小型犬より賢い気がする蟻の観察1日目

2019.9.1

蟻は昔からの数少ないわりと好ましい虫で、いつかはじっくり観察してみたいと思っていた。
自分の身体より大きな虫の死骸を運んでたりするところとかポテンシャル高くてすごいし、その状態で壁とか登るしね。もはやスパイダーマン。

我が家には犬がいるけど、犬がそれなりに賢いのは、なんというか、当然って気がする。あのサイズ感だし、昔から人間とコミュニケーションをとってきたわけだし。
でも蟻があのサイズで社会的集団を形成し、生活を営んでるのって、すごくない?
他の蟻のコロニーを乗っ取るために、相手のフェロモンで武装してから潜入して内側から滅多打ちにするのとか、めちゃくちゃ戦略的だ。すごい。

一ヶ月ほど前に社割で購入した蟻観察キットをようやく使えるようになったので、その蟻の観察記録をしばらくはつけようと思う。
この夏念願の自由研究なので嬉しい~!

ほんとは女王蟻を買ってガチのコロニーを形成するつもりだったけど、女王蟻はネットで在庫切れだったため、見切りをつけて普通の蟻で手を打つことにする。

1日目。
14時ほどに付属の蟻取りカプセルを近くの公園に設置。蟻がわんさかいるので、3〜4匹は絶対かかるはず。ちょろい。
15分後に見にいったらめちゃくちゃ極小の蟻がたかっていて悲鳴が出る。無理。

うまいこといけば蟻取りカプセルで目当てのクロヤマアリをさくっと捕獲できるはずだったのに。
推奨されてた蜂蜜やクッキーではなく、砂糖とかりんとうを設置したからか、全然引っかかってくれなかった。シビア。

姉の協力を仰ぎ、必死こいて11匹を採取。
いい歳してなにをやってるんだろうという気持ちにちょくちょくなる。
小さな公園内で採取したので、たぶん同じコロニーのクロヤマアリだと思われる。
公園内の蚊が多すぎて、もう夏も終わるのにしこたま咬まれてしまった、悔しい。

キットの薄っぺらさが心許ない。倒れたら地獄すぎる。
巣には餌としてかりんとうを設置。食べない。砂糖も依然として無視。甘けりゃいいわけじゃないらしい。

採るときはその俊敏さが気持ち悪かったが、キット内で思い思いに過ごしている蟻を見てると親近感が湧いてくる。
蟻たちは左端と真ん中の2ヶ所ほどに分かれている。特に何をするわけでもない。
が、超絶近距離でもそもそやっている。会議でもしてるのか?

毛づくろいしてる様がなんだか犬や猿のようでかわいい。
じっと見ていたら面白い動きをしていることに気づけるので、早くも観察の醍醐味を感じる。

投入してから30分。
早くも巣作りを開始する個体が2匹ほど出てくる。一心不乱。えらい。
本腰が入らないのかサボってる個体がたくさんいる。
誰かがよくわからない小さな羽虫の死骸を咥えたままなので、早く食べてほしい。

1時間経過。
真ん中と右端から掘り始めることにしたらしい。

が、全員の統制がとれていないらしく、誰かの掘った穴に、自分の掘った砂を入れたりしている。互いで互いの巣作りを阻んでいる。
左端から掘り始めようとする個体もいるが、他の奴らのゴミ捨て場的な扱いになっている。でもまだめげない。すごい。
蟻は賢いと聞いていたけど、もしかすると馬鹿なのか?

羽虫の死骸、そのまま。食べてください。

3時間経過。
思いのほか見ているだけで楽しい。
明らかに自分の身体より大きなサイズの砂を咥えて、無理やり運ぼうとする蟻が何匹かいる。ちょくちょくずり落ちるなど、間抜けな感じ。

顎つえー。手足もつえー。
やはり蟻、ポテンシャル高い。

触覚が常に動き回ってる。目が見えないらしいので、触覚でどこになにがあるかを把握してるんだろうけど、想像以上に動くね触覚。第2の手足という感じ。

ちょいちょい毛づくろい的なことをしてるのは、余分な砂とかを払い落としているからなのか?
触覚が1匹折れている蟻を発見。でも普通に仕事してる。痛覚ないんだっけ確か。
それ以外は見分けつかない。

基本的にどの蟻も穴を掘るという行為に対して、非常に健気でかわいい。生命かかってるからそりゃ当然だろうけど。
女王蟻がいないのが申し訳ない。

4時間経過。
食事をしていた間に、わりと掘り進められていた真ん中の穴が雪崩っぽく塞がっている。
やはり統率とれてないのでは……?
左端は完全に山と化している。

ゴミ捨て場は餌置き場のところに決まったらしい。いいの?
羽虫の死骸もそこにある。触りたくなさすぎる。どうにかしなければ。

そんなとこから砂を取ったらせっかく掘った穴が崩れるだろ、というところから砂を取る猛者がいる。ジェンガ下手そう。
ていうかたぶんこういう奴のせいで真ん中の穴塞がったな。

7時間経過。
当初、蟻の観察キットに難色を示していた母が蟻をかわいいと言い出す。
5日間ぐらいで返さなければ駄目だと言われ、もともと返す予定ではあったけど、やはり少し残念。
早くも愛着が湧いてるらしい。名前つけなくてよかった。

進みが悪い。

11匹もいるので、必ず常にサボってる個体が出てくるはずだが、どう頑張っても見分けられそうにない。
こんなことなら、ちゃんとした研究者のように、それぞれを色ペンで識別できるようにしとけばよかった。
でも今さら触る勇気は出ない。

8時間経過。
真ん中の穴が完全にただの地面になっている。
メインが右の穴しかない。
全員活発。全員で掘り進めている。

ていうかまじで誰もかりんとう食べないね。なんで?
蜂蜜を追加。蜜を飲んだ個体の腹が膨らんでボーダー状に透けている。腹に「そのう」という部位があるらしい。だいぶ膨らんでいて怖い。

そういや虫って花の蜜とか吸うから、だから蜂蜜も好きなのか。なるほどな。
それでも、うおおおとなるお菓子があるのかも。試してみる。

明日には右の穴がキットの底に届きそう。
3本ぐらいの複雑なルートになってくれたら面白いが、今のところ非常に手際が悪い。
規模もそんなに大きくはないので、あまり壮大な巣にはならないかもしれない。

君たちはいつ寝るんだ?
と思ったが、5匹ほどは静止しているのでたぶん寝ている。たぶん。
わたしも寝る。

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