「マジョラムちゃん」透明水彩メイキング


もくもしえるです。
ミニ原画「マジョラムちゃん」の制作過程をまとめてみました。

マジョラムさんミニ原画加工(5cm)

マジョラムちゃんとは、イラスト本「スパイスのある暮らし」でマジョラムの擬人化として描いた子です。
透明水彩メイキングのような感じでお楽しみ頂けましたら幸いです。


使用道具

・透明水彩絵具…W&N、ホルベイン、ターナー、シュミンケ
・水彩紙…アルシュ荒目185g
・筆…コットマンシリーズ111の3、000
・色鉛筆…三菱ポリカラー、トンボ、ファーバーカステルポリクロモス


1 線画

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トレース台で下書きを透かして線画をおこしています。
線画には色鉛筆を使用しています。
この絵では三菱やトンボの色鉛筆を使っています。
パーツの色に合わせて線画の色を変えています。色トレスのような感じです。

線画を描き終えたら、木製パネルで水張りをします。

半日〜1日ほど待ち、乾いたら着色に入ります。


2 下塗り

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画面全体に、薄めたイエローオーカー(ターナー)を敷きます。
画面の雰囲気作りのためにやっています。
下塗りは描きたい絵の雰囲気で色を決めています。
暖色系の絵はイエローオーカー、淡い系の絵はパーマネントレモンなどの明るい色を置く事が多いです。

私は下塗りに水をいっぱい使うので、乾くまでに時間がかかります。


3 肌

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下塗りが乾いたら肌を描きます。
まず肌色をのせたい部分に広めに水を敷き、水が乾きかけたら
ほっぺやおでこなどの肌色を置きたい部分にネープルズイエロー(W&N)をポンっと軽くのせます。
ネープルズイエローが乾きかけたら、次はローズドーレ(W&N)をポンと置きます。
もちっとした可愛い肌になるので、この方法で肌を描いています。

ハイライトを表現したい部分には、水や色をのせないようにしています。


4 隠し色

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ランダムに水を敷き、アクアグリーン(W&N)を置きました。

私は暖色を使う事が多いので、このように青系の色を隠し味のように置くと、画面にリズムが出て引き締まる事が多いです。


5 空気作り

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画面の端に広く水を敷き、薄く溶いたペリレーンバイオレット(W&N)を大胆に敷きます。
乾きかけたら、水筆をポンポンっと置いてにじみを出しても面白いです。
画面に統一感と空気感を出すためにやっています。
このパートも絵の雰囲気によって色を変えています。寒色系、淡い系の絵はピーコックブルー(ホルベイン)やマヤブルー(ターナー)を使用する事が多いです。


6 全体の陰影

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陰影を入れたい箇所に、5の過程で使用した色(ここではペリレーンバイオレット)を入れます。
細かいパーツは気にせず大まかに陰影を入れた方がメリハリがつきやすいと思います。

後ろに広い空間がありそうな箇所は少し薄めに置いています。


7 固有色

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各パーツに固有色をのせていきます。

髪の毛はグリーンゴールド(W&N)、オリーブグリーン(ホルベイン)とシャドーグリーン(ホルベイン)の混色。目はイエローオーカーとパーマネントレモン(ターナー)の混色。レースは水で薄めたアンバー(ホルベイン)。
背景はイエローオーカーを使用。そのほかのパーツの色は忘れてしまいました...すみません。


光が当たって当たる箇所は色をのせずに白抜きします。意識していることは、グラデーション的に色をのせたり、どこかのパーツでのせた色を別のパーツに少ししのばせたり、光が当たっていそうな面には下地でのせたイエローオーカーをのせる…などです。


8 細かい陰影

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各パーツの陰影を掘っていきます。
ここでは細い筆に持ち替えています。
肌はローズドーレ、髪の毛はシャドーグリーン、フリルは薄く溶いたデルフトブルー(シュミンケ)、リボンや濃い陰影にはペリレーンバイオレットを使用しています。
目は忘れてしまいましたが、グラデーションを意識していて色をのせています。

細かい陰影はやり過ぎるとうるさくなるので、ポイントになるところに入れています。


9 目の描き込み、色鉛筆で描き込み

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強弱をつけたい箇所や、印象を強めたい箇所、深みを出したい箇所に色鉛筆で描き込んでいきます。
やり過ぎないように注意しながら、全体を確認しつつ描き込みます。

次に目の瞳孔やハイライトを入れます。ハイライトにはチタニウムホワイト(W&N)を使用。
個人的に目は失敗しやすいパーツなのでかなり神経を使って描いています…。

完成が近くなったので、画面の端に色鉛筆でサインを入れています。


10 加筆修正

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一時間ほど画面を寝かせておき、足りないと思った箇所や直したい箇所に修正を入れます。

ここではレースが気になったので色鉛筆で模様を描き足しました。
他にも気になった細かい箇所も修正。

これで作画パートは終わりです。


(おまけ) 額装までの作業

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絵が完成したら1日ほど乾かし、木製パネルから絵を定規とカッターで額装するサイズに切り離します。

切り離した後はスキャナーで絵を取り込み、Photoshopで原画の色味に近づくまで加工します。

絵の保護のために画面全体にホルベインの水彩画保護ワニスをかけ、額装します。
ミニ原画の額はセリアのミニ額を使用。

マジョラムさんミニ原画加工(5cm)

以上が制作過程となります。
ざっくりとした記事ですが、私はいつもこんな感じで透明水彩で絵を描いています。
この記事が何らかの形で皆様のご参考になれば幸いです。

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