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立駐にある、むき出しの狭い階段。
ふちに一段ずつ、滑り止めのギザギザ。
踏むたびに立てる音は耳をつく。
下りているのに、突き上げられる音。

苦い飲み物。

感動で流れる涙。
涙腺が緩むのは、老化だと聞いたことがある。
ここ数年で涙腺が緩んだ。
昔は映画や本、他人のことで泣くということが理解できなくて、高校球児が試合に負けて泣き崩れ立ち上がれなくなる姿を、親がテレビの前で目を赤くして、目に涙をため、時にそれが目からこぼれ落ちるのを見て、どうして、どうしてと不思議に思った。

涙腺が緩んだのは、私の場合、自分の感性が豊かになったとか、そういう成長に値するものに起因するのではなく、ただ自分と他人の区別がつけられなくなったからだと思う。
結局、私は自分のことでしか泣けないんだろう。

自分の感覚がおかしいのかと思うような暖かさに、いやいや私は恒温動物、体温はほぼ一定、おかしいのは暖かさの方だと思ったけど、畑の隅で、よってたかって綿毛になったタンポポを見ていると、やっぱりおかしいのは自分の方だと、開ききらず、離れることを諦めきれない種をまとった綿毛に気付かされます。

小説を読んでいるとスポーツカーが出てきて、私も4年間、それと同じ車種の、自分より年上の車に乗っていたんだけど、半クラッチの感覚、エンジンの音、その振動を体が思い出すから、同じ本を読んでも読み方は一通りじゃないという当たり前のことを思う。
半クラッチの感覚なんて、もうほとんど今は、電話交換手並みに忘れ去られつつあることなんだろうなあと思う。
(今のが読み終わったら、アフターダークっていうのを読む予定。とりあえず買ってある。)

少し横になって読んでいたら、猫がやってきて、私の二の腕をふみふみする。「猫 ふみふみ 動画」で検索してもらえれば、かわいさをある程度、理解してもらえると思う。
猫さん、ふみふみ欲が満たされると、しばらくゴロゴロ言ってごろごろしていたけど、触られるのに飽きると、おもちゃのバネみたいに体を縮めながら歩いてどこかに行ってしまう。

運動前に、ちょっとだけ値段の高い栄養ドリンクを飲むと、夜になっても眠気が来ないことがある。頭と体は単純なんだ。

恋愛感情と好きという気持ちと性欲は、一致しないでもいいと思うと楽になる。3つの◯が均等に交わってできるベン図を思い浮かべて生きてきたけど、その大きさも交わる部分も人それぞれだし、交わらないこともあるだろう。

◯◯◯
意図せずアンパンマン。

目だけ覚めていて、あまりやるべきことができていない。でも、今の自分には、やるべきことよりも大事なことな気がするというのを言い訳に、ただ起きている。

目を閉じると、閉じたまぶたの裏が、
ゲームセンターのモグラ叩きみたいに騒がしい。
私は出てきて欲しくもないモグラが出てくるたびに、律儀に叩きにいく。

寝よう。寝よう。

ってところまで、昨日つまり日曜日の夜に打ち込む。タイトルが思いつかない。
モグラさんも、出口の暗いところで動かなくなる。気づいたら寝ていて、気づいたら今日。

足元から影が伸びていないと立ち上がれない。
境目、切れ目、諦め、××(ちょめちょめ)。