultからno user gesture is requiredに変更して、右下のRELAUNCH NOWを押します。

以下のhtmlを保存してchromeで確認して見ましょう。自動で再生されることが確認できるはずです。

<!DOCTYPE html>
<html lang="en">
<head>
   <meta charset="UTF-8">
   <title>Title</title>
</head>
<body>
<iframe width="560"
       height="315"
       src="https://www.youtube.com/embed/fZNsBa7Wr7c?autoplay=1"
       frameborder="0"
       allow="autoplay; encrypted-media" allowfullscreen></iframe>
</body>
</html>


5. まとめ
chrome66の音声付き自動再生動画のポリシー変更についてまとめました。アナウンス不足もあり対応が後手に回ってしまい、ユーザへの不快な挙動を改善するという本来の意図に対して負の影響が大きくなってしまったと感じました。

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