素足

ネット社会、真理を突く言葉、はびこった考えをくつがえす買い言葉。

そういう言葉に同調して、そうだ、そうだという声が燃え上がるのを見かける。

私はそういう感覚が持てなくて、正しい言葉を前に、ええっ、そうなのか、そうか、そうだよなあ、と虚をつかれ、どぎまぎする。

気づかないことがいっぱい、正しくないこともしばしば。

私は、そういう人だから、間違えても一緒になって燃え上がって、正しくあれる人たちに混じっちゃいけない。

混ぜこぜにしてしまえば、正しい感覚を持つ人のふりをしていられるかもしれないけれど、残念賞。

私はいい人にはなれないので、どぎまぎしていようと思う。


続けて同じ組織にいると、はじめに感じた衝撃や違和感が薄れていってしまう。
気づけば「そうだ、そうだ」と息をするように首を縦にふっている。

私は、どぎまぎし続けたい。


うまく、楽に、動く歩道にのればいいのにと人は言うかもしれないけど、もし私がのったとき、降りたとき、自分が動いているのか、止まっているのかも、どこをどう歩いていいのかも分からなくなっているだろうよう。

だから、裸足で少し荒れたとこ、つかみながら歩くのが、私には向いている。
とがったものを踏んだら、いててって思えばいい。柔らかいものを踏みつけたら、潰れたのを感じて謝りたい。

ハイヒールを履いて、動く歩道で悠々と進む人。

憧れながら見下げる、ゴツゴツした幅広い足の甲。地べたに素足。